表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
花道闊歩 -異世界ガイドとして死ぬ運命の少女たちを幸せな老衰エンドへ導きます-  作者: ガリガリワン
第一部 第六章 旅立ち編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

50/52

第四十八話 徒手による撲殺


 * *【グラバ視点】* *



 幾度(いくど)も戦闘など行ってきました。

 その中で自身が知らないことを容易く行う、

 未知的な力を使う敵もたくさん見てきましたが……


 死からの完全再生……どの文献にもない力。


 樹霊(ゴジュレ)族自体、こんな力はないはず、

 確かに自然的な再生能力は高めですけど……


「ゴギギア」


 おそらく眼前に立つこの存在は、

 明らかに生物の域を逸脱している。


 特殊個体……と考えるしかなさそうですね。


 こちらは依然として視界が奪われたまま、


「!」


 速い! 先の速度よりもずっと!


 形状的に木の根を伸ばして攻撃してきているのか、

 一度でも先端で貫かれれば勝ち目は薄まりますね。


 魔力量だけじゃ等級は英級(えいきゅう)上位……

 ですが、こうなってくるといよいよわかりませんね。


 身体能力自体は準俊級(じゅんしゅんきゅう)

 ですが先ほどまでは英級(えいきゅう)以下の動きだった。


 不帰の大森林自体独自の生態系があると、

 様々な学者が言っていましたが、大正解ですね。


 完全復活に加えてパワーアップ。

 一度敗北することを本能で予知している……


 目の見えない状態では魔法の使用は困難。

 大きな隙が出た際に使うのはアリでしょうが、

 今のこの樹霊(ゴジュレ)族に対しては願わぬもの。



 まあそれでも……本当に良かった。


 (わたくし)は常々思っていることがあります。


「ゴギャア!」

「まだ(わたくし)には追いつけないようで」


 魔法のみに頼る戦い方じゃなくて良かった。



 魔力を全身に纏わせ、相手の魔力を頼りに位置を把握し、(わたくし)は飛び蹴りを喰らわせた。


 魔力を纏うことが可能とする攻撃の回避、

 それに加え……この樹霊(ゴジュレ)族に対して、

 最も優位な倒し方は──


 徒手による撲殺……!



 * *【ケルエタ視点】* *



 グラバさんは元々星焉(せいえん)大陸生まれで、

 魔法に幼い頃から触れてきた人だ。


 魔法大学とかは卒業してないが、

 この人自体、そう大学に入る必要はない。


 おそらく、長年戦場に身を置きながらも、

 考え抜いて最適解を選択し続けてきたんだろう。


 だから……というか……はは、つっよ。


 俺が見ている光景では、

 亡樹の霊(アンデスリッド)が一方的にボコられてる。


 木の根が下から上へと伸びても、

 それをすらりとかわして拳をぶち込む。


 グラバさんは視覚情報がないとは思えないほど、

 ラッシュを決めながら攻撃を避けていた。


 一発一発が重たいのか亡樹の霊(アンデスリッド)の身体は、

 そこら中にクレーターのような痕が出来始めてる。


 衝撃波が大量に発生して辺りの静寂の中には、

 打撃音と木が弾ける音が響き続けてた。


 本来連打攻撃ってのは弱攻撃の連発、

 だからここまでの有効打になることは異常なんだ。


「ふんッ!」


 拳戦者(けんせんしゃ)は名の通り拳で戦う。


 剣士と魔法使いが二大巨頭な世界で、

 拳戦者(けんせんしゃ)だとかはあまり存在していない。


 その理由は分かりやすい。

 拳の殺傷能力は圧倒的に剣に劣る。


 現にあのラッシュの中でグラバさんがもし、

 短剣だとかを持っていたら三回は殺せてる。


「ギギアアアア!!」


 ただ、拳戦者は意地も兼ね備えている。

 そう……つまりぶっちゃけ剣を使ったりするなら、

 それは剣士で良いしなにより──


 ダサいって認識が浸透しているんだ。

 

 だからグラバさんも剣は使ったりしない。


 拳による攻撃を身体に受けた続けた亡樹の霊(アンデスリッド)は、

 地面から大量の木の根を上へと向けて生やし、

 強制的にグラバさんを後方へ追いやった。


「……?」


 グラバさんは体勢を直して立ち上がる。


 亡樹の霊(アンデスリッド)は大量の木の根を背中から生やして、

 パキパキとそこら中から音がし始めた。


「まさか……」


全知脳(ぜんちのう)発動】


 マジか……こいつ、そのレベルの敵か……!


「ギシャギギアスギ」



 辺りの風景が一気に変わった。


 花園のような風景、薄暗い森の中だってのに、

 太陽みたいなのが燦々(さんさん)としている。


 結界魔法の最上位とも言える技術。


 それは風景ごと変えてしまうような結界だ。

 結界魔法には三段階のレベルがある。


・閉じ込める結界と閉じ込めない結界。


・結界内や結界上で何かしらの効果を付与する結界。


・風景や地形などを生成してしまう閉じ込める結界。


 閉じ込めない結界じゃ風景の生成はできない。

 つまり、今のこの結界は閉じ込めるタイプだ。


 結界魔法に特化しすぎだろこいつ……!



「視覚が戻った……」


 結界内のデバフは無くなったみたいだ。


 それもそうだ。この風景がある状態の結界は、

 攻撃型か自己に大量のバフを与えるのみ。


 亡樹の霊(アンデスリッド)は案の定姿が変わっていた。


「それが最終形態ですか?」


 身長はグラバさんと同程度。


 かなりシュッとした体格になって、

 見るからにスピードタイプ。


「ギギア」

「先手は譲りますよ」


 勝負は一瞬だろうな。

 互いに近接タイプ、そして亡樹の霊(アンデスリッド)は今、

 結界を構築して維持している。


 魔力の消費は洒落にならないだろう。



「ギアァアアッ!!」


 グラバさんの挑発で戦闘が始まる。


 初っ端、先手となった亡樹の霊(アンデスリッド)が、

 とんでもない速度の踏み込みで距離を縮まらせた。


 俺はそれがほとんど見えなかったが、

 グラバさんは拳で亡樹の霊(アンデスリッド)の拳を砕き、

 体勢を低くして腹部に肘を打ち込む。


 強烈な一撃をもらっても尚、

 怯むことなく亡樹の霊(アンデスリッド)は腕を振り上げた。


 ブレード状に尖った腕の木が、

 上から下へと振り下ろされる。


「!」


 グラバさんはそれを横に転がって避け、

 花が散る中、手から一気に火の魔力を放出。


 魔法じゃなくてただの魔力放出、

 それは亡樹の霊(アンデスリッド)の意表を突いて、

 左半身を燃やすことに成功した。


 自身の身体が燃える中で焦る亡樹の霊(アンデスリッド)

 それに対して迫るは硬すぎる拳。


 勢いよく速度をつけ、身体強化魔法で強化した拳が、

 亡樹の霊(アンデスリッド)の腹部を貫いた。


 途端、結界が崩壊して決着が告げられる。


「ギ……ギア」

「敗因はたった一つ。

 (わたくし)に身体能力で勝負したことです」


 それを聞いて亡樹の霊(アンデスリッド)は絶命した。


 死のリストが黄色文字だった理由がわかる。

 あの規模の結界魔法を使いこなせるやつなら、

 洞穴の中にいるみんなに攻撃だってできる。


 それをあえてしなかった亡樹の霊(アンデスリッド)は、

 暴野(ぼうや)ながらも少し……武人みたいなやつだ。


 黄色文字……と言っても薄め。

 限りなく死ぬことはなかった運命だ。


 もし、少しでも奴が勝ちを優先していたら、

 グラバさんとてかなり苦戦していたはずだ。


 わざわざグラバさんの得意分野で戦ったのは、

 なんというか……うーんやっぱり武人すぎるな。



「……ケルエタ様、残り3日程度ですが、

 ご心配はいりません……(わたくし)がいるので」


 そんなことをグラバさんが言ってくれた。


 姿は見えてないだろうが俺が近くにいることを、

 この人は信頼してくれてるんだろう。


 なんだかちょっと嬉しい……


 いや、こんなことを言うってことは、

 ちゃんと今後のことを考えておけって言う、

 遠回しの頼み事だ。


 よし……もう一回今後のことを練り直そう。



 俺はこの時気が付かなかったが、

 グラバさんは結構ざっくり肩を斬られてた。


 後から治癒魔法を使ってるのを見て知ったんだが、

 グラバさんがあんな傷負ってるのは初見だ。


 ……亡樹の霊(アンデスリッド)、等級はどれくらいだったんだ?

ここまでお読みいただきありがとうございます。

第六章残り四話で第一部共に完結です!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ