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騎士団長は永遠の恋をする  作者: てる
異世界へ
3/4

神様

どうぞ!!



「・・・あれ、ここどこだろう?」



目を開けると、そこには何もない白い空間が広がっていた。



確か、木から落ちて・・・それで突然眩しい光に覆われて。思い出そうとするが頭がぼんやりして思考が纏まらない。

そういえば、猫ちゃんがいない。腕の中にいたはずだけど。



辺りを見回してみるが、白い空間が広がっているだけで猫の姿はどこにもなかった。




「おかしいな、どこ行ったんだろう・・・。」



そう思っていると、突然背後から「やあ。」という声がした。

びっくりして、振り返るとそこにはイケメンがいた。白金色の髪に金色の瞳、少し幼さが残る顔立ちをしていた。


同じくらいの年齢だろうか。とその前に、



「・・・だれでしょうか。」



「神様です。」



そうニコっと可愛い笑顔で言った。



「・・・はい?かみ・・さま?」



今の私はものすごくすっとぼけた顔をしているだろう。あまりにも突拍子もない回答に呆然となる。



「はい、神様です。」



またもニコっと可愛い笑顔で言う。



とりあえず神様だと思い、ここはどこかなのか?聞くことにした。

すると、返ってきた答えは予想外で残酷だった....。



「ここは転生室で、死んだ人の魂を次の世界に送る場所になります。また、同じ世界には行くことはできません。」


「えっ」


「あなたは本来ならまだ死ぬ予定ではありませんでした。しかし、私を助けたことによって死んでしまったのです。本当に本当に申し訳ありませんでした。」



神様は先ほどとは打って変わって真面目な顔でそう言って、私に向かって頭を深く下げた。



・・・何を言ってるのか理解ができなかった。死ぬのはもっと先で、それに助けたって猫でそれが神様だったってこと?それにここに私がいるってことは私は・・・私は・・・



「もう、死んでるの...?」


「残念ながらそうなります。」



神様は眉を下げて痛ましい顔をして私を見る。



「・・・お母さんやお父さん、それに優貴人にももう会えないの...?」


「はい。」



受け入れがたい真実に涙が溢れてくる。



「そんな、そんなことって...。」



心のどこかで期待していた。これは現実じゃなくて夢なんだと。私は生きてるんだと。

皆とこれからも一緒にいられると思ったのに...、あれが最後なんて、もう会えないなんて・・・。



自然と拳に力が入り、涙が次から次へと流れ落ち、胸が張り裂けそうになるほど苦しくなる。



そして、しばらくの間私は声をあげて泣いた。涙が枯れるまでずっとずっと...。




--------------------------



「・・・・・私が言うのも変ですが大丈夫ですか?」



慎重に、伺うように神様が話しかけてきた。



「・・・大丈夫じゃないですけど大丈夫です...。」



そう言うほかなかった。いくら訴えても元いた世界に帰ることはできない。だけど、いつまでも泣いていたって何も変わらない。ならこの状況を受け入れるしかない。家族と離れていても私の心の中にずっといる。それだけはどこにいたって変わらない。


泣きすぎて目は腫れ、声はガラガラになったが泣いて少しだけスッキリした。そして、神様に「これから私はどうなるのか。」聞いた。



「あなたは獣人の国・ヴェルファ王国に転生します。獣人の国と言いましたが、あなたと同じ人間も少数ですが暮らしてます。ですが人間を差別する獣人や地域もありますので気をつけて下さい。」



獣人。小説や漫画でしか見たことがない。想像上だと思っていた、まさか実在していたなんて。



「そしてその転生ですが、本来なら生まれ変わって次の世界に行くのですがその、あなたは例外なのでこのまま行くことになります。」



申し訳なさそうに眉を下げながら言う。



「・・・分かりました。」



新しい世界、それも獣人が住む国という未知に不安を覚えるがそれをぐっとおさえる。



「ありがとうございます。その代わりといってはあれですが、1つ願い事を叶えさせていただきます!」



願い事・・・、考えるまでもなくすぐに決まった。



「家族に幸せをお願いします。」



神様は一瞬キョトンとした表情をしたが、すぐに優しい笑みを浮かべた。



「欲のない人ですね。分かりました。必ず叶えます。」


「ありがとうございます。」


「それでは、転生をはじめます。」



どんな感じで転生するんだろう、瞬間移動とかなんだろうか。少しドキドキしていると、それは突然やってきた。



「え」



立っていた白い地面?が私の周りだけポッカリとなくなっていた。



「は?」


「それではいってらっしゃい。」



いい笑顔でそう言うイケメン君。



「いやいやちょっと待ってえええーーーーーーーー!!!」



重力に逆らえるわけなく、下に落ちていく。




絶対、他に転生方法あるでしょ!なんでフリーフォール形式なのーー!!?




--------------------------



無事下に落ちていった凛を見送った神様だったが、ある重要なことを伝え忘れていた。


「あ、そういえば魔物が出ること言ってなかった!」


「きっとあの子なら大丈夫、大丈夫...たぶん。」




冷や汗が止まらない神様だった...。




次、やっと異世界へです!

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