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31話

短。


----------


「おねーちゃん僕も一緒に行く!」

「僕も!」

「困らせたら駄目よ。」

 トルンとカイは苺と離れたくないようだ。

あれからひと月経ち、3月に入った。


 例年通りなら、まだ街道の途中は雪に埋もれているだろう。

進んでいく間に溶けてゆくので、カリエマに着く頃は、春の陽気のはずだ。


「僕がお婿さんになるんだから、絶対戻ってくるんだよ!」

 グズグズと鼻を鳴らしながら強がるのはカイだ。

でも残念だったな、苺はあげないからな。


「じゃあ行ってくる。アイシスさんを大事にしろ、相棒。」

「おう、コーヘーも気をつけろ。魔族が居るかも知れないからな。」

「分かった。」

 東へ伸びる街道を、カリエマを通り、ウィエダまで。

4ヶ月程の旅になる。


 次に会えるのは来年か。

なんて感傷に浸り、苺との二人旅を走らせる。


----------


 カリエマで馬車を防衛隊に返し、定期馬車を待つ。

次は五日後辺りという事なので、春の森へ採取依頼を受けて行く。


 ダンジョンや魔物討伐もいいけれど、森の中を冒険するのは未だに楽しい。

夜営はいつも苺を寝かせ、俺は木に背を預け、焚き火を眺める。


 焚き火を眺めながら、考えてしまうのは杏子の事だ。

ウィエダで何かを掴めなければ、俺の持ち札は無くなる。


 宛はない。

セイや教会は恐らく頼れるだろう。




 けれど、コーンはもう着いては来られない気がする。

…新しい家族。


 あいつにも、あいつの家族がある。

大事な、大事な家族が。





 それと年齢。

俺も今年で三十六になった。





 あと何年、世界を周れるのか…

その間に杏子を見つけ出し、救えるのか…





 杏子の事を諦めてはいない。

それでも俺の『可能性』は、徐々に、徐々に、終わりが見え始めている。










----------


「パパ~、起きてっ!」

 気がつけば朝。

いつの間にか寝てしまったようだ。



「…ごめん、…ごめんな。」

 何に謝るでもなく、苺に謝った。


 カリエマに戻れば、定期馬車が出発を待っていた。

御者のおっちゃんに声を掛けて、慌てて支度を済ませ、馬車に乗る。


 泣いても笑っても、次の目的地が俺の最後の希望だ。

 

 杏子、そこに居るなら返事をしてくれ。


 どうか俺を君の元へ導いて欲しい。

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