小学生編2
佐藤にチョコが好きか聞いて一応他のお菓子も聞いたらクッキーが好きと分かったので秋瀬に報告した。
「聞いてきたぞ。」
「やるじゃない!すっぽ抜かすかと思ってたわ。」
「俺ってどれだけ信頼ないの。」
「昨日も今日も教科書見せたの覚えてないの?」
「記憶にございません。」
「新聞で叩いたろうか。」
「間接的か物理的なのかわからん。」
「しょうもないこと言ってないで、結果はどうだったのよ?」
「えーと、チョコはあまり得意じゃないらしい。けどクッキーは好きだって。」
「言った通り聞いてきてくれたのね。ありがと!」
「いよいよ、勝負だったし。それ聞いて何するの?」
「知らずに聞いたの?」
「いや聞けって言うから。」
「この季節はバレンタインしかないでしょ!
その情報をフル活用させてもらうわ!」
「そうか、頑張れ!」
応援はしていたが、心の中ではざわついていた。もし義理ではなく本命なら秋瀬は告白をするのか?
佐藤も秋瀬のことを好きなのか?色々考えても埒が明かないので、考えることをやめた。
そして、バレンタイン当日
この日が来てしまった。なぜモヤモヤしてるのか分からず、学校に登校した。席に座ると既に席に座っていた秋瀬に話しかけた。
「今日はバレンタインだな。」
「 そうね、クッキーをいつ佐藤くんに渡すか心配だわ。」
「まだ佐藤は来てないし机の中に入れといたら?」
「嫌よ、こういうものは直接渡したいものなの。 」
「確かに、その方が気持ちが伝わりそうだな。」
「そうよね!はぁードキドキが止まんないわ。 」
「深呼吸して失敗しないようにしよ。」
「そうさせてもらうわ。心配してくれてありがとね。」
会話が終わった時に佐藤が教室の前の扉から入ってきた。
「お、きたな。もう渡すのか?」
「 渡したかったけど、ドキドキが止まらなくて噛みそうだから帰りにするわ。」
「帰りになると失敗できないから気をつけろよ。」
「わかってるわよ。ここまで頑張って失敗なんかできない! 」
「その心意気!」
時間は淡々と過ぎていき、クッキーを渡す時まで来てしまった。隣を見ると深呼吸をしている秋瀬がいて、今は話しかけないようにした。
「じゃあ、帰りの会を終わるぞー。日直は号令かけてくれ。」
帰りの挨拶をして、続々と生徒は帰って行き、俺も教室から出た。その後秋瀬が佐藤に声をかけた。
「佐藤くん!少し待っててもらえるかな?」
「秋瀬か。分かった!」
「私、佐藤くんに渡したいものがあって、これなんだけど。」
「これはクッキーだね!僕にくれるの?」
「うん!佐藤くんのために焼いてきたんだ。」
「クッキー好きだから嬉しいよ。ありがとう!」
「どういたしまして!それで、伝えたいことがあるの。」
「うん?」
「私、佐藤くんのことが好きだから付き合ってほしいの!」
「…少し待っててもらえるかな?」
「う、うん。急に言ってごめんね。」
「こちらこそすぐに答えが出なくてごめん。明日には出すから待っててくれる?」
「もちろん。」
「じゃあ、クッキーありがとね!また明日!」
「うん、また明日!」
そんなことがあったとはつゆ知らず、俺は忘れ物を取りに行くために学校へ走っていた。