第六話 ひかりと美沙 前編
私は、美沙との過去を回想していた‥‥‥‥‥‥
ーーーーーーーーーーーーーーーーひかり・美沙 四年前ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「はぁ、はぁ、はぁ‥‥‥‥‥ひかりー!待ってよぉー。」
美沙が後ろの方から息を切らして叫んで来る。まったくー。遅いなーー。
「ひかりーーーなんでそんなに早く行けるのー?」
「私が早いんじゃなくて、美沙が遅いの!大丈夫?すごく苦しそうだけど‥‥‥‥‥」
「だ、大丈夫‥‥‥‥あーあ。休みにこんな山来るんじゃなかったなーーー。」
「何言ってんの、美沙。この山は私達がタイムカプセル埋めた場所だよ?それで、荒らされてないか毎年見に来てるん
じゃん!」
「そうだけど‥‥‥」
「だったら、頂上まで行っちゃお!」
私達は頂上までいっきに行った(途中で美沙が転んだり、リタイアしそうになったけど)。タイムカプセルを埋めた場所には、目印がしてある。‥‥‥‥‥ふう、今年も荒らされてない。よかった‥‥‥‥
「‥‥‥‥‥それにしても、あれからもう二年かーーー早いね、ひかり!」
「そうだねーーーー私達が出会ってからもう二年かーーーーーーー」
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私と美沙は、七才の時に出会った。きっかけは、美沙の転校。美沙は七才のとき、私達の街へやってきた。転校してきた時、まだ美沙は誰も友達がいなくて寂しい毎日を送っていた。そんな美沙に同情した私が声をかけたのだろう。
『美沙ちゃん!お友達になろう!』
『え‥‥‥‥‥いいの?』
『うん!私はひかり!よろしくね!』
それから私達は、急速に仲良くなった。帰りはいつも一緒に帰るし、休みの日は必ず遊びに行く。そんなある日、美沙がこんな事を言ってきた。
『ひかり。タイムカプセルを埋めない?』
『タイムカプセル?』
『そう!十年後に開けるの!』
『いいね、それ!やろう!』
こうして私達はタイムカプセルを埋めた。十年後に開けようと約束して‥‥‥‥
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「ひかりー。もう帰ろー。」
「そうだねーー。‥‥‥タイムカプセルを開けるまで後八年かーーーー。」
「うふふ。楽しみだね。私達何してるだろ?」
「さー。絶交してたりして!」
「何それ!ヒドいよ!」
「あははー。冗談!そんな事あるわけないじゃん!」
「だよね!さっ、帰ろ!」
私達はそんな冗談を言いながら、家へ帰って行った。まさかそれが現実になるなんて‥‥‥‥‥
次の日。学校に私達が行くと、クラス中はある噂の話題で話が盛りあがっていた。
「みんな、おはよー!」
「あ、ひかりと美沙!ちょっと見てみて、これ!」
私達は雑誌を見せられた。それは、『願いが叶うおまじない』の特集だった。
「何これ?」
「願いが叶うおまじない!これをすると、なんでも願いが叶うんだって!」
「‥‥‥‥‥なんか、うさんくさくない?」
「ちがうの!ちゃんとした証拠だってあるんだから!」
そう言ってその子は、次のページを見せた。そのページには『体験者が語る』と書かれていた。
「あのね、これをやった人は必ず願いが叶うの!これはね、その体験談!ほら見てよ!この人は宝くじで一億円当たって
るし、この人は上手くもないのにバスケでレギュラーとっちゃたし、この人は‥‥治んなかった病気が治ったんだ
よ!」
その言葉に美沙がびくんと反応した。え‥‥‥なんなんだろう?ま、いっか。
「へー、すごいね!でも、そしたらやった人全員、願いが叶っちゃうんじゃない?」
「そういう訳でもないんだよねー。このおまじない、叶えるのがすっごく難しいの。」
「どうして?」
「だって‥‥‥‥”ブルームーンストーン”を見つけなきゃいけないんだよ!」
ブルームンストーン?
何それ?聞いた事ないなー。ムーンストーンは知ってるけど‥‥‥‥
「それは何?」
「ひかりは何も知らないなー。ブルームーンストーンって、世界に100個あるかないかの貴重な石なんだよ!」
「え〜!?そんな石よく見つけられたね、その体験者の人。」
「それは‥‥‥その人達が”変わったやり方”をしたから‥‥‥‥」
あ、そういう事ね‥‥‥‥‥
なんとなく言っている意味がわかった。
その人達ズルしたり、お金かけたりしたんだ‥‥‥‥
「じゃあ、私達には到底無理ね‥‥‥‥」
「ふふふ‥‥‥‥それがね、実はこの街からブルームーンストーンがたくさん出てきてるんです!」
「ホント!?」
私は、雑誌を見た。ホントだ‥‥‥‥見つけた人皆この街の人だ‥‥‥‥
「じゃあ、私達にも見つけるチャンスはあるんだ!」
「そう!それで、見つけたブルームーンストーンを満月の月明かりにあてるの。祈りながら。それでペンダントにしとく
と、効果大!必ず願いが叶うの!」
「へー、すごーい!ねえ、美沙!私達も探してみない?」
「いいね、それ!今度探しに行こ!」
「‥‥‥‥あ、ごめん美沙!私今日、日直だ!職員室に行かないと!」
「じゃあ、私もついて行くよ!行こ!」
そう言って私達は職員室に向かった。
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「‥‥‥‥‥あの二人、仲いいよねー。」
「ひかりと美沙でしょ?だってあの二人幼なじみだもん。」
「なんか、あそこまで仲いいと、見ててイヤになってこない?」
「そうかなあ?別にいいじゃん?うちら関係ないし。」
「それもそっか!‥‥‥‥‥あれ、何そこに突っ立てんの谷岡さん。怖いんですけどー。」
「つーか、見てくんのやめてくんないかなあ。」
「うわっ、また見てきたよ!コワッ!もういこいこ!」
そのグループはそそくさと立ち去って行った。
谷岡と呼ばれた少女は、ひかりと美沙の後ろ姿を見つめていた‥‥‥‥‥‥
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「願いが叶う石かー。素敵だねー!」
雪が輝く道ばたを、私達はスキップしながら渡っていた。
「私、もし見つけられたら、美沙とずっと親友でいられるようにお願いしよっかなーーー。美沙は?」
「私は‥‥‥‥違うお願いごとしていい?」
「いいよ!私がそのお願い事しとくから!」
「じゃあ私はねーーー。‥‥‥‥‥ミクロの病気が治りますようにって。」
「‥‥‥‥‥ミクロ、今病気なんだ‥‥‥‥‥」
ミクロとは、美沙が飼っている愛犬のこと。6才の時から飼っているらしい。
私が美沙の家に行くと、いつもしっぽを振って出迎えてくれた優しい犬。
そのミクロが今、かなり重い病気らしい‥‥‥‥‥‥
「‥‥‥‥ねえ、ひかり。明日休みだから、探しに行かない?ブルームーンストーン!」
「いいね、それ!そうすれば、早くミクロが元気になるよ!‥‥‥‥あ、ごめん。明日、お父さんが久しぶりに帰って来
るから‥‥‥‥」
私のお父さんは単身赴任で、北海道に行っている。なので、滅多に帰ってこない。だけど、月末の日曜日には必ず帰ってきてくれる。その日曜日を私はいつも楽しみにしていた。
「………そっか。ひかりのお父さん、帰ってくるんだったよね‥‥‥‥ごめんね、わがまま言っちゃって‥‥‥‥」
そう言う美沙の顔は、ショボンと落ち込んでいた。もしかして‥‥‥ミクロってもうあんまり長く生きられないのかも‥‥‥‥‥‥
「‥‥‥‥‥わかった!明日探しに行こう!」
「え、いいの!?」
「うん!別に、お父さんなんていつでも会えるから!」
本当は、いつでも会える訳じゃない。だけど、美沙をがっかりさせたくなかった。
「‥‥‥ありがとう!じゃあ、明日十時に駅前に集合ね!」
「オッケー!!」
そう約束して私達はお互いの家に帰った。
そうだよね‥‥‥お父さんなんて、会おうと思えば会えるもん‥‥‥
ーーーーーーーーーーーーーーー翌日ーーーーーーーーーーーーー
寒空の下、私はがたがた震えながらも駅の前で美沙を待っていた。遅いなー、美沙。もう十一時だよ‥‥‥‥
どうしたのかなーーー。なにかあれば電話するはずだよね‥‥‥‥もうちょっと待ってみよ‥‥‥‥
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だけど美沙は夕方になっても夜になっても、来なかった‥‥‥‥
諦めて、私は家に帰った。
家に帰ると、お母さんが怒ったような顔をして出迎えた。
「ひかり!何してたの!せっかく今日お父さんが帰ってきたのに。お父さんションボリしてたわよ‥‥‥‥。」
やっぱり‥‥‥‥ごめんね、お父さん‥‥‥
「それでね、ひかり。お父さんの事についてだけど‥‥‥‥お父さん、明日からハワイに転勤になったのよ。」
は、ハワイ!?外国じゃん‥‥‥‥
「そうなの。外国なのよね。しかも、これからはお父さんなかなか休みがとれなくなっちゃって‥‥‥‥‥だから、ゆっ
くり会えるのは今日しかなかったのよ‥‥‥‥‥」
うそでしょ‥‥‥‥‥‥お父さん‥‥‥‥会いたかったよ‥‥‥‥今日出かけたりしなきゃ良かった‥‥‥‥‥
その恨みは自動的に美沙へ向けられた。
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次の日。教室に美沙が入ってきた。
「おはよ、ひかり。」
だけど、私は無視する。当然でしょ、昨日すっぽかしたんだら‥‥‥‥
「ひかり?」
「ちょっと来て。話があるから。」
なぜ場所を変えたかというと、教室で怒るのはまずいと思ったから‥‥‥‥
「なんで昨日来なかったの?」
体躯倉庫の中で美沙を問いつめる。なぜかこの二階建ての倉庫はいつも鍵が開いているのだ。私が問いつめると、美沙は沈んだ顔で申し訳なさそうにこう言った。
「ひかり、ごめん!昨日、ミクロが急に倒れちゃって‥‥‥‥それで動物病院に付き添って行ったの。一刻を争う状態
で‥‥‥‥それで、電話するの事もできなくて‥‥‥‥‥本当にごめんね‥‥‥‥!」
そう言って美沙は頭を下げた。いつもの私ならこれで許してあげられた。
だけど、今の私には無理だ‥‥‥‥‥
「‥‥‥‥ふーん。そういう言い訳するんだ。」
「ひかり‥‥‥?」
「そんなの、お父さんやお母さんに任せればよかったじゃない。私より、そんな犬の方が大事なんだ。」
私、最悪だ。
でも今は、お父さんにほとんど会えなくなってしまった悲しみを、美沙のせいにする卑怯なやり方しかできなかった。
「‥‥‥‥‥ヒドいよ、ひかり。ミクロの事、わかってくれていると思ったのに‥‥‥‥‥ヒドいよ!!!」
怒りで涙を流した美沙が、いきなり私を突き飛ばした!
突き飛ばされた私は、体育道具にひじをぶつけてすりむいた。そのひじからは、真っ赤な血が流れていた。
「‥‥‥ッた!何すんのよ!悪いのはそっちじゃない!」
「そうだよ!たしかに私が一番悪いよ!約束やぶったから‥‥‥‥だけど、なんでそんなにヒドい事を言うの!?
謝ってるのに!今は、どっちが悪いとかそういうのじゃない!どっちも悪いんだよ!私がどんなに悪い事したからっ
て、ひかりがヒドい事を言っていいって決まり事、どこにもないんだよ!‥‥‥‥ひかりなんて大嫌い!」
たしかにそうよ、私は最悪。たしかにあなたも私もお互い悪い。そんな事、わかってる!
「‥‥‥‥は?逆切れ?ふざけるな!おまえなんか、消えちまえ!」
そう言って私は美沙を思いっきり突き飛ばした。
ところが、美沙の身体が当たったボロい支柱がグラッとバランスをくずした。
すると、この支柱に支えられていた二階の体育道具が一気に美沙めがけて落ちてきた!美沙があぶない!
「美沙!!!」
その本能から、私は美沙を遠くで突き飛ばした。
ドカン!
嫌な音をたてて床に体育道具が落ちた。
その瞬間、私はその下敷きになっていた。
続く
どーも、はーぴんです!
長らくお待たせいたしました!
ふー、やっと書き終わったー!
今回はちょっと長かったですね。すいません。
次回はもうちょっと短めにします(予定)
あ、それとこれを書き終わった時点でだれからも感想が来てません(泣)
どうか、評価と感想、二つともお願いします!
では! by はーぴん