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02:金髪ロリ現る

「光りよ!」


ダイナマイトボディの気配が消えてから、どれくらいの時間が経ったのか。


息子の痛みが引いて来た時、部屋にあの女の声が響いた。


声に反答えるように、ボボボッと何かが燃える音がいくつも聞こえた。


そして俺は、初めて自分の居る場所を知った。


……城か?


やたらツルツルした石造りの建造物だった。

綺麗な白一色に統一された、バカみたいに天井の高いドームのような空間だ。


壁には高級そうな銀色の燭台がズラリと並んでいて、さっきの火の音の正体は多分それだと思う。


俺は大の字形の木みたいなのに張り付けられているから背後は見えないが、後ろの方も同じような感じだろう。


そんな丸くてデカい部屋の真ん中で俺は全裸だ。


俺の正面にはダイナマイトボディがいた。

その背後に、金髪ロリを隠すように。


明かりが灯るまでは全く気がつかなかったが、いたのだ。


そう、金髪ロリが。


「この男が最後の召喚者です」


ダイナマイトボディが言うと、金髪ロリが俺の前まで歩み出てきた。


召喚者?


聞きなれない単語が聞こえたが、それはすぐに吹っ飛んで消えた。


天使かと思ったんだ。


まるで作り物めいたその小さな顔の中で揺れるのは鮮やかなブルーサファイア。

その中心で星のような虹彩が煌めく。

腰まで伸びた金髪はまるでその一糸が金細工でできたような輝きを放っていた。


その全てが、幼さと美しく調和していた。


「はじめまして、勇者さま」


……はっ!


俺としたことが思わず見惚れてしまった。

自分が全裸だと忘れる所だった。


「……勇者だと?」


俺は表情を作り直し、できるだけ悪そうに答えた。全裸だが。


交渉ごとは舐められた方の負けだ。


自分を有利に、相手を不利に。

そのためには自分の弱みは見せず、相手の嫌がるところを突く。


そう、交渉だ。


見知らぬ場所で全裸で張り付けにされていれば誰だって分かる。


俺はピンチだ。

間違いなくピンチだ。


これからナニをされるかわかったものではない。


俺は迅速に状況を把握し、自分に有利な状況を作り出さねばならんのだ。

そのために交渉をせねばならんのだ。


「はい。あなたこそがわたし達の世界を救う勇者さまです」


よし、なるほど、わからん。

現状把握断念!


「だったら、これが勇者に対するこの世界の礼儀なのか?」


ガシャッとワザとらしく枷を鳴らす。


まずは身体の自由が欲しい、と。

話はそこからだと。


「もうしわけありません。これが儀式のルールですので」


「ルールだと?」


「はい。このルールに関してはわたしの力ではどうしようもありません」


金髪ロリによると、俺はこの世界に勇者として召喚されたらしい。


だが、召喚が成功したのかを見極める必要がある。


悪のものではなく、魔を払う勇者だという証が見つかるまでは危険因子と見なされるというのだ。


「ですから、すぐに解放したします。あなたが勇者だという証拠を手にできたのならば、すぐに」


なるほどな。なんとなくわかったぞ。


だったら、俺はこうでるまでだ。


「事情はわかった。ルールなら仕方ないからな」


「……よかった。助かります」


「……だが、だったらなぜお前達は服を着ているんだ?」


俺たちの交渉はこれからだ!

※言うほど交渉しません

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