第四十五話 幕間
「やっ、久しいね♪」
……本当に久しぶりだな。
人の身体も懐かしい。
相変わらず全裸だけどな……
「5年ぶりか? ″眼球″」
俺をこの世界に転生させた存在、
名前は知らないから通称″眼球″って呼んでる。
「まずは、おめでとう坂田君。
君は第一関門を突破した!」
眼球は嬉しそうにそう言うが、
所詮眼球だから表情が伺えない。
「あのな……言っとくがまだ戦争は続いてる!
こっから先いきなり死ぬ可能性もあんだぞ!」
そうだ。なんで俺はここにいる?
みんなは無事なのか? 不安でしょうがない……
「まままま、そうカッカせずに〜♪
でも、君の言う通り戦争はまだ続いてる」
うざ。なんだこいつ。
「本来、僕のような存在からアドバイスはしない。
だけど、今回特別にアドバイスしちゃおうかな」
「なんでそんなこと……何か企んでるのか?」
「酷いなぁ、いつから疑心暗鬼になったんだい?
僕は君の味方さ。敵になる意味がないだろう」
……前言ってた眼球を知る者は厄災ってやつ、
あれは……いや、こいつは善悪どっちなんだ?
「……な、フリィアちゃんたちは?」
「しっかり愛情があるようだね。
無事さ。ここは君の精神世界、今君は寝てるよ」
俺の精神世界って真っ黒なんだな……
つら……てか人によって変わんのか?
「聞きたいことは以上?」
「……あぁまあな」
俺がそう言うと眼球は俺に近づいてきた。
「では本題だ♪ まず、君はガイドとして転生して、
ガイド史上初の5年生存を成し遂げてくれた」
「俺以外いなかったのか!?」
「ガイドって言われてやる気無くす子もいたし、
君はかなり適正度が高いというか″真面目″だね」
いやだって……転生できるって言われたし。
あと、ちょっと愛情あるし?
「んまあ、かなりというか偉業だよ。
今回僕が転生させた子は坂田君含め三名、
結論から言うと君は最後の生き残りだ♪」
……俺以外の二人は死んだのか。
「表情が暗いね? ショックかい?」
「うるせえな……知らん人でも死んだって言われて、
気分が良い状態の奴なんかいるかよ」
眼球は俺の発言には共感しなかった。
「人が死んだくらいでそう思えるとは……
異世界で心情も成長したかい?」
……言い方は気に食わないが合ってる。
「……俺は最初の頃勘違いしてた。
異世界ってだけで自分以外はNPCのような、
人生というものがない存在だと思ってた。
でも……それは違ったんだ……みんな生きてる。
心情が成長ってのは、あながち間違ってない」
「ふふ、それは良かった。
素晴らしい考え方だと思うよ」
この眼球が俺を本気で褒めているのか、
それともおちょくってるのかはわからない。
「なあ、その二人はどんな奴だった?」
「そうだね……君より時系列は前に転生したから、
大体男の方が異世界内で二十三歳、
女の方が確か十八歳だったかな?
二人とも強気な性格だったねぇ……」
「そうか……できることなら会ってみたかっ……た」
? 待てよ。
「おい待て! 九州弁の男と大阪弁の女は!?
あいつらはなんなんだ!?」
「……それは教えられない。すまないね♪」
「なんだよ……それくらい教えてくれよ」
そこから少し沈黙の間ができてから、
眼球はさっきの話を再開した。
「グロワール王国は君が大森林に入ってから一週間、
ダグンドの軍勢に抵抗するも戦況は最悪さ。
王領を除く四つの領はすでに陥落、
領主や貴族もしっかり殺されてる」
わかっていたことだ。
そんなことわかっていた。
戦争の結末なんて大体知れていた。
奇襲戦争、それは圧倒的不名誉行為、
ただ、同時にその作戦は最強レベルだ。
初動で一気に差をつけてそのまま勝ち切る。
それが奇襲戦争、加えてダグンドは今回、
俊級戦士を3名とかいう戦力。
グロワール王国には俊級が四人いるが、
準天級のウルルドのせいで、
結果的にはこっちが圧倒的に不利だ。
「グロワールは敗戦濃厚。ただダグンド側も、
ウルルドってちょー強い俊級戦士以外は戦死した」
グロワールもそれなりに頑張ったのか……
「今回の戦争は世界でも有名になると思うよ。
なにせグロワールはデエス帝国配下の国、
対してダグンドはメテオール帝国配下さ。
実質的に、元ある溝をさらに深める行為だからね♪」
ダグンドはリルメスを殺しに来るはずだ。
なにせ貴族が残ってちゃ希望が残るってこと。
捕縛した大量の王国の民たちは、
今や希望としてリルメスの成長を待つばかり。
過去にも貴族が生き延びて後に反旗を上げ、
一気にそこから報復戦争にて勝ったケースは多い。
だからこそダグンドは殺しに来るだろう。
「君の周りにいた人らの生死は伝えられないけど、
死のリストについての情報を教えてあげよう」
「情報……? まだあるのか?」
眼球はそう言って俺の死のリストを開いてきた。
すげぇ、俺以外でも出せるんだな。
「まず、死のリストのクオリティアップさ」
眼球がそう言った瞬間、死のリストの青い画面が白く光って、書かれてる文字の色が変わった。
「白、緑、黄、赤、黒?」
色が五色になったんだ。
「緑は君が無干渉でも死ぬ可能性が低い。
黄は無干渉じゃもしかしたら死ぬかも。
赤は無干渉だと死ぬ可能性が高い。
黒は無干渉だと確実に死亡する。
じゃあ白は?」
って聞かれても……
「はは、他人の干渉によって色が変わる文字さ」
他人の干渉……?
「元々、誰かに殺される運命が白文字だと、
第三者の加入でいきなり赤になる場合がある。
それを表すのが白文字ってやつさ」
なんだよ、白だから良いのかと思ったら、
結構最悪なやつじゃん。
「つまり予測不能な運命は白文字になんだな?」
「そうそう♪ それに加えてあと一つ機能追加さ」
もう一個? 正直、不便な点はあんまないが。
「黒文字とされる運命の可視化。
今までは戦争って運命だけが黒文字だったけど、
これからは黒文字はピックアップされて見えるよ。
目が覚めた時にでも見てみるといい」
黒文字……やっぱり戦争だけじゃないよな。
今後やってく中で黒文字は関門的存在、
それを中心にして行動を決めていく。
「……何気嬉しい追加機能だな」
「だろう?」
俺がそう言えば眼球は俺から離れた。
「話は以上。目が覚めたらみんなも起きてるよ」
ここで言わなきゃ次いつ会えるかもわからない。
「最後に僕から一つ告げるなら」
言うべきか……?
眼球を厄災呼ばわりする奴の事を言うべきか?
「″僕を知る奴には気をつけるように″」
「! ……お前、一体何者なんだ?」
「……ヒ・ミ・ツ。今は答えられない。
ただ次会う時には少し答えられるかもね」
そう言われて俺は視界が段々白くなっていって、
転生した時と同じくホワイトアウトした。
* *【とある国の帝王】* *
「つまらん。俺の前で醜態を晒しおって、
これのどこが素晴らしい戦いと言える?」
かつて、世界を支配しようとした存在、
魔王と呼ばれる者がいた。
魔王は圧倒的な魔力量を持っており、
史上初の天級兇徒である。
その魔王は何千年も前に、
たった一人の男によって殺された。
種族関係なく人々は彼をこう呼んだ。
「″デモン″様……お楽しみにいただけませんでしたか」
「当たり前だ。竜を連れてくるならば俊級だろう?
英級など赤子よりもつまらぬ存在だ」
悪魔と天使の混合、剣と魔法の使い手──
【覇王】デモン・メテオール・ロワ。
「……ダグンドから手紙は来ていないのか?
まあ、聞かずとも結末はわかるがな」
* *【とある国の女帝】* *
「グロワールが……そうですか」
かつてこの世界に魔法は存在しなかった。
魔力をただ放出するだけの戦い、
それを変わったのは6000年前。
魔法を作り出した一人の耳森族。
世界は彼女の名を書に残しながらも、
その魔法というものに適応していった。
魔法の生みの親であり、
全ての種族の中で最も魔力を多く持つ存在。
大魔法使いとも呼ばれる彼女の名は、
アンジュ・デエス・レーヌ、異名は【魔女】である。
「デモン……一体何を考えているのかしら」
* *【とある地にて放浪する者】* *
「……大きな戦争があったようだ」
「ダグンドとグロワールの戦争です」
「そうか、デエスとメテオール……良くないな」
天級は三名存在している。
二名は帝国の頂点に立つ者だが、
たった一人、単独で生きている者がいる。
どういう存在なのかも不明であり、
伝説の一部となりつつある存在。
「今日は竜が多く見える」
「ここは俺が……」
「良い、私もたまには動かないと鈍る」
竜族は基本的にどんな種類であろうと、
最低でも英級以上の強さを持っている。
加えて、山の頂に住む竜族は尚更強いのだ。
「今日はよく冷える。暖かくして見ていろ」
「そりゃここ覇蛇山脈ですし……暖かい服着てますよ」
竜族の群れの危険度は誰もが知っている。
名のある俊級戦士でも勝てるかは不確定、
そんな竜族の群れに対し、この一人の女は──
何も持たない状態で群れを半壊にまで追い込んだ。
彼女の身体には一切の傷はつかなかった。
「……″眼球″を知る者を探しにいかねばな」
「この大陸はもういないですかね?」
「……まぁ、もう少しここにいようか」
「気に入ったんですか?」
「……多少な」
第一部 第五章 戦争編 -完-
次章
第一部 第六章 旅立ち編
* * *
ここまでお読みいただきありがとうございます!
ブクマや評価の方、リアクションなど非常に励みになります!感想などもお気軽にどうぞ!




