51 調べればギスギスキャンセル
「ところで」
「まあ、安易な方法に頼らずとも、策を弄することには長けているようだが」
「お2人に」
「要領を得ませんね。将来、国政だか外交だかを担う者として致命的なのでは?」
「提案が……」
「察しが悪いとは知らなかった。実に優秀な従弟殿だと聞いていたのでな」
さっきから割って入ろうと試みているっていうのに、そこに見えないバリアでもあるのか。
話を聞いてくれよ、頼むから!
こうなりゃ実力行使よと立ち上がった私を、殿下がちらりと見やる。
ようやく意識が向いたかと思いきや。
「おまえの張った罠の話だ。リズに聞いてみるか? 王城で婚約破棄の取り下げを願い出るのに、こいつがどんな言葉を発したのか」
んん?!
「ずいぶんと熱烈だったよな、リズ」
そこで私にふる?
なんとかして場を諫めんとする、この私にか?!
さあ言ってやれと無言で煽ってくる殿下とは対照的に、レヴィは必死にすがるような目を向けてくる。
そりゃそうでしょ、片思い相手の語るのろけ話なんて、誰が聞きたいと思うんだ。
確かに報われない想いは早く断ち切った方がいいのだろうけど、いたずらに傷つけたいわけではないんだってば!
「……殿下、少し目に余りますわ」
「勝負事の外から手を回そうとしたのはそいつだ。結果を心待ちにしていただろうから、教えてやっているだけだが?」
おおう、悪びれない。
殿下の一矢報いたい気持ちもわからんでもないが。
ただしそれも、疑惑が本当なら、だ。
「問い詰めるにしても言葉を選んでいただかないと」
こっそりと耳打ちすると、殿下は伸びあがって私の耳元に唇を寄せた。
「こいつが正攻法で口を割るとは思えん。多少煽ってちょうどいいくらいだ」
「違っていた場合はどうなさるおつもりで?」
「別にどうも。どちらであろうと不要な行為ではあるまい」
うわあ、容赦ない。
そういやこの人、Sの気質があるんだったわ。
横目でレヴィを伺うと、いっそう血の気の引いた顔をしている。
このまま殿下に任せておいたらレヴィが潰れちゃうよ。
「レヴィ。殿下は、あなたの博覧会での一連の行動が婚約破棄を図ってのものと思ってみえるの」
おい、と横から呼び止める声が聞こえるが、無視だ無視。
「そんな……僕はただ、姉さまの喜ぶ顔が見たかっただけです。それ以外に望むことなど」
「リズの婚約破棄を望んでいないと?」
「それは、そうなれば喜ばしいとは、思いますが……あの日はそのようなこと考えてもおりませんでした」
しょげた様子のレヴィをじっと見つめる。
嘘を言っている様には見えない。
思い返せば、レティシア嬢と同行するまでは普段通りだったんだもんなあ。
突然のイレギュラーと私の蛮行に対応するだけで、手いっぱいだったろうに。
私だって、指摘されるまで全く思い至りもしなかったのだ。
レヴィからすれば寝耳に水もいいところだろう。
「殿下、やはり思い違いですのよ」
「正攻法は効かないと言ったばかりだが」
「まあ、まだ疑ってみえますの? 存外、疑り深いのですね」
「……おまえがそんなだからな」
殿下の重い溜息に、レヴィのほっとした声が混じる。
「よかった……。姉さまから疑われるのは生きた心地がしません」
「先ほどは殿下に釣られてつい熱くなってしまいましたが、いつだってリゼ姉さまが喜ばれることはなんだろうと、そればかり考えております。たとえば、姉さまは今、あちらを望まれているのかな、とか」
そう言ってレヴィが部屋の一角へと視線を向ける。
そこには、私が試みようとして成しえなかったそれ──楽器たちが鎮座していた。
……ちゃんと汲み取ってくれていたのか。
「今日は姉さまの誕生日ですから。ギスギスしてばかりではつまらないでしょう。一緒に弾かれますか?」
て……天使……?
こんないい子が、私を窮地に追い込むような真似をするだろうか。
否、疑う余地なんてないわ!
「ええ、弾くわ。疑ってごめんなさい」
こくんと頷きを返せば、はにかむような笑みをくれる。
「殿下!」
とくと見よ、うちの天使をとばかりに勇んで向き直ると、こちらは呆れたように一瞥をくれた。
「ホストとして、楽しいひと時を保障いたしますわ!」
「……好きにしろ」
許可を得ていそいそと取り出した私のチェロは、体格に合わせて少し小さめ仕様だ。
エンドピンはやや短く、ボディを少し立て気味にすれば、女性を模したつややかなボディは見事な曲線美を描いてすっぽりと納まる。
ガットの張りを確かめ、調弦の具合をみてから、準備の整ったらしいレヴィに頷きを返す。
2人を引き剥がすための策として促す予定だったが、どうせならば楽しく弾きたい。
今日もいい声で鳴いてね。
レヴィの奏でるピアノからはじまる、春を思わせるやさしい旋律。
伸びやかなチェロの音色を彩るように、小鳥のさえずりを模したピアノが続く。
音がかみ合うときの、このワクワクするような気持ち。
来てほしいところに合わせてくれるレヴィの演奏は本当に心地いい。
自然と頬が緩んで、レヴィと顔を見交わしてははにかみ、いたずらっ子のような目配せを合図に転調する。
我らが音楽教師泣かせの、特性アレンジだ。
主旋律に別の楽曲を織り交ぜ、思わず踊りたくなっちゃうような編曲にしてある。
ピチカートを多用した、飛んで跳ねての演奏に、控えている従者たちの顔もほころんでいる。
初見の殿下はさぞ驚いていることだろう。
さて評価はと見やれば、めちゃめちゃにぶすくれた顔をしているくせに、組んだ腕の陰で指がかすかにリズムを刻んでいる。
まったく、どんな反応だよ。
思わず破顔してしまって、音が乱れて慌てて取りなす。
多少のミスもご愛敬ってことで。
「姉さまは本当に楽しそうに弾かれますよね」
「本当に楽しいんですもの。レヴィとの演奏はいつも心躍るわ」
演奏を終え、殿下にいかがでしたかと問えば、ぶすくれた顔そのままに返ってくる。
「どんな魔改造だ。作曲家が泣くぞ」
「歌劇からインスピレーション受けましたと、作曲家たちがこぞって名曲を自分色に染めておりますのよ? 私がしていけない道理はございませんわ」
リストのパラフレーズとかね。
カルメンを題材にしたものなんて挙げればいとまがないぞ。
「お耳汚しでした?」
領地にいた時よりも格段に練習時間が短くなっているのだ。
そもそも録音器がないから、自分の演奏を聴き直したこともない。
ミスもしたし、独りよがりの聞き苦しい代物だったかも、と不安になったが、殿下は口をへの字に結ぶだけだ。
「少しは楽しめました?」
「……まあな」
不本意だがとでも言うように、つんと上向く殿下に、思わず頬が緩む。
「殿下は楽器はなさらないの」
おもてなし用として各種楽器は揃っている。
もし弾ける楽器があれば、一緒に演奏してみたい。
今ならたとえ、ばらんっばらんでも楽しいだろう。
「……バイオリンなら、少しはな」
「音楽の先生に書いていただいた譜面がございますの。よろしければご一緒に」
「バカ言え、あんな奇天烈な演奏が初見でできるか」
それならアレンジなしの譜面を、と戸棚を探っていると、レヴィが声をかけてくれる。
「僕が合わせましょうか」
おお……レヴィ、歩み寄りの姿勢がすごいな。
「そうね、レヴィなら初めての相手とも上手に合わせられるわ」
「……ほう」
えらく好戦的な目で殿下が選んだ楽譜は、ゆったりとした曲調のものだった。
レヴィからの申し出を挑戦状とでも受け取ったか、てっきり激しいものを選ぶと思っていたから少し意外だ。
手ごろな大きさのバイオリンを選び取ると、調弦を終えてすいと弓を据える。
不遜な表情で構える姿はなんとも様になっている。
歌うように奏でられるバイオリンを、緩急つけつつそっと支えるようなピアノの旋律。
レヴィのピアノの腕もなかなかだけれど、殿下のバイオリンも文句なしの腕前だ。
2人の奏でるしっとりとしたメロディラインに聞きほれてしまう。
耳にも目にも楽しく、とても良き……とほっこりしていると、わずかな違和感に目を瞬かせた。
気のせいかと思ったが、そうではない。
どちらが先に始めたのか、弾き始めた時よりもテンポが速くなっているのだ。
それも、互いに手を緩めたら負けとでも言うように、どんどん速くなる。
目の覚めるような速弾き。
まるでサラサーテかリストの曲でも聞いているかのようだ。
破綻しないギリギリを責めていたかと思えば、聞かせどころでは一転、示し合わせたように伸びやかになる。
合図もなければ事前の通達もないというのに、一拍の狂いもないとかどういうことなの。
その息の合いっぷりに、思わず拳を握ってしまうでしょうが。
再びハイスピードに戻り、最後まで弾ききった2人は、肩を上下させて互いを見やった。
その様子に。
たまらずに吹き出してしまった。
2人とも、何を新境地開拓しましたって顔してるの。
「お2人とも、実は気が合うのではなくて?」
「バカ言え」
「ご冗談を」
そのちょっと焦った様子でさえも、ばっちり合ってるのに?
「殿下、魔改造の素質は十分ですわ。次は私と一曲。速弾き対決をば」
びしりと弓を立てると、殿下は大仰にため息をつきつつ、口の端を上げた。
「手柔らかにな」
3人で代わる代わる何曲か弾き、おいしいお菓子に舌鼓を打ち、朗らかな茶会を終え。
城へと戻る殿下を見送りに出る。
レヴィは遠慮しておくとのことで、見送るのは従者と私だけだ。
「今日は大変な一日でしたが、おかげで楽しく過ごせましたわ」
「おまえとの演奏は散々だったがな」
「うっ、……レヴィと同じようにはいきませんわ」
レヴィの器用さとピアノの腕は折り紙つきなんだぞ、比べること自体間違っている。
いいじゃないか、ばらんばらんだって。
揃っていく過程も楽しいんだからさ。
「あの件、忘れるなよ」
むうと口を突き出す私に、馬車に乗り込みながら殿下が言い含める。
どの件だろ? と首をひねりそうになった私の額を小突く。
「とぼけた顔してごまかすんじゃない。あいつからの要求への対応だ。簡単に丸め込まれるなよ」
えーっとえーっと、条件が不確かなものは不履行。
それから各種要望をそのまま受け取るなかれ。
殊勝なご褒美を希望されても驚かない、それでいいのかと尋ねない。
あとは……
『自分の中で境界線をあらかじめ定めておけ。それ以上は望まれても断る、を徹底すればいい。その線引きがなければずるずると相手の要求通りに丸め込まれやすいと認識しろ』
だったか。
「お、お任せあれですわ」
額をさすりながらの返答に、怪訝な顔を返される。
どうにも信頼度が低いな。
「あと、それ。あまり俺の前でつけてくれるな」
胸元を指さされ、ぱちぱちと瞬く。
それとは、いただいたばかりのネックレスのことか。
「似合っておりませんでしたか」
「いや、まあ……似合っては、いる、が」
視線を外して言い淀むところを見ると、いつものツンデレか。
「主張の激しいところを目の当たりにしたくはない、ということでしょうか?」
「……っ!」
図星か。
殿下もよくよくブーメランな人だ。
「い、祝いの席だからだ! 他意はない」
真っ赤な顔でそれだけ言って馬車を走らせる殿下をほっこりと見送る。
しかしだな。
殿下の願いを叶えるとして、いったいどこで身に着ければいいんだろうね?
・ ・ ・
「殿下は帰られましたか」
「ええ。レヴィ、ありがとう。よい茶会の席になったわ」
殿下を見送ったその足でレヴィの部屋を訪れ、お礼を告げると、それならよかった、と柔らかな笑顔を返してくれる。
「こちらご覧になられますか? アンビューバックの石膏部分をエボナイトで作り直したものです。そして、こちらがご所望のゴム製手袋になります」
そう言って示されたのは、黒いプラスチックのようなアンビューバックの部品と、手首の長さまであるゴム手袋ひと揃えだ。
実際にはめてぐーぱーしてみると、多少のごわつきはあるも可動性は良好。
厚さは掃除用のゴム手袋といったところか。
指先はゴムが伸びぴったりとフィットしていて、細かいものでも問題なく、滑らずに摘まめる。
「いかがでしょう」
「希望通りだわ……いったいどうやって?」
「通常、手袋は2枚の手形を縫い合わせて作るものですが、姉さまは縫い目のないゴム製の品が良いとおっしゃってみえたので。縫い目をなくすために、この腕型を液状のゴムに浸して乾燥させてみました」
取り出されたのはエボナイトでできた人の腕だ。
そんなところでも大活躍だな、エボナイト。
「ゴムは液状にもなるの?」
「はい。エボナイト製造時の硫黄の増量をヒントに、アンモニアを増量してみました。アンモニアはもともと、生ゴムの凝固を防ぐ安定剤として使用するものなのですよ」
はあー……本当にレヴィがいてくれてよかった。
でなければ即効で詰んでたな。
ああ、ゴム手袋……待ち望んだ……ゴム手袋……
前世では呆れるほど見たその姿が、神々しくも思える。
しかしやはり、匂いが鼻につく。
ゴムの匂いにアンモニアまで混じって、なかなかの代物だ。
「こちらにも精油を垂らしてよいかしら」
どうぞ、との言葉に、はめたままの手袋へと一垂らしする。
香りの変化を確かめようと鼻を近づけると、精油が触れたところがじわじわとしわがれ、あろうことか、音を立てて弾けた。
アイエエ、な、なんで、えぇええ?
はじけ、えっ、弾けたんですけど?!
精油の量が多かった?
でも、万年筆は何ともなかったんだぞ。
アンモニアァ、おまえが原因なのか…?
それとも単にタイミングの問題で、私の指が太かったせいなのか??
血の気が引きまくって死相すら出そうな顔の私の横で、レヴィが弾けた箇所を見分している。
「レヴィ……ごっ、ごめんなさい、せっかく作ってくれたのに……」
「手袋はまた作ればよいのです。そんな顔をなさらないで。それに、これもいい学びかと。何が原因かつきとめましょう。
実は、オレンジとシトラスをかけたゴムだけ少し変形しているのが気になっていたのですよ」
レヴィはこちらを気遣う笑顔でもう片方の手袋を自分の手にはめると、それぞれの指にシトラス、オレンジ、シダーウッド、ローズ、レモングラスの精油を垂らしていった。
シトラスとオレンジをかけた指部分だけが弾けたことを確認し、こちらへと向き直る。
「やはり。レモングラス以外の柑橘系の精油はどれもゴム自体を溶かすみたいですね。とくに手袋をはめた時のように薄いゴムが張った状態ですと、その効果が顕著に現れるようです」
「そういえば……エレノア嬢が、レモングラスはレモンの香りがするけれど、レモンとは全く関係のない植物だとおっしゃっていたわ」
「なるほど、それならばレモングラスだけ効果が異なることも納得ですね」
「レモングラスの量を増やしたらどうなるでしょうか」
そう言ってレモングラスをかけたゴム入りの小瓶に、ぽたぽたと垂らす。
「オレンジほどではないようですが匂いは軽減されますし、ゴムの形状変化も見られません。レモングラスは使えますね」
なんと。
たちまちのうちに原因をつきとめ、対策まで打ち出してしまった。
君の頭の中には……以下略である。
「忘れる前に、インクの充填方法もお伝えしておきますね」
作業机の上にずらりと並んだインク壺の中から一つを取り出す。
「いろいろ試した結果、没食子インクの中でもブルーブラックが適しているようです。そちらを使用してください」
この万年筆を作るために、適した素材を考え、機構を考え、これだけの量のインクを試したのか。
しかも、すでに私が頼んでいた他の品と同時進行で。
「レヴィ、本当にありがとうっ! それなのにいっぱいごめんなさい!」
感極まって抱きついた拍子に、レヴィの体が当たったのか、机の上のインク瓶がぐらりと揺れる。
その内の一つが机から落ち、ちょうど置いてあった生ゴムにとろりとかかった。
ほぎゃあぁああっ
いくらなんでも破壊神すぎるでしょ、私ぃい……っ!
「ご、ごめ、ごっ」
動揺しすぎて言葉も出ない。
「いえ、大丈夫ですよ。姉さまこそ、ドレスは無事ですか」
ここでも先に私の心配とか……お願いだ、たまには責めてくれ。
「通常のゴムも黒い方がエボナイトとあいますよ。せっかくですし、着色版も試してみましょう」
天使すぎてつらい……
「明後日には領地に戻りますので、それまでに作ってみますね。戻り次第、タオルの増産と注射器の試作も進めます」
「ありがとう、レヴィ。頼もしいわ」
レヴィが帰る前に何かお礼をしたいのだけれど、家庭的なもの全般がだめだめな私一人ではろくなものが贈れそうにない。
また料理長の手を借りるか。
「戻る前に、……姉さまを抱きしめても構いませんか」
考え込む私へと、レヴィが意を決したように告げる。
「いいわよ?」
「……いいんですか」
なんでそんなに驚いた様子なのだろう。
さっき私の方から抱きついたばかりなのに。
私の決めた線引き、それは挨拶として可能かどうか、だ。
挨拶程度のハグなら、レヴィの恋心を助長させることも、殿下の婚約者なのにと横槍を入れられるようなこともないだろうしね。
そりゃ、しょっちゅう抱きついてばかりいるのはよろしくないだろうけど。
あらかじめ定めておくと、迷うことがなくていいな。
殿下に感謝だ。
「では……」
背中に腕が回され、そっと触れるだけの抱擁を受ける。
そういえば、レヴィの方から抱きつかれるの、領地を出て以来初めてなのか。
昔はぎゅうぎゅうしがみついてきたのになあ、と背中をポンポンしようとしたのだが。
レヴィがすぐに離れたために両手が空を切った。
「ありがとうございます」
「えっ、それだけで……むぐ」
あまりに一瞬過ぎて、それだけでいいのかと尋ねそうになり、慌てて口をつぐむ。
忘れちゃいけない、殿下との約束事だ。
「十分ですよ。姉さまを困らせたいわけではないので」
にっこりと笑顔を見せるレヴィは、本当に気遣いの塊である。
なんていい子なんだ、なんっていい子なんだ……!
「では、さっそく作業に移りますね」
レヴィがインクで汚れた生ゴムに手を伸ばすため、くるりと背を向ける。
なるほど、との冷ややかな呟きは、感涙にむせび泣く私の耳には届かないのだった。
ゴム手袋
19世紀末まで、手術は素手で行われていました。
手を殺菌する必要があることがわかって以降、強力な消毒薬による皮膚炎に悩む医療者が多かったそうです。
1890年、ある看護師を助けるため、ハルステッド医師がグッドイヤー社に薄いゴム製手袋の制作を依頼したのがきっかけでした。
のちに手の保護だけでなく無菌を保てることがわかり、世界中に普及していったそうです。
さらにはハルステッド医師とその看護師のキューピッド役をも担ったのだとか。
やるじゃん、ゴム手袋!
ちなみに、ゴム手袋が破裂したのは、柑橘類に含まれるリモネンという成分が原因のようです。
リモネンはゴムを溶かす性質があり、特に多く含まれているのはオレンジやシトラス。
レモングラスにもわずかに含まれるそうですが、わずかすぎるのかゴムへの被害は見られませんでした。