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第一話 名前のない声

初投稿です。

最後まで見てくれるとモチベが上がります。

中学生になった。


入学式の日、友達ができた。

名前は蒼太(そうた)。家が近くて、趣味も似ていた。


これから一緒に登校して、部活に行って、

そんな当たり前の毎日が続くんだと、疑いもしなかった。


――“あれ”が起こるまでは。


同じクラスに、愛海(あみ)という人がいた。

教室の中心にいる人。

誰が笑って、誰が黙るかを決めるみたいな存在だった。


五月に入った頃、蒼太は急に目を合わせなくなった。

話しかけても、返事は短くて、どこかよそよそしい。


気づけば、視線が刺さるようになった。


「あいつ、きもいよね」

「うわーあいつ1人で飯食ってんじゃん」

「男っぽくなくない?」


聞こえないふりをするのは、思ったより難しかった。


そういう日が続いて、五月の終わり。

僕は学校を休んだ。


熱はなかった。

ただ、制服に袖を通そうとして、体が動かなかった。


ベッドに横になって、スマホを開く。

意味もなく画面をスクロールしていたとき、

おすすめに流れてきた、知らない曲を再生した。


機械の声だった。


人間みたいじゃないのに、

人間より正直な声だと思った。


歌詞の意味を全部理解したわけじゃない。

それでも、なぜか分かった。


――これは、誰かの逃げ場所だ。


曲が終わっても、イヤホンを外せなかった。

次の曲、その次の曲。


再生数の表示が目に入る。

「1…10…100…1000…100万!?」

桁が、現実じゃなかった。


〈 優 〉


それが、作った人の名前だった。


コメント欄には、知らない誰かの本音が並んでいた。

「助けられた」

「学校行けなくなった日に聴いた」

「この声があってよかった」


画面の向こうにいるのに、

その人は、僕よりずっと近くに感じた。


その夜、初めてメモアプリを開いた。


〈 名前を呼ばれなくても

  声は、ここにある 〉


消そうとして、消せなかった。


まだ、曲にはならない。

でも、この瞬間だけは、

誰にも奪われない気がした。


僕はこのとき、

音楽に出会ったんじゃない。


――居場所を、見つけたんだと思う。


最後まで読んでくれてありがとうございます。

毎週土曜日24:00、日曜日22:30に投稿します!

投稿をお休みする時があります。

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