表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
舟は流れて  作者: むつき
2/11

起床ラッパノ鳴ルマエニ

 いつも自分を眠りから呼び覚ますのは起床ラッパの音ではなく、廊下から聞こえてくる足音だ。隊舎の時計を正しくセットする役目の新兵の足音は、少なくとも任務を忠実に果たしている。


 ラッパが鳴るまでの時間は短いので二度寝もできない。心地よいまどろみを振り切るように、いつものように仕方なく身を起こす。いつもなにか妙な夢を見るのだが、起きると忘れていることがほとんどだ。


 壁のクリーム色の漆喰は薄暗闇の中でも鮮やかだ。しかしそれ以外に病院の寝具と中古の机しかない空間は殺風景にも見える。


(けど、個室があるだけましか……)


 塹壕での生活を思い出しながらキャンバスの脚絆を巻く。頭の中はまだぼんやりしているが、いつもしている動作はてきぱきとできている。


「また、弾の下を潜らない毎日がはじまる……」


 呟きながら、木のヘッドボードに引っかけてある草色の上衣を着てキャンバスのカーテンを引き開けた。外はまだ薄暗かった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ