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漫才脚本シリーズ

漫才脚本「名探偵」

作者: 山田結貴

A……ボケ担当。B……ツッコミ担当。

コンビ名は考えていないので☓☓としました。

   A・B、ステージに上がる。


A「どうも~☓☓です!」


B「よろしくお願いしま~す!」


   A・B、観客に向かって軽く頭を下げる。


A「B君。最近俺ね、探偵が主人公のミステリーにはまってるのね」


B「はいはい。探偵が事件に巻き込まれて、事件を解決するパターンの奴ね」


A「で、色々な推理小説を読んでるうちに、名探偵みたいに事件を解決してみたいって思うようになったんだよ」


B「ええ~。A君が名探偵? 果たして務まりますかね?」


A「失礼だなあ。俺に任せたら、どんな事件も瞬時に解決しちゃいますよ」


B「本当か? なら、俺が刑事をやって情報を与えるから、お前は名探偵になって事件を解決してみろ」


A「よし! 事件を解決してみせるぞ!」


   A・B、それぞれの立ち位置につく。


B「おやおや、A殿。また事件現場に居合わせるとは、奇遇ですな」


A「ええ、本当ですね」


B「本日はどういった事情でこのホテルにいらしたんです?」


A「ええ、ちょっと野暮用で。 何か歩いてたら美味しそうな匂いがしたんで、つられて歩いてったらいつの間にかここに」


B「本当に野暮用じゃねえか! ここは嘘でも依頼の帰りとか言っときなさいよ!」


A「じゃあ、それでいいです。そういうことにしておいて下さい。あ、すみませんちょっと」


   A、コソコソとBに背を向ける。


B「どうしました? 他に依頼でも来たんですか?」


A「(携帯をいじるような動作をしながら)また事件に、遭遇なう」


B「呟くな! なに事件に巻き込まれたことを呟いたりしちゃってんだよ。不謹慎だろうが!」


A「B刑事、相変わらず無能のくせにうざいなう」


B「てめえ、侮辱罪で豚箱ぶち込むぞ?」


A「はいはい、すみませんでした。ところでB刑事、今回の被害者は?」


B「うむ。今回の被害者は、二十二歳の男子大学生。何でも、卒業祝いにゼミの仲間と旅行に来たそうです」


A「ふむ、ゼミの人とね」


B「被害者はこのホテルの部屋で、うつぶせに倒れているところを一緒に旅行に来ていた彼女に発見されたそうです」


A「なるほど。リア充がガチで爆発しちゃったパターンですか」


B「いや、その言い方はどうかと思いますけど?」


A「よし、犯人は彼女のいない非リア充。片っ端から連れてこーい!」


B「偏見が甚だしいにも程があるだろうが! で、凶器のことなんですけど」


A「おおっ。それを聞かなきゃ話が進まない」


B「どうやら被害者は、ロープで首を絞められて殺されたようなんです」


A「なるほど。過激なSMプレイの末に……」


B「流石に首は絞めないと思いますけど! あんた、被害者から名誉棄損で訴えられたら負けますよ」


A「大丈夫。死人に口なし、ですから」


B「あんた、マジでカスだな」


A「どういたしまして」


B「で、凶器も死因も明らかになっている今回の事件なんですが、一つ厄介なことがありまして」


A「死体が突然、生き返った」


B「そんなホラーみたいな展開じゃないですよ! てか、被害者生き返ったら犯人聞き出せるし、警察も探偵もいらないでしょうが」


A「うわっ。被害者が生き返ったってことは、俺、名誉棄損で訴えられる? いやーっ! ごめんなさーい!」


B「だから、生き返ってねえって言ってるだろうが! 厄介なことっていうのは、この部屋が最初密室だったということです」


A「え? 彼女が被害者を発見したって言ってませんでした?」


B「実はですね、みんなで集まる時間になっても被害者が来ないので、不審に思った彼女さんがホテルの方に頼んでマスターキーでドアを開けてもらったんですよ。で、倒れている被害者を発見したというわけです」


A「なるほど、なるほど」


B「容疑者は、こちらの方で三人まで絞りました。まずは、被害者の後輩。次に、被害者の彼女。最後は」


A「B刑事か……」


B「違いますよ! 私はさっきまで、署の方にいたんでアリバイ完璧ですからね? 最後の容疑者は、被害者の親友です。まあ私なんかよりも、さっきからリア充をひがんでいるあんたの方がよっぽど怪しいですけどね」


A「……てことは、俺が犯人だったのか。うわあ、それは盲点だったーっ!」


B「お前、自分がそんなに信用できないのか! 大体、探偵が犯人だったらミステリーとして成り立たないぞ」


A「(気を取り直し)あ、それもそうですね。で、被害者の死亡推定時刻に、容疑者たちは何をしてたんですか」


B「はい、アリバイですね。まずは、被害者の後輩から。彼はその時間、ホテルのプールにいて、そこで女の子を口説いて、その後は……その。イチャイチャしていたそうです」


A「はいそいつ、逮捕!」


B「何を根拠にそんなことをおっしゃるんですか?」


A「女の子を口説いて、何か言い感じの雰囲気になってイチャイチャ。これほどひどい凶悪犯罪が他にありますか!」


B「お前、さっきから何なんだよ! 殺人の方が、凶悪でたちの悪い犯罪に決まってるじゃねえか! ちゃんと全員分の情報聞いてから判断しやがれ、ヘボ探偵!」


A「うっわ、恐っ……コホン。じゃあ続きをお願いします」


B「で、被害者の彼女はと言いますと、その時間は自分の部屋でテレビを観ていたそうです」


A「はいはいはい」


B「で、被害者の親友は、ロビーでくつろいでいたそうです。周囲に話を聞いてみたところ、彼のことを覚えている者はいませんでした」


A「その人、影が薄かったんですか?」


B「まあ。あまり印象に残るタイプではなかったですね」


A「むむむ。印象に残らない、イコール非リア充。イコール……こいつが犯人だ。逮捕ーっ!」


B「非リア充犯人説はもういいんだよ! で、ここまで話を聞いた中で何か気になったことはありますか?」


A「僕がここに来る理由になったいい匂いが、果たして何の匂いだったのか」


B「はい。どうせ、ディナーか何かの匂いだと思われます。では、探偵殿。そろそろ推理の方をお願いできますか」


A「はいはいはい。まず、密室トリックの方から行きましょうか」


B「それが一番問題になっているところですからね」


A「おそらく犯人は、被害者を殺害した際自分の鍵と被害者の部屋の鍵をすり替えたんです」


B「なるほど。各部屋の鍵の形は、確かにそっくりですからね」


A「そうすれば被害者の部屋に改めて入った際、周囲の目を盗んですり替えれば、トリックは成立します」


B「つまり、それをできるのは第一発見者の……」


A「でもムカつくから、やっぱり女とイチャイチャした後輩が犯人だーっ!」


B「私情で推理をねじ曲げんな! もういいよ」


A・B「どうも、ありがとうございました~!」

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