"みえ"との同居?の始まり
そもそも、"みえ"の存在に気がついたのは病院のベッドの上、意識不明に陥ろうとしつつある私の周りで、さして親しくもない親戚等がサメザメと泣きながら、入院費や、治療費、保険金、労災、、、金、金、金。口からでるのは金の話ばかりが聞こえてきて、いい加減うんざりしてきたけど、こっちも重態でリアクションの1つもできなかった時。
「ウザイし。ババァ、金の話しかしないなら来んな」 ハスキーな声が右斜め上から聞こえてきた。聞いた事のない声だなぁ、と思いつつ、そうだそうだ!と相づちを心で打っていたら、続けて「保険金も労災も、あんたらには、これっぽっちも関係ないし?治療費も入院費も後で払うものだし、保険証があるってことは、高額医療費で申請できるし?」 へぇ。そうなんだ。誰だか知らないけど、詳しい人なんだなぁ。「ってか、彩希?声聞こえてるの?」 うんうん。聞こえてますよ?「ふぅん。聞こえるんだ。ふふ。へぇ。」 ?なんだか楽しそうな? 「じゃあまぁ、ここでいいかな?」 ?何が?「え、居場所。私の。」 ってか、誰。「まぁ、おいおい?彩希がもう少し生き返ったら、後悔して?うっかり死にかけたことに(笑)」
ええ。その会話のおよそ一週間後、少し元気になった私は鏡を見てびっくりしましたよ。 一重の涼しい目をした美人さんの人面蒼が私の右眉の斜め上でにやり、としていたのを見たときは。 そんで、しゃべるし。毒舌だし、無駄に知識あるし。
人間、ついうっかり死にかけたらダメだなぁって後悔しつつ、"みえ"との同居?が始まってました。