プロローグ
俺の名前は里村 法信 25歳 職業 物理学者
突然だか今、俺は異世界の大地に立っている。
君たちは突然こいつは何を言ってるんだ?気になったことだろう。だが安心して欲しい。
なぜ俺がここにいるかを説明する。
それは2週間前に遡る。
〜2週間前〜
この俺、里村 法信はとある研究に勤しんでいた。
その研究内容とはズバリ、異世界に行く研究だった。
馬鹿な話ではあるかもしれないが、タイムトラベルについて研究する科学者がいるのだ別に異世界に行く研究をしている奴だっていてもおかしくない。
だが問題は頭の固いお偉い方にどうやって研究費を出してもらうかだった。
何せ異世界に行く研究なんてお偉い方には馬鹿馬鹿しい話に聞こえるしそれは仕方ないだろう。
しかし、ここで研究費を絞り出せる者こそ真の科学者と呼んでいいのではないか?
そう考えた俺だったが、見事に研究費は貰えなかった。
「クッソ…馬鹿なジジイどもめ!!この俺の研究のどこにバカバカしさを感じるというのだ!!」
そうやって愚痴をこぼしていたら隣の女が声をかけてきた。
「いや里村君…どう考えても研究費なんて出ないでしょ…もっとほらバイオテクノロジーとかそっちの研究をしてみたらどう?」
彼女の名前は岩本 みほり 俺と同期だ。
一応、俺の彼女だが、今まで彼女らしいことはしてもらったことないしこっちもしていない。
どうして俺のことが好きなのか全く理解できていないが、まぁ好きなのだと言われて断る理由もないので俺は彼女と付き合っている。
「みほりよ…バイオテクノロジーはその他に研究者が沢山いるだろう…俺は周りがやってる事はやりたくないね」
「はぁ…まぁいいわ…私はどうせ暇だしね…その間は手伝えるわ…」
みほりは新種の野菜を作る野菜の研究をしていた。
だが、今みほりは研究ができていない。
どうやらこの前、研究の室長の汚職が発覚して研究室が潰れたそうだ。そこで今は俺の研究を手伝って貰っている。
それにしても、俺の研究はみほりとあともう1人以外誰も参加してくれない。
そのせいか、買い出しも中々大変だ。
なんせ研究費がほぼないのだ輸送費に金なんてつぎ込んでられない。そのせいで毎回秋葉原やそこら辺の電気屋に自分の足で買い出しに行かなきゃならない。だがそれもそれで楽しい。
俺はみほりと研究室に戻った。
一応、研究室だけは何故か貰えた。これについては後に出てくるもう1人の人物のおかげである。
「里村くん?また研究費貰えなかったの?」
研究室にはパソコンをカタカタと触っている。1人の綺麗なお姉さんがいた。
彼女こそ俺に研究室をくれた方 山城 咲也先輩だ。
「すみません先輩…どうやらこの崇高な研究は凡人には理解して貰えなかったです。」
「いやどう考えても研究費貰えるわけないでしょう…んもう…私が出してあげるのに…」
咲也先輩はかなりのお嬢様家計に産まれたらしくそこら辺に金をばらまくので、逆にお金をくださいと言えない。
「い、いぇ…遠慮しときます…HAHAHA…」
「あらそう?必要な時はいつでも言ってね?用意するから」
咲也先輩の金遣いのありさにはさすがの俺も引いている。
だが決して悪い人ではないが、出来ればその金をばらまくくせをどうにかして欲しい。
だが金がないのも事実だ。
理論は既に完成しているがそれを実行するための材料がない。
果たしてどうしたらいいものかと考えていた俺だったが、1つアイディアが思いついた。
そうだ、昔大学で作ったガラクタから調達すればいいんだ。
もしかしたら、ガラクタのパーツがまだ使えるかもしれない。
俺はすぐに研究室の倉庫に駆け込んだ。
倉庫はホコリにまみれていてなかなか煙たかった。
「さすがにこれはキツイな…よし!!今度掃除でもするか!!」
俺は今度掃除することを決意した。
だが、掃除をする日が来ることは無いだろう。
そんなこんなで俺はついにガラクタが入っているダンボールを見つけた。
ダンボールには「大学 制作物」と書いていた。
俺はそのダンボールを研究室に持っていった。
そしてそのダンボールを開封して中身を出して行った。
「あ、懐かしい〜!里村くんこんなの作ってたね〜あ、これってあの時の授業のやつでしょ?」
みほりが俺の制作物を見て大学時代の頃を思い出していた。
俺も大学時代よくこうやってみほりと色々作ってたのを思い出した。
そうこう色々バラしてるうちにいつの間にか居なくなっていた咲也先輩が帰ってきた。
「あら何それ?里村くんの制作物?」
「ええ…まぁ…もうバラしちゃいましたけど」
どうやら咲也先輩も俺の制作物に興味津々のようだ。
俺の制作物にはどうやら人を引き寄せる力でもあるのかもしれない。
こうして俺は制作物をバラしたパーツでとある装置を作った。
ほぼ完成はしていたので何とかジャンクパーツで完成させることが出来た。
この俺装置こそ俺の理論を実現させる物だ。
しかし、それを動かすにはとてつもない電力が必要だった。
仕方ないのでこれには咲也先輩の経済力を頼るしかないようだ。
俺は咲也先輩に頭を下げることにした。
「咲也先輩…すみません電気がすごい金額になりそうなので先輩の力を貸して頂きたいです。」
それを聞いた咲也先輩はなんだか嬉しそうに承諾してくれた。
どうやら後輩に頼ってもらえるのがそれほど嬉しいようだ。
やっぱり先輩はいい人だ。
何がともあれこれで準備が出来た。
「みほり、咲也先輩準備お願いします!!」
俺はみほりと咲也先輩に実験の準備をしてもらった。
今回のテストモルモットは俺だ。
何せ危険な実験だ。
この実験に2人を巻き込む訳には行かない。
「里村くん…本当に行くの?」
みほりが心配そうに声をかけてきた。
「ああ…みほり…行ってくる」
今の俺はただそれしかかける言葉がなかった。
だけどこの実験成功する気がしていた。
理由は分からないけど大丈夫な気がしていた。
きっと無事に帰ってくる。
ちなみにこの実験の元となった理論はこうだ。
被験者が超高速移動した場合異世界に飛ぶことができるという理論だ。
だがその超高速移動をするには人間の体は耐えられない。
そこでまず人間粒子状にする。
そして真空管の中を超高速移動する。
そして異世界についてから再び体を構築するというものだ。
正直、超危険な賭けだ。
ラットで何回かやったが何回も失敗した。
例えばラットが粉状になって帰ってきたり、丸焦げになったラットが帰ってきたりもした。
しかし、先日ラットが無事に帰ってきた。
今度は俺が行く番だ。
「咲也先輩お願いします…」
そう俺が咲也先輩にお願いすると咲也先輩は頷いてキーボードを叩いた。
そしたら装置の上のゲートが開いた。
「じゃあな…2人とも行ってくるぜ!!」
こうして俺はゲートに入った。
ゲートの外から何やら足音を立ててこっちに向かってくる音が聞こえる。
きっとみほりだろう。
そこから先の俺の記憶は異世界に着くまで消えている。
再び目を開く頃には俺の目には広い荒野が広がっていた。
どうやら成功したようだ。
こうして里村 法信は異世界にたったのだ。
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