さよなら
さっきからたくさん私にはなしてくれていますが、なぜですか。
「人は出会うべき時に出会うべき人と出会うからね。すべては必然さ。」
なるほど。
「では、私は生まれ変わることにするよ。生まれ変わったら、そうだな、君みたいな女がいいね。顔はそこそこだけど、子をうめる。神話にもあるように男でも人は作れるが、やはり子を産むのは女性のほうがいい。そして君は何より、僕に似ている。顔も、性格もね。」
ありがとうございます。嬉しくないです。
「ははは、君は面白いね。僕は君が気に入った!君はとても大切な人だよ。」
さっきあったばかりですけど。
「時間なんて関係ない。僕は君が気に入った。いいものだ、最期を君のような人と過ごせるのだからね。」
口説いてるんですか?
「まさか!僕は今から神になる。」
死ぬんですか。
「何度も言わせないでくれ。生まれ変わるのさ」
そうでしたね。
「では、さよなら。」
そうして男は、首吊りの樹に体を委ねました。
景色がゆがみました。目の前にたったいたはずの
女性が、いつの間にか遠くで悲しい顔をしながら
何かをいいました。
朝だ。美しい。
こんなに朝は美しかったのか。
涙が出る。手を見る。まるで女性のような手だ。
近くに泉があったので、水を飲んだ。すると、僕の顔がうつった。あぁ、さっきまで話した女性そっくりじゃないか。でも、違うな。僕にも似ている。
なにがあったんだろうか。
生まれ変わろうとして、あの樹の下で女性に出会って。なぜ、僕は生きている?いや、これが神になったということか。そうか。きっとそうなんだな。
男は喜びに満ちた様子で立ち上がると、何かに気づきました。
これは、なんだ。手紙か?
あけると、そこにはとても几帳面な字で
こう書かれていました。
「あなたは人は神になれる、前までは神であったと言った。貴方の自論は間違ってもいないし正しくもないと思う。しかし、貴方は神になると言って死のうとした。死などと言う言葉で表したくないだろうが、肉体をなくす、それ即ち死だ。肉体から開放されたもの、そうだな、魂は何処へ行く?魂だけでは何もできない。器がなければ、イレモノがなければ。それに気付けないのなら、貴方はまだ死んではならない。
さぁ、生きなさい。その答えを導くまで。」
僕は震えた。これを書いたのは、きっとあの女だ
。してやられた。僕は生きねばならなくなった。
このイレモノと共に。さぁ、答えを導こう。
そして、神にならなくては。
あなたは、この答えを導き、神になれるか?




