表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
花道闊歩 -異世界ガイドとして死ぬ運命の少女たちを幸せな老衰エンドへ導きます-  作者: ガリガリワン
第一部 第六章 旅立ち編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

48/52

第四十六話 これからのこと


 戦争から1週間。


 不帰(ふき)の大森林に入ってから、

 俺たちは特に命の危機などにも(さいな)まれなかった。


 俺含めて七人。

 グラバさんにルダクルとメアラに加えシルフさん、

 フリィアちゃんとリルメスが今ここにはいる。


 森の中にあった大木を中心に仮拠点を建てて、

 グラバさんは2週間経つまで耐えてくれてる。


 フリィアちゃんもちゃんと目が覚めて、

 傷は完治してないが大事には至ってない。


 ダグンドの奴らも森までは追ってこなかった。

 やっぱり場所が場所なだけあって来れないんだ。


「グラバ様、枝を持ってきました」

「ありがとうございます。

 そこに置いといてください」


 戦争から一週間経っても皆の空気は重い。


 アルトレさんやテグトトさんにエルメットさん、

 その人ら以外に関わっていた人だってそうだ。

 基本安否は不明、亡くなった人も多くいる。


 最近はフリィアちゃんの方がリルメスより喋る。

 ……それもそうだ。リルメスはなんてったって、

 貴族という立場であり、家族を失った。


 家族を失ったこと自体、

 この状況下では珍しいことじゃない。


 ただ貴族、貴族となれば話は変わる。


 これから先リルメスは一生、命を狙われるんだ。


 十二歳と言えどそれは理解しているんだろう、

 表情は常に暗く口数もかなり減った。


「リルメスちゃん、木味(ドグリ)取ってきたけど食べる……?」


 木味(ドグリ)。この世界ではポピュラーな間食(おやつ)だ。

 味としてはナッツに近く香りが良いらしい。


 倒木の上に座るリルメスの隣に、

 フリィアちゃんは腰を下ろした。


「……フリィが食べていいわよ」

「そ、そう……」

 

 リルメスは木味(ドグリ)が好きなんだがな……

 やっぱり今の状態じゃ食う気も起きないか。


「……フリィ。フリィはどこにも行かないわよね」


 リルメスはフリィアちゃんに依存している。


 家族を失った今、リルメスが最も頼れるのは、

 親友であるフリィアちゃんだけなのだ。


 グラバさんだって頼るには申し分ないが、

 年上じゃなく同い年の相手なのが重要。


「行かないよ。ずっといるから」


 フリィアちゃんにはリルド村の惨状(さんじょう)を伝えてある。

 といっても、俺は喋れないからグラバさんからだ。


「……よかった」


 リルメスはそう言って活力のない瞳で、

 地面を見ながらもフリィアちゃんに肩を寄せる。


 ちなみに、いつもは変態なメアラでさえ、

 今の状況下では静かでそういう行為もない。


 なんだか……こうして見ると悲しい気分だ。


 平和という当たり前が崩れた今、

 こうも皆、雰囲気が変わるなんてな……



 * * *



 さて、これからのことを考えよう。

 1週間後、俺は姿も見えるようになって声も出せるようになる。今が一人作戦会議には適してる。


 まず、大前提もうこの(緑峰)大陸にはいられない。


 北部はグロワールが支配してたが、

 南部はダグンドがほぼ支配してる。


 悪魔(ロワ)族の縄張りと狼族の縄張りがあるが、

 それもダグンドの配下として存在してる。


 今やこの大陸は完全にダグンドの支配下、

 一刻も早く他の大陸だとかに逃げ出したい。


 ただ……港はもう占領(せんりょう)されてるだろうし、

 かと言ってこの大陸から他の大陸とかに向けて、

 船なしで行けるわけもない。


 だからやるとしたら船を作って海を渡る。


 緑峰(りょくほう)大陸から行ける大陸は三つ。


【ルサナン大陸】【ガシリア大陸】【星焉(せいえん)大陸】


 ただ、星焉(せいえん)大陸は候補から省く、

 ダグンドを配下にしてるメテオール帝国がいる。


 加えて間の海である【王潮(おうちょう)(かた)】は豪華な船じゃないと沈ませられる。水族(すいぞく)の襲撃が激しいらしいからな……


 となると緑峰(りょくほう)大陸の右に位置する二つの大陸。


 ただ……そっち側に行くにしてもリスクは高い。

 ガシリア大陸は小国が常に戦争状態で、

 上陸するとなると大国の【オドバ王国】になる。


 オドバ王国は【デエス帝国】の配下で、

 グロワールとは友好的な関係だったはず……


 だけど……オドバ王国の上陸するとなると、

混潮大湾(こんちょうだいわん)】を通らなきゃいけない。


 案の定だがそこも豪華な船じゃなきゃ沈む。


 となるとガシリア大陸はナシだ。



 ルサナン大陸……【ハンドラ王国】っていうとこが、

 行くのならば候補に上がる。


 でも、ハンドラ王国はメテオール帝国の配下だ。

 しかしだな。その下にある【ソラニテ王国】なら、

 デエス帝国配下だから身の安全は確保されてる。


 ハンドラ王国にこっそり上陸して、

 爆速でソラニテ王国まで行くならアリだ。


 緑峰(りょくほう)の右に位置する海には水族がいない、

 そこは【芯宴(しんえん)(なだ)】て呼ばれてる海だ。


 元々、緑峰大陸とルサナン大陸は繋がってたが、

 大昔に何者かの一太刀で地が割れて海が出来た。


 その時の一太刀に込められた魔力が今も残ってて、

 水族(すいぞく)も生息しない海域になってる。


 船で渡るならこの世界の中じゃ安全すぎる、

 だから行くならルサナン大陸だ。


 正直他が無理ゲーだからここしか行く道はない。



 よし……とりあえずは決まった。


 だが、行った後のことも考えなきゃな。

 俺の役目はフリィアちゃんとリルメスを、

 ″幸せな老衰エンド″に導くこと。


 ただ、老衰で死んでもらっちゃダメなんだ。

 最期の時に、悔いのない笑顔で逝ってもらう。


 そのためには過程も大事にしなきゃいけない。


 今はどう考えたって不幸真っ只中……

 となると……目指すべき場所は″デエス帝国″


 デエス帝国は元々グロワールと友好的で、

 特に領主のリアバダさんは個人的な関わりがあったそうだからな、頼るなら間違いなくデエス帝国だ。


 今後の人生を考えていく上で、

 リルメスとフリィアちゃんは必ずどこかで、

 ダグンドとの因縁(いんねん)にケリをつける瞬間が来るはずだ。


 幸せ。それは人それぞれの基準がある。


 結婚して家族を持って家を持って、

 週末は家族と出かけるのも幸せかもしれない。


 独身であろうと週末に友達と旅行したり、

 一人での時間を楽しむのも幸せかもしれない。


 ……この二人にとっての幸せ。

 そんなのは断定できないが──


 不幸になることは断定できる。


 この世界は弱肉強食。

 俺がいた世界だってそりゃあ弱肉強食だ。


 でも、あそこは言葉での殴り合いができたが、

 ここじゃ物理での殺し合いが最終的に関わってくる。


 二人がこれから生き残るためには、

 最低でも英級(えいきゅう)にはなってもらう。


 ただ、襲いかかってくる奴らのレベルも高い……

 ここらへんはもう運だな……二人の才能次第だ。



 今、俺が掲げる目標は全員で、

 ルサナン大陸のソラニテ王国に行くこと。


 最終的な目標としては、

 デエス帝国に行って安定した生活を手に入れる。


 幸せ云々(うんぬん)はそこから考えるようにしよう。



【*死のリストからの通知です。

 黒文字がピックアップされました】


 眼球が言ってたやつか。


【フリィア・サタニルド。

 リルメス・レクセト・ボルワール。

 2年後、縺ェ縺懊%縺。繧峨r隱崎ュ倥〒縺阪k��】


 あ、は? なんだこれ……

 初めて見たぞこんなの。


 ……黒文字だから確実に死ぬ運命、

 俺がいなきゃ二人が死ぬ運命なんだが……


 こういうわけわからん文字にすんのやめてくれよ。


 全知脳(ぜんちのう)を使っても何書いてるかわかんないし……2年後という情報だけ頼りにしておくか……



 残り1週間、グラバさんがいるなら心配は少ない。


 こう……なんというか、このガイドの仕事さ、

 意外ってか、かなり運任せなんだよな?


 俺、運良かったっけ……?


 ……まあ、運が良いということにしておこう。


 思い込みは最強だからな。



【*死のリストが更新されました。

 樹霊(ゴジュレ)族、″亡樹の番(アンデスリッド)″による襲撃】

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ