表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
花道闊歩 -異世界ガイドとして死ぬ運命の少女たちを幸せな老衰エンドへ導きます-  作者: ガリガリワン
第一部 第五章 戦争編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

46/52

第四十四話 継ぐ


「あーあ……最悪、ウチだけじゃ絶対勝てへんやん」


 俺はケルエタ。

 さっき俺は確絶魔法(かくぜつまほう)ってのを使って、

 これから二週間姿は見えないし、声も出せない。


 んで、今の状況はこっちが圧倒的優勢。


 エルメットさんも口に大怪我があるが、

 手足に大きな怪我はなさそうだ。


 それ以外のグラバさんやルダクルもほぼ無傷、

 外傷とかはないようで良かった。


 ただ、テグトトさんはマジで重傷。


 グラバさんだって治癒魔法は使えるが、

 でもそれは上級ほど、依然(いぜん)として重傷だ。


 だから実質的に万全なのはグラバさんだけ。


 リルメスは万全っちゃ万全だが大前提、

 守られるべき存在なんだ。


「並大抵の凡夫では(わたくし)には勝てませんよ」


 弓を持ったあの女。

 全知脳(ぜんちのう)で得た知識じゃ名は、

 マテラ・エッスメルト、悪魔(ロワ)族と吸血(ドラキ)族のハーフ。

 歳は十七歳でもちろん性別は女性。


 まあ、そんなのよりも俺はこいつが、

 なんで大阪弁を使うのか気になってしょうがない。


「…… あんまいきらへん(調子に乗らない方が)ほうがええで。

 ここには″ウルルド″さんかて(だって)来とる」


「……なら、こちらが逃げたらどうします?」

「んー、ま、そら無理やで。

 だってもう来てもうたもん」


 マテラにそう言われた瞬間、

 一気に辺りを支配するほどの魔力が充満した。



「ほんと、どうなってるんですか貴方」


 グラバさんが嫌そうな顔でそう言うと、

 マテラの横の空間が裂けて手が出てくる。


「ごめんごめん。ちょっとご飯食べてたよ」

「予定より少し遅ないでっか?」


 

 ウルルド……異名を冠する俊級(しゅんきゅう)戦士は数が少ない、

 誰であろうと異名が付く時点で異常に強い……


 てか、その登場方法はなんだよ──


全知脳(ぜんちのう)発動】


 とりあえず全知脳(ぜんちのう)は発動した、

 後でこれはまとめておこう。


 それよりこいつと出会ったのは最悪だ。

 ただ……死のリストは赤い状態。


 このレベルが前にいて黒文字にならないのは、

 おそらく元々の運命的に生き残れる可能性が、

 完全にないと言うわけじゃない。


 過程に俺が必要だったケースと、

 結果のみに俺が必要なケース。


 死のリストはそんな感じで文字が決まってる。

 これは5年の異世界経験による俺の確信だ。


「エンヌはぶっ倒されたけど、

 さすがにこっからは好きにさせへんよ」


 死のリストは途中でどれだけ運命が変わろうと、

 色が赤から緑になることは少ない。


 結果が明確に変わった際にしかならないんだ。


「……それはこっちのセリフです」


 等級は一つ変わるたびに強さに大きく差がつく、

 グラバさんは準俊級(じゅんしゅんきゅう)並みというだけで、

 実は俊級(しゅんきゅう)ほどに強いかもしれない。


 それでも相手は俊級(しゅんきゅう)上澄み。

 勝つ可能性は限りなく低いだろうな。


 でも、それでもだ。


 生きるために命を賭ける矛盾は必須。


 グラバさんの拳に血が滲んでる。


「三日前は逃げてたけど今日は逃げないんだ」


 負けることが確実と言うわけでもない。

 魔法使いに対して近接戦は圧倒的に有利。


 だからこの戦いには勝てる可能性がある。


 ただ、いざ戦闘が始まる際、

 グラバさんの肩を掴む手があった。



「グラバさん。あいつの結界は俺じゃ壊せません。

 子供たち連れて逃げてくださいよ」

「我も今の力じゃ壊せん……グラバ殿が行くべきじゃ」


 テグトトさんとエルメットさんが前に出た。


「……ですがそれでは」

「グロワール王国が息吹(いぶき)を吹き返す時、

 それは俺たちの本望なんすよ。

 確実に逃げられるようにグラバさんが行くべきっす」


 エルメットさんの言うことは正しい。


「同意見というやつじゃな」


 テグトトさんだってもう誰かを守る力などない。


「……なんかまた悠長(ゆうちょう)に話聞く感じ?

 もう面倒くさいし始めますねー」


 ウルルドはこちらを待ってくれない。

 即決。それが必要だった。


 大人たちの真剣な雰囲気に、

 リルメスたちのような子供は声も発せない。



「……グラバさん。次会う時は檎鮮(フルジュア)奢ってください」

「我も頼みましたぞ」


 二人はおそらく生き残れないだろう。

 そんなことみんな理解している。


「リルメスお嬢様、行きましょう」

「……メアラとルダクル、行くわよ」


 半分理解が追いついてない二人の手をリルメスが引く、そうすればフリィアちゃんをグラバさんがおぶり、シルフさんは無言のまま皆についていった。


 ここに残るのは、

 テグトトさんとエルメットさんだけになる。


「さぁて……エルメットよ。

 明日の食事はどちらが奢ろうか」

「じゃあ、あの俊級(しゅんきゅう)ぶっ倒した方にしましょ」

「乗った」


「あのオカマも君らも熱いねー」


「……熱くて結構、生涯熱籠(ねぐごも)りじゃよ」

「そうそう、俺も熱男(ねつおとこ)っすよ」



 * * *



 ひたすらに走った。

 屋敷から離れるためにひたすら。


 グラバさんには事前に伝えてることがある。


 万が一、逃げ切る可能性が薄い場合、

 その時は″不帰(ふき)の大森林″に逃げてほしいってな。


 あそこは確かに超危険だ。

 だが、今は森のほうがマシなレベル。


 走る中で後ろから爆発音が聞こえたりしたが、

 誰も振り返る気は起きなかった。


 あの戦い自体、避けられたのは嬉しい。

 ただ……気分はとても良くないし悪い。


 それに二人がどうなったかを想像したくないんだ。


「……これからどうするんですか?」


 ルダクルがグラバさんにそう聞く。


「……ひたすらに逃げます。

 辺りが落ち着くまでひたすら……」



 そう言う通りひたすら森の方へと向かって走って、

 森へと入ればどんどんと奥に入っていく。


 ……そうすれば、とりあえず危機は去ったのだが、

 これは犠牲の上で勝ち取った運命。


 赤文字だった理由も今ならわかる。


 もし、エルメットさんやテグトトさんと、

 深く関わりを築いてなきゃ今のこの状況はない。


 誰と関わるかでも運命はコロコロ変わる。


 戦争自体はまだ続いているし、

 ここからもかなり厳しい状況が続く。


 今の俺がするのは状況整理。


 気を病むな……俺だけは病んじゃダメだ。


 やらなきゃいけないのは俺。



 二週間、まずは二週間だ。

ここまでお読みいただきありがとうございます。

次回でこの戦争編も終わります。

そして第六章にて第一部完結です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ