第三話 衝動で触れた、誰かの音楽
ごめんなさい!
最終調整してたら遅くなりました!
三話です!
投稿してから数日、特別なことは何も起きなかった。
再生数は少しずつ増えて、コメントはゼロのまま。
それで十分だと思っていた。
通知音を見るまでは。
昼過ぎ、スマホが短く震えた。
画面に表示されたのは、見慣れない名前だった。
__〔優〕。
一瞬、意味が分からなかった。
でも、その名前を見た途端、あの曲のイントロが頭の中で鳴った。
「原曲を作った者です。アレンジ、聴きました」
呼吸が浅くなる。
冗談じゃない。
でも、アカウントも、投稿も、本物だった。
「ありがとうございます! どうでしたか?」
そう返すまでに、数分かかった。
送信したあと、手のひらが少し汗ばんでいることに気づいた。
会話は、思ったより静かに続いた。
感想。音の話。テンポの癖。
そして、ぽつりと投げられた一文。
「もしよかったら、一緒に曲を作りませんか」
胸の奥が、きゅっと音を立てた。
その夜、優が作ったグループチャットに招待された。
チャットでの名前は、「こー」にした。
特に理由はなかった。名前からとった。
そこには、すでに二人の名前があった。
「S」
「ふう」
Sは、最初から明るかった。
「よろしく〜!ここ全員同い年なんだね〜!安心する〜!」
文字なのに、声が聞こえる気がした。
ふうは、少しだけ慎重で、
「イラストを描いてアニメーションを作るのが好きです。よろしくお願いします」
文に、柔らかさが滲んでいた。
全員、中学一年生。
全員、不登校。
どこに住んでいるのかも知らない。
それだけで、理由の説明はいらなかった。
「サークル名とか、どうする〜?」
Sが言った。
しばらく沈黙が続いて、優が答えた。
「名前は、あとでいいんじゃない?」
賛成のスタンプが並ぶ。
僕も、同じ気持ちだった。
「じゃあ、役割決めよっか」
Sの提案に、チャットが盛んになる。
優 :僕は曲を作るのが得意だから、作曲担当かな。
S :じゃあ、僕はミックスしよっかな〜!
ふう:それなら、私はMVをつくるよ。
優 :こーは、何したい?
僕は………
考えるより先に、指が動いた。
こー:僕は、歌詞書こうかな。
S :おー! それいいじゃん!
ふう:じゃあ私が手伝うね。
こー:ありがとう。
画面越しなのに、胸が温かくなった。
教室には戻れなかった。
でも、ここには居場所があった。
音だけでつながる、名前のない場所。
それが、この一年の始まりだった。
遅れてごめんなさい〜!
「S」のセリフの微調整をしてたんですけど、陽キャっぽさを出すのが難しい〜!
次の投稿は、1/31(土)24:00です!
お楽しみに〜!




