#5
なかなか話が進みません。
ポンポンと話を進ませる積もりでしたが、難しい物ですね。
さて、今回で主人公の加護が少しわかります。
一部分だけですけどww
「……パープル?」
毛色は紫だが、パープルかどうかの判別は出来ないから、熊に尋ねてみた。
「やっぱり、お前だな!アイツに名前付けたの。」
やはりこの熊は喋れる様だ。
話の言い分からすると、パープルの事を知ってる仲間か兄弟だな。
後者の可能性は大だけど。
「なぁ君はパープルを知ってるかい?」
俺は、巨大な熊を見上げながら、熊に話し掛ける。
「知ってるも何も兄弟だよ。」
「そうなんだ。」
そうだろうなと何となく思ってた。
「あのさ、お前にお願いがあるんだ!」
「どんなお願い?」
「僕にも名前ちょうだい。アイツ自慢してたから少し悔しいんだ。」
この超でかい熊は名前が欲しくて俺達に近付いたのかww
可愛すぎる。
「良いよ簡単だけど、それで良いかな?それと俺には真って名前がある。隣の女性は絹だ。今後は名前で呼んで欲しいな。」
「うん。マコトとキヌだね。わかったから僕にも名前ちょうだい。」
パープルにしても、この熊にしても、幼い子供を相手にしてる感じがする。
「じゃあ、今日から君はプープルだ。プープル、わかるか?。」
「プープル…僕にも名前が出来た。凄く嬉しいよ。ありがとうマコト。」
名前ねぇ…そんなに嬉しい物なのか?
日本でも、ペットに名前を付ける事は、確かに当たり前だが、野生動物に名前が必要なのか少し疑問に思う。
「処でプープル、君に俺からのお願い聞いてもらえるかな?」
「良いよ。マコトのお願いだったら僕に出来る事ならなんでも言ってね。」
「あのさ…」
「ちょっと待って下さい。」
俺がプープルと話してると、横から絹が話しに割り込んできた。
「絹さん?どうしたんだ?」
絹をよく見ると、絹は短刀を抜いていた。
話しに夢中で気が付かなかった。
「さっきから可笑しくないですか?真さん、貴方さっきから獣魔と何を言ってるんです。会話の内容からして、名前云々とか、獣魔も襲ってくる気配がないので、私も攻撃してませんが…」
「あ…」
しまった。プープルが普通に話し掛けて来たから、普通に対応してそのまま会話してしまった。
そうだよな、普通こんな動物(獣魔)と会話してるなんて可笑しいよな。
やっぱり、これ加護の力だよ。
多分だけど…加護の力とか話すと、大事に成ると嫌なので隠しとくか。
上手く誤魔化せる事が出来るかわからないが、やってみるか。
「あ~知魚の効果かな?これまで何度も食べてたから話せる様に成ったんだろう。前に会った熊、いや獣魔にも名前が欲しがってたので、付けてあげたんだよ。絹も話してたじゃないか、知魚には、不思議な声が聴こえるとか?」
上手く誤魔化せてるか知らないが、一か八か言ってみた。
「え…知魚の効果ですか?私も食べましたけど、この獣魔の声は聞こえないですよ?」
「ん~…俺は以前から沢山食べてたからじゃないかな?薬とかでも、即効性な物や徐々にしか効果がない物もあるだろ?多分それだよ。」
「なるほど…じゃあ私も知魚を沢山食べると獣魔と会話ができるかも知れないって事ですね。」
「ど、どうだろう、それは個人差があるのかも知れないね。」
絹は少し考えてる様だ。
右手を顎にあてて下を見ながら、何かブツブツと話し出した。
「ねぇマコト?お願いってなに?」
プープルは大人しく待っててくれていた。
「あ、あぁゴメン、今から話すよ。あのさ、プープルって…」
「ガルルルルル…」
急にプープルが辺りを見渡し唸り出した。
「どうした?プープル?」
「マコト、悪い奴が居るよ。僕達のお母さんを殺した奴だ。」
「真さん、鬼が居ます。」
「へ?」
プープルだけかと思ったら、絹までもが、鬼がいるとか…
護符の効果は?
取り敢えず、俺は槍を取り出し身構える。
「絹、護符の効果はどうしたんだ?」
「護符の効果は絶対ではありません。本当に力が強い鬼には効果はありません。」
「ん」
今、力が強い鬼には効果がないと…
かなりピンチなんじゃないか?
くっそ~護符様々だと思ってたのに、こんな所で俺の人生終わるのか?
「こんな所で終わってたまるか!」
槍に力を入れ、気合いを込めて俺は言い放った。
横目で絹を見てみると、絹は短刀を構えて短刀が光っている。
声に反応したのか、ガサガサと草木の茂みから鬼が4体出てきた。
「でか…」
1体だけやけに大きな奴が居る。
2m50cmはある大きな鬼と、2体の小さな鬼、そして、武器を持ったプロレスラー並みの鬼だ。
しかし、こんな大きな鬼が居たのに何故わからなかったんだ?
これ程大きい鬼なら、近くに居ると、何か気配とか音とかで、わかるはずなんだが…
「マコト、僕はあの大きい奴やっつけるよ。良いかな?」
プープルの大きさなら、一番大きい奴でも子供みたいなもんだろ。
「プープル…あぁそうして貰えると助かる。」
「絹、プープルが一番大きい奴を殺るみたいだ。」
「わかりました。それなら私は武器の鬼を最初に処理します。真さんは小さな鬼をお願いします。貴方は霊力を使えないので、時間を稼いで貰えたら後で私が倒します。」
「あ、あぁ」
そっか、俺って余り戦力に見られてないな。
いやいや、こんな女の子が武器を持つ鬼を倒すってなら、少し怖いが、小さな鬼くらい倒してやるよ。
「エサニナレ、オマエタチ」
1体の大きな鬼がそう言って、鬼達は一斉に向かって襲ってくる。
「エサニナレ」
「ギャギャー」
「ギャギャー」
小さい鬼は言葉を話せない様だ。
プープルが、向かってきた鬼に右腕を叩き下ろす。
ズゥゥゥゥゥンと激しい音がしたと思ったら、大きな鬼が見えない。
絹は、武器を持つ鬼を一閃、あの短刀で何故か武器を持つ太い右腕を一瞬で斬り落とした。
俺には、小さな鬼が戸惑いながらも、襲ってくる。
槍で串刺しにしようと、突き出した。
「おらぁ!」
槍は鬼を貫いた?
正確にはすり抜けた。
「え?」
すり抜けた小さな鬼は俺の胴体にしがみついた。
もう1体の小さな鬼も足元に抱き付いてくる。
「なんだ?コイツら?」
俺は槍を落とし、拳に力を入れ思いっきり殴る。
だけど、これもすり抜け、小さな鬼達はニヤニヤしながら俺を見る。
物理攻撃は効果がないのか?
鬼は抱き付き何かをする訳でもなく、しがみついてるだけだ。
正直気持ち悪い。
「くっそ~離せ!気持ち悪い!」
捕まえる事も殴る事も出来ない状況で気が付いた。
コイツら霊体か?
悪霊か何かの一種か?
そう思った時、隣に絹が居た。
「真さん、そのままで。」
短刀で俺の足元にしがみついた鬼を串刺し、胴体に、しがみついた鬼の頭を斬り落とした。
「あ、もう終わったのか?」
先程、絹と武器を持った鬼の方向を見て見ると、鬼の姿はなかった。
俺に抱き付いてた鬼も消えていた。
「はい。もう鬼の気配はありませんよ。真さんは大丈夫そうですね。」
プープルも一撃で、あの大きな鬼を倒したみたいだ。
「あのさ、君やプープルが強いってのは、理解できたけど、鬼って実体が存在しないのか?」
「はい。知らなかったのですか?見えてるので、わかってる物とばかり思ってました。」
「マコト~なんで力を使わなかったの?」
「実体が存在しないって、わかる訳ないだろ。それに力ってなんだよ。」
「これだよ。」
プープルの右手が光っている。
「知らね~し、わからね~よ。」
俺に、何処かのアニメの、右手が光って唸る力なんて持ってないし。
「え~マコトって凄い力持ってるのに?変なの。」
プープルは俺が強い人間だと思ってるのか?
キョトンとして俺を見る。
「大丈夫です。真さんは、これからですよ。貴方の潜在能力は計り知れません。」
「役に立てなくて申し訳ない。」
悔しかったのか、つい謝ってしまう。
「本当にそう思ってます?貴方はやり方はどうであれ、時間は稼いでくれましたよ。確り役に立ってます。」
「あ、そうだ!マコト、お願いってなに?」
プープルが先程の俺のお願いを聞いてきた。
「あぁ、お願いってのは、今さっき倒した鬼を全滅させる為に、プープル達の力を借りたいんだ。良いかな?」
「うん、良いよ。アイツらさ、お母さんを殺した奴だから、絶対許さないし、兄弟達も呼ぶね。それで何処に行けば良いの?」
このプープルの強さを知った上で思うのだが、頭の良いプープルやパープルのお母さんを殺した鬼か…信じられないが、それ程に強い鬼も居ると成ると厄介だな。
しかし、戦わないと俺達人間が殺されるなら、なんとかするしかないな。
「マコト?」
「あぁゴメン、待ち合わせ場所って事か…絹さん、待ち合わせ場所に良い所ないかな?」
「ここから前方に黄色い花が咲いてる木があります。そこならお互いわかるでしょう。」
やはり場所は地元の人間に聞くのが一番だな。
「プープル聞いた通りだ、ここから前に行けば、黄色い花が咲いてる木があるらしいから、そこで落ち合おう。」
時間をどうするかだが…
「絹さん、封土の祠からその場所の時間と、封土祠での滞在時間ってどのくらい?」
待ち合わせ時間をお互い把握しないと話しに成らないからな。
「彼方の状況がまだわかりませんが、2日後のお昼頃なら良いかと思います。真さんの覚醒もしないと駄目ですし。」
覚醒か…俺に力があるなら早く目覚めたいなw
「じゃあプープルには何て説明すれば良いかな…」
「マコト?僕は太陽って言葉くらい知ってるし、何日とか、朝、昼、夜とかも知ってるよ。お母さんから勉強したもん。」
プープル達のお母さん、相当賢かったんだな。
「そっかゴメン、それなら絹さんから聞いた通りだ。2日後のお昼頃に黄色い花が咲いてる木の場所で待ち合わせしよう。」
「プープルさん、ありがとうございます。」
絹は、プープルに頭を下げて感謝を述べた。
プープルはそれを見て、少し嬉しそうに口元がニコニコしてる。
「わかった。絶対きてよ。待ってるからね。」
そう言ってプープルは森の奥に消えた。
「じゃあ私達も封土の祠に行きましょう。」
絹は荷物を抱え歩き出した。
俺も後に続く。
しばらく無言で歩いてたが、絹が話し掛けてきた。
「真さん。先程鬼に捕まれた場所は何も変化はありませんか?」
「特に何もないけど?」
「実は鬼に捕まれた人達は、魂や生気を吸われてるのですが、真さんは不思議と影響ないので安心しました。」
「はい?」
今、この娘、凄い大事な事言ったよね。
魂や生気を吸われるって詰まり、ゲーム等のドレインタッチって事かよ!
怖!
何でそんな大事な事を、先に言わないかな?
ホウレン草は、大事な事だよ。
報連相(報告、連絡、相談)
まぁ本当に何もなかったから良いけどね。
「出来れば、そう言う大事な情報は、先に教えて欲しかったな。」
「あ、ごめんなさい。護符があればあんな鬼と遭遇するとも思ってませんでしたので。」
深々と頭を下げて謝ってるので、悪気もないだろう。
まぁ俺は助けられた様なもんだから、偉そうに言う事でもないけどね。
「いや、俺も助けられただけだから、偉そうには言えないし、先程のお礼も言ってないしね。絹さん、助けくれてありがとう。」
暫く歩くと待ち合わせ場所に使うだろう、黄色い花が咲く木の元にたどり着く。
予定通り進めば、次回の話で覚醒を終了させたい所です。
しかし、話の展開上仕方ありません。