07:その剣は誰が為に
真っ暗な部屋に居た。
俺の部屋だ。
俺以外には誰もいない。
部屋にも、この家にも。
その日の朝、両親が死んだ。
俺は一人になったんだ。
だからその夜の俺は、最高の気分だった。
家中の電気を消して、映画好きだった親父の部屋からバカみたいにデカいテレビを持ってきた。
広いリビングで誰の目も気にせずに全裸になるのは思いのほか快感だった。
秘蔵の裏ビデオを大音量で流す。
近所の事なんかどうでも良い。
無修正で犯される洋ロリ。
臨場感が違う。
凶暴過ぎるビックサイズ。
こんな日のために用意しておいた近所の幼女の生パンツを顔面に被る。
股間が溶けそうなくらいに熱くなる。
全身が滾る。
フワフワのソファにダイブ。
そのまま体を捻って華麗なブリッジを決めた。
汗だくのまま、泣きながら、俺はそれまでの人生で最も激しく絶頂を迎えた。
そして…………
「勇者さま!」
目の前に金髪のロリがいる。
あの洋ロリよりもかわいいな。なんて思った。
「……ご無事ですか?」
レザリーも心配そうに俺を見下ろしていた。
そうか。
少しだけ思いだした。
そして同じくらい理解した。
俺はこの世界の人間じゃない。
別世界から召喚された異界の勇者。
金髪ロリ姫の言葉と、その事実を、俺は自然と受け入れていた。
「あぁ、平気だ」
起き上がれば、広がるのは瓦礫の山。
これが魔族に襲われた街の末路。
その結末を変える事が出来るのは、戦える力を持つ者だけ。
すなわち、勇者。
つまり、俺。
「俺は、間に合わなかったのか」
なんて、らしくもない事が口をついていた。
利用される事ならいくらでもあったのに、誰かに頼られるなんて事、一度もなかった。
だけど、こいつらは、俺を頼った。
世界を超えて、この俺を求めたんだ。
それを理解できる。
召喚された時の記憶が、感覚が、世界を超えるほどの力を覚えていた。
その思いの強さを覚えていた。
それなのに、俺は間に合わなかった。
「勇者失格だな」
自嘲する言葉を、金髪ロリ姫が否定した。
「そんなことありません!」
幼い手が俺の手を包み込む。
「勇者さまの手、あたたかいです」
祈るような言葉だった。
「この温もりを感じることができるのは、わたしが生きているからです。勇者さまが生きていてくださるからです!」
その青い瞳が俺を真っ直ぐに射抜く。
「たった二人でも、勇者さまは守ってくださいました。わたし達を守ってくださいました!」
なに、バカなこと言ってんだ。
「あったかいのは、お前の手の方だろ……」
「ちがいます!」
笑顔で否定された。
「あなたの温もりがなければ、わたしの温もりもなくなっていたんです。だから、この温もりは勇者さまがくれた温もりなんです」
恥ずかしそうに笑う顔が眩しい。
涙が出た。
きっと、笑顔が眩しすぎたせいだと思う。
「私はローリエ。ローリエ・ストリングフォース」
だから、そのせいだ。
「あなたに救われた者です」
俺はこの幼い少女を、守りたいと思った。
ここまで読んでいただいてありがとうございます。
ここまでで第1話のつもりです。
魔族との戦い、旅の始まりは次回から。
よければお付き合いを。
次回、新たなる乳。