君を信じることができなくて・・・
俺には大好きな人がいたんだ。
だけど、それはきっと俺の気のせい。
俺はただ、“君に惚れた”と錯覚していただけなんだ。
――勘違いはやめて。
それは、君によく言われたセリフ。
だけど、俺は君を疑うことしかできない。
俺にとって、君の気持ちなんて関係ないから。
俺は君の気持ちを無視して、これからも疑い続ける。
俺は俺であるために、君を疑い続ける。
俺にはそれしかないから。
俺には君を疑って待っていることしかできないから。
好きだけど、君を信じることなんてできない。
大好きだけど、君を疑わずにはいられない。
――何か君には隠し事があるんじゃないか?
って、俺にはそう思えて仕方がないんだ。
だから、嘘でも構わない。
君が毎日、俺に「愛してる」と言ってくれさえすれば。
君が俺の顔を見るたびに「好きだよ」って言ってくれさえすれば。
それだけで、俺は俺である意味があるのだから。
俺はこれからも君を愛すことができるのだから。
君を疑わずにすむのだから、別に嘘でも構わない。
だけど、そんな俺の気持ちを無視して、君は俺に何も言わない。
君が望むのは無償の愛。
俺が望むのも無償の愛。
だけど、君は口に出して言ってはくれない。
行動では「愛してる」と言ってくれるけど、口では言ってくれない。
だから、俺は君を・・・君を信じることができない。
別に嘘でもいいんだよ?
ただ、俺は君の声で「愛している」を聞きたいだけなんだから。
何も他にはいらない。
君の温もりさえあれば、他には何もいらないんだ。
だけど、君は俺を見守ることしかしてくれない。
それが君の優しさだということは知っているんだ。
それが君の優しさから来ているモノだとわかってはいるんだ。
だけど、俺は心の底から君を信じることができない。
それは俺が酷い人間ということではなくて、君が悪い人間だからなんだよ。