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It has been just mitnight

chill−anxiety−loneliness

なぁ・・覚えてるか・・

あの時の寒気を・・どんな辛い環境になろうと・・

俺たちは生きて行かなくてはいけない・・・


何週間も光を見ていないお前

外はとても厳しい寒さだし、手紙を書く俺の手は凍りそう

息をする事も忘れ、怯える姿を見せてはくれないだろうけど

カーテンを開けるきっかけになればいいと思うんだ・・


奴の中学時代は最低

周りはカス野朗と罵ってる

そいつは暴力的な感情にボコボコにされたらしく

深い闇の中、孤独に蝕まれてる

「なんで俺だけこんな目に・・」

暗闇の中・・恐怖を隠す為に狂気を持つ

そして、暴力での主張はさらに自分を貶める結果になったんだ

盲目と化した飢えた瞳は、奴が憎むべき社会に殉じた父親さえ負け犬と蔑み

弱った心に鞭をいれる

本当は分かっていたはず・・

生きるという中で父親が何を選択し家族を生かしてきたか

身近にあった理解から一番遠い世界は奴をナーバスにさせる

ある日、現実から逃げたくて母親の車を盗み街を出ようをした

運転なんてしたことがない・・案の定、事故って逆戻り

幸いだったのは家に戻らず入院したってこと


始業式に奴の姿はなかった

クラスメイトは噂に群がるハイエナ

一ヶ月もしたらそんな話忘れちまってる

取り残された時間の中、奴は必死に泣こうとした

涙なんてでないのに・・

目には生気が無く、爪を噛む

そんなガキを看護師や患者は不気味がってる

そんな時、誰一人として相手にしてないのに

彼女が声をかけてきたんだ・・

「ねぇ・・何がそんなに悲しいの」って

閉じた心には皮肉に聞こえたらしく

醜い顔で彼女を突き飛ばした・・

こんなことしたら事態が悪化することぐらい分かってる

日々加速する怒りを制御することが出来ないんだ


朝ベットにいた

母親は何をしにくるのか罵声を浴びせ返って行く

その後ろ姿が小さくなり消えるまで窓から眺めていた

・・突然だった・・

紙飛行機が飛んできて、反射的にそれを掴もうとしたが体が思うように動かず床に転がり落ちた

点滴の針が外れ、辺りは軽いパニック

彼女は・・やちゃった・・って顔で見てる

小声でつぶやく「ちぃ・・お前かよ・・」

何故かそれは悪い気がしなかった・・

そして後三日で退院できるって頃

彼女の事が気になり始めていた

あれか顔も合わせてなかったけど、あの時の紙飛行機を持って病室を訪ねてみることにした

「なにそれ」とか冷たく言われるのは怖かったけど

まぁ・・なれてるし・・

勇気をだして病室をノックしてみた

・・・

ドアを開いてみると・・予想と違い殺風景なもの

とても重い病気を抱えてるらしく、他の病院に移ったらしい・・


学校も始まったある日・・

自分で自分を罵っていた

言い方が悪いな。自問自答ってやつ

この前と同じシチュエーションで病室のドアを叩いた

「どうぞ・・」

部屋に入るなり呆然とした・・

彼女は始めて見た時よりも弱々しくカーテンも閉めて

ベットで一人・・

「まだ・・そんな悲しい顔してる」

あの時の奴よりディープに沈んでる様にみえる

絞められた喉を開こうとするが言葉が出ない

彼女は手の紙飛行機を見て微笑んだ・・

「それは君へのプレゼントだよ・・」

「はっ・・」

やっと吐き出せた・・

彼女それを手に取り飛ばした

「君はもっと自由に飛べるから」

理解に苦しんだ・・

言葉の意味も分からないままだったが、学校が終わると病室に向かう日々

毎日話をしているうちに変なプライドは学校に置いて来る様になった

楽しかった事やムカついたことを彼女に話す

気の利いた事は言えないけど彼女の笑顔が見れたらそれでいい・・

初めての感覚だった

しかし、この日は長く続かない・・

毎日、毎日、、

彼女を見ているからそれはなんとなく気付いていた

今日は何度目かの手術に日・・

彼女は言っていた

「もしも元気になれたら・・私はもっと世界を見てみたい・・普通でいいから好きな人と一緒にいたい

・・一緒に年をとって・・生まれ変わってもまた・・その人と出会いたい。今日も着てくれてありがとう・・」

それが彼女の最後の言葉だった


そして・・彼女が居なくなった世界・・

元の鞘に戻るはずだった・・

彼女のくれたプレゼント

彼女が居なくなったその日・・やっと答えが見つかった

「・・また一人になるけれど・・また暗闇に迷うかも知れないけど、今は24時を回ったところ、やがて光は射してくる・・」


なぁ・・紙飛行機に書いて飛ばしたらさ・・

彼女の元に届くかな・・



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