第四話 藤田達の逆襲
『ねえ、ひかりはタイムカプセルに何入れる?』
風にゆられて散って行く桜の木の下に私達はいた。あれ‥‥‥ここはどこだろう‥‥‥思い出せない‥‥‥‥
『私はお母さんからもらった人形と、ぬいぐるみ入れる!』
『そっか。じゃあ美沙は‥‥‥‥ひかりとの”想い出”を入れようかな。」
目の前にいる少女がにっこりとほほえむ。誰だろう‥‥‥‥この子‥‥‥‥
『私との想い出?』
『うん!ひかりとの想い出。写真をいれるの。』
『それじゃあ、入れよっか!』
『うん!』
『‥‥‥‥じゃあ、これはここに埋めとくね。』
『ひかり、これ十年後に開けるんだよね?』
『そうだよ!楽しみだね!』
『大きくなっても、おばあちゃんになっても、一生”親友”でいようね!』
『うん!約束だよ!』
そういって私達はゆびきりげんまんをした。しかし、その情景は一瞬のうちに砂のように消え去ったのであった‥‥‥
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がばっ!と私は起き上がった。なんなんだろう‥‥‥‥今の夢。
「どうした、ひかり!気分でも悪いのか?汗びっしょりだぞ?」
のぞみちゃんが心配そうな顔で見て来る。本当だ‥‥‥‥汗びっしょり。悪夢でも見たのかな。でも、そんな覚えない。見たのは‥‥‥‥覚えのない出来事、覚えのない女の子、覚えの無い約束‥‥‥‥
「‥‥‥‥今日見た夢がひっかかってるんだな?」
「うん‥‥‥‥現実のような夢を見たの。何も覚えがない事だけど‥‥‥‥でも、なぜか懐かしい‥‥‥‥」
「そうか、もしかしたらそれは‥‥‥‥‥”閉ざされた記憶”かもしれないな。」
「それは何?名前がなんだかカッコいいけど‥‥‥」
「俗にいうと、”記憶喪失”ってやつ。」
「記憶喪失、か‥‥‥‥‥」
「何か心当たりでもあるのか?」
「うん。私ね、変に記憶が欠けてるの。6才のときの記憶ははっきりと覚えているのに、7才から9才までの記憶が
まったくないんだ‥‥‥」
「それは変だな‥‥‥‥‥いいか、のぞみ。頭で記憶を失っても、心は記憶を失わない。ちゃんと覚えてるんだ。」
のぞみちゃんは心がある部分を、コン、と叩いた。
「”心の記憶”?もしかしてのぞみちゃん、覚えてたりする?」
「うーん、待って。思い出してみる。」
そう言って、のぞみちゃんは目をつぶって考え込んだ。
しばらく待ってみたけど、まだ目をつぶったままだ。
「のぞみちゃん、大丈夫?」
心配して顔を見てみた。‥‥‥‥うそ。のぞみちゃん、震えているの!?
「いやあああああああああ!!!!!!!!!!!!」
その時、のぞみちゃんは頭を抱えて叫び声をあげた!のぞみちゃんが叫び声をあげるなんて‥‥‥‥‥よっぽどの事なんだ!
「のぞみちゃん!のぞみちゃん目を開けて!のぞみちゃん!?」
ゆさぶっても、のぞみちゃんは目を開けない。どうして?涙が出そうになった時‥‥‥‥
「‥‥‥‥‥‥ふう。」
つぶっていた目をのぞみちゃんは開けた。「やれやれ」とでもいうような顔で大あくびをする。
「大丈夫?のぞみちゃん‥‥‥‥‥」
「ああ。あー、死ぬかと思ったーーーーーー」
「何があったの?」
「今な、ひかりの記憶をたどってたんだ。それでな‥‥‥‥‥」
それを言いかけた時、のぞみちゃんは「はっ!」と気がついて言うのをやめた。
「どうしたの?私の記憶に何かあった‥‥‥‥」
「な、何もないよ!さ、学校行こうぜ!!」
何だろう?ま、いいか。
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「‥‥‥‥‥沙!美沙!」
藤田はビクッとして振り返る。咄嗟に持っていたものをポケットにしまった。
「何?」
「何って‥‥‥今、”作戦”の話してんじゃん!!聞いてろよ!」
「つーか、今美沙が持っていたのって何?」
藤田はポケットからそれをだした。
「これは”鍵”よ。」
「なんの鍵?家ではないみたいだね‥‥‥」
「‥‥‥‥”タイムカプセル”の鍵。でも‥‥‥‥もうこれ必要ないのよね。‥‥捨てちゃえ!」
そう言ってポイッと草むらに捨てた。
「じゃ、話戻すか‥‥‥‥‥それで、この作戦でいいよな!!」
「オッケー!ふん。明日が楽しみ!ねっ美沙!」
「そうね‥‥‥‥‥」
そう返事した藤田の顔には、何か不安なものがあった‥‥‥‥‥
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教室では、相変わらず藤田さん達が圧倒的な存在感を出している。でも、今の私は怖くない。のぞみちゃんがついているから‥‥‥‥‥
私が教室にはいると、藤田さん達が駆け寄ってくる。ヤバッ!攻撃されるかも!!!ところが‥‥‥‥
「あっさのさん!!おっはよ!!」
この予想外の展開にポカーンとする私。あ、あれ?
「なーに、ポカンとしてんだよ!おはよ、浅野!」
「お、おはよ‥‥‥‥」
困惑する私に、藤田さんが歩み寄って来る。そして、満面の笑みでこう言った。
「浅野さん、今までごめんなさいね。意地悪な事して。でもこれからは、そんな事しないわ。だから、許してくれたら友
達になってくれる?」
なんだかよくわからないけど‥‥‥‥‥‥
「うん!いいよ!友達になろう!」
「‥‥‥ありがとう、浅野さん!」
夢みたい!藤田さん達と対等に話せたなんて!
藤田さんと握手すると、私はベランダにいるのぞみちゃんに急いで報告にいった。だけどのぞみちゃんは、ただ険しい顔をするばかり。
「‥‥‥‥それ、本当に信じていいのか?」
「うん!だって、嘘ついてる顔してないもん。」
「そうか?あいつら、万引きしてるんだぞ?しかも、ひかりにやらせようとした。そんな奴ら、信じていいのか?」
‥‥‥‥‥‥何それ。ヒドいよ‥‥‥‥‥‥‥‥
「‥‥‥何で?何でのぞみちゃんは人を信用する事ができないの?「友達になろう」って言ってくれたんだよ?なのに、
藤田さん達を疑うなんて‥‥‥‥ヒドいよ!!のぞみちゃんなんて、だいっ嫌い!!!」
私は怒りから、のぞみちゃんの止めようとする声も無視して教室に戻った。のぞみちゃんは、ショックのような顔をしていた。
のぞみちゃんのバカ!でも、もういなくていい。だってもう、藤田さんっていう友達がいるんだから‥‥‥‥‥
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(‥‥‥‥‥ひかり。もうひとつの心は他の心を読む事もできるんだ。それを知ったらひかりはどうする?)
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放課後、藤田さん達が私の所へ来た。
「浅野さん!一緒に帰ろ!」
「いいよ!」
「ただ‥‥‥‥ちょっと付合ってほしい場所があるんだ‥‥‥‥」
「‥‥‥‥‥わかった。」
なぜかその後ろで藤田さん達が笑っていたような気がした‥‥‥‥‥‥
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私達は、学校の裏にある倉庫にいた。
「ここにね、忘れ物しちゃったの。悪いんだけど、取りに行ってくれない?」
「どうして、私なの?」
「いいから!後で教えてやるよ!だから、行ってきて!」
何か変な気はした‥‥‥‥私は素直に倉庫に入った。その時、
ガチャガチャガチャ!
な、何の音!?私は外に出ようとして、ドアに手をかけた‥‥‥‥‥うそ!開かない!?どうして‥‥‥‥?
「ふふん。バカみたい!しばらくそこで頭冷やしてればあ?」
その時私は初めて気づいた。‥‥‥‥‥‥閉じ込められたんだ‥‥‥‥‥‥‥‥
続く
どーも、はーぴんです!
藤田達、極悪ですねー(笑)←(自分で書いといて何言ってんだか)
次回はついに!藤田とひかりの過去が!明らかに!
(この前もそんな事言ってたような‥‥‥‥)
次回も期待していてくださいねー。では! by はーぴん