menu147 天が呼ぶにゃ! 地が呼ぶにゃ!! 人が呼ぶにゃ!! 猫の手も借りたいと、助けを呼ぶにゃ!!
本日コミカライズ更新日となります。
そちらもどうぞ召し上がれ!
「んで? 肝心の商売の方はどうなんだ?」
エーリクの講釈を聞いた後、ディッシュは質問した。
ディッシュの講義を聴き、感心し、小さく拍手を送っていたアセルスやキャリルは固まる。
それはエーリク自身も同じだ。
半ば興奮気味に、ラニクランド王家の新たな名物を説明してた王子だったが、ディッシュの質問を聞いて、さっと顔から血の気が引いていく。
微妙な雰囲気が流れた。
咎めるようにアセルスとキャリルが、ディッシュの方を向く。
「ディッシュ、今それを聞くか」
「空気を読まないにしても程がありますわ」
「うぉん!」
アセルスとキャリルはポカポカとディッシュを叩く。
ついにはウォンにまで責められる始末だ。
「みなさん、ディッシュさんを責めないで下さい」
エーリクは意気消沈する。
はあ、と息を吐いた。
周りは耳が痛くなるほど騒がしい。
祭りなのだから仕方ない。
だが、エーリクの店の前だけ、見えない壁があるかのように人の姿がない。
耳をそばだてれば、閑古鳥の鳴き声が聞こえてきそうだ。
「やはり、ラニクランド王家というのがネックなのだろうな」
アセルスは神妙な表情を浮かべて、腕を組む。
吸血鬼の王家が出す名物料理。
こう聞けばそそられるが、好奇心よりもやはり恐怖が勝ってしまうのだろう。
朝から開いていて、1杯も売れていないらしい。
エーリクは店の方に振り返る。
店の両サイドには、物々しい雰囲気の兵士が2人並んで立っていた。
「王女の計らいで、嫌がらせの類いはないんだけど、これだけずっと無視されるとね……。さすがに気落ちするよ」
「なるほどな。でも、まあ仕方ねぇんじゃないか?」
「仕方ない?」
ディッシュの言葉を聞いて、エーリクは顔を上げる。
「だって、吸血鬼が怖いもんだって、子どもの頃から刷り込まれて、俺たちは生きてきたんだぜ。その認識をいきなり改めろってのが、結構無理難題だと思うんだよな」
「ディッシュ、そういう言い方は……」
「いや、ディッシュくんの言う通りだよ、アセルス殿。…………いけると思ったんだけどなあ。僕の考えは甘かったんだろうか」
エーリクはがっくりと項垂れる。
気弱な王子に自信をつけさせたかった。
その思惑が今や風前の灯火だ。
これでは元のエーリクに戻ってしまう。
いや、人間と吸血鬼は一生わかり合えない。
そう心に刻まれたエーリクは、さらに内に引きこもる可能性がある。
もしかしたら、2度とカルバニア王国にやってこないかもしれない。
暗い雰囲気になる中、ディッシュはキングアップルジュースを飲み干す。
満足そうな表情を浮かべ、唇をペロリとなめた。
カンッと気持ちの良い音を立て、ジュースを屋台のカウンターに置く。
「吸血鬼が恐ろしいって認識は変わらないけどよ。吸血鬼が作るジュースがおいしいって認識は変えてもらおうぜ」
ディッシュは「にししし」と笑う。
そのいつもの笑みを見たアセルスは、ディッシュが何かを企んでいることを看破した。
「ディッシュ、何か方法があるのか?」
「もしかして、またゼロスキルの料理を作るんですの?」
アセルスとキャリルは興味津々だ。
「いや、今新しい料理を出したって、多分ダメだ。だから――――」
多少無理矢理でも、みんなの腹に入れてもらう……。
「え? いや、ディッシュくん……。無理矢理というのはちょっと。僕たちの地位がさらに下がっちゃうよ」
「心配するな。乱暴なことはしねぇ。実はすでに専門家を呼んでる。俺が知る限り、最強の助っ人だ。もうすぐここに来るはずなんだがな」
「専門家?」
「助っ人?」
アセルスとキャリルの主従コンビは首を傾げる。
すると、騒がしい祭りの日に、どこからともなく聞き覚えのある声が聞こえてきた。
にゃ――――――はっはっはっはっはっはっは!
にゃ――――――はっはっはっはっはっはっは!!
「この声って……」
「まさか――――」
アセルスとキャリルは反射的に顔を上げる。
ウォンもまた天を仰いだ。
周辺にいた民も高笑いに気付いたらしい。
皆、足を止めて、王都では珍しくない増築に増築を重ねた4階建てのアパートの屋上を指差す。
「なんだ、あれ?」
「鳥?」
「ドラゴン?」
「いや、ネココ族じゃね?」
そう。
それは1匹のネココ族少女だった。
元来、身軽な種族である。
高いところに侵入するなどお手の物だから、誰もそのことについては驚かない。
皆が戸惑っていたのは、ネココ族の少女が目元だけを隠す仮面をつけていた事だった。
「キャリル……。私――あのネココ族に見覚えがあるのだが」
「え、ええ……。偶然ですね。わたくしもどこかで――――」
なんか色々と察したアセルスとキャリルが若干引いていた。
その間も、ネココ族の少女のワンマンショーは続く。
「天が呼ぶにゃ! 地が呼ぶにゃ!! 人が呼ぶにゃ!! 猫の手も借りたいと、助けを呼ぶにゃ!! みんな、聞くにゃ! ニャリスは正義のネココ族! えっと……。えっと…………ニャ、ニャリス仮面にゃあああああああああああ!!
皆様のご支援のおかげで新作『魔物を取るな、とハンターギルドに言われたので、料理ギルドに転職したら、好待遇な上においしいものまで食べれて幸せです。魔物が増えたから復帰してくれと言われたけど、もう遅い。』が、日間総合1位を取ることができました。
読みに来てくれた方、本当にありがとうございます。
まだ読んでないと言う方は、実食回も近づいておりますので是非お願いします。
ヤングエースUPにて「ゼロスキルの料理番」のコミカライズが更新されました。
そちらの方も合わせてよろしくお願いします。







