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花道闊歩 -異世界ガイドとして死ぬ運命の少女たちを幸せな老衰エンドへ導きます-  作者: ガリガリワン
第一部 第五章 戦争編

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第四十話 黒幕上がれば舞うはオカマの光


 * *【テグトト視点】* *



 ウルルド・ユバルトラーマ。


 ダグンド王国三大将軍の一人、

 単独での天星山脈横断をこなしたバケモノ。


 俊級(しゅんきゅう)の中でも上澄み……

 おそらく三将軍の中じゃ最強の存在じゃ。


 それが……それがここに?


 俊級(しゅんきゅう)以上の等級は天級(てんきゅう)のみ、

 じゃが……それじゃあ俊級(しゅんきゅう)の層が厚いのじゃ。


 だから(みな)天級(てんきゅう)に近い俊級(しゅんきゅう)をこう呼ぶ。


 異名持ち俊級(しゅんきゅう)戦士、または準天級(てんきゅう)とな。


「かなしいなぁ……ゴスエトくぅん」


 このウルルドはまさにそれに当てはまるんじゃ……

 ″浮天(ふてん)のウルルド″我なんかがどうにかできる相手なわけないのじゃ……!


「いやぁ国王様もひどいよぅ。

 元々私たった一人でグロワールに対抗してたのに、

 いきなり俊級(しゅんきゅう)をドカドカ入れてさ……」


「なんじゃっお主……挑発か」


「違うよ死にかけさん……

 ダグンド王国の勝利宣言をしてるだけ、

 三大将軍は私を含めて今は俊級(しゅんきゅう)しかいない。

 つい、二日前に代替わりしたんだ」


 ……だからこう攻めてきたのか。

 俊級(しゅんきゅう)三名、それだけいれば仕掛ける理由も納得じゃ。


「今、緑峰(りょくほう)大陸の歴史が変わろうとしてる。

 君らグロワールが負けて大陸はダグンドのもの、

 どうやったって無理、戦力じゃ差がありすぎるよ」


 黙って聞いておればごちゃごちゃと……

 こちらが負けるだとか騒がしいのう。


「テグ……ウチ」

「シルフ、お主は逃げろ。

 黙っておられるか……!

 我はこの国を愛しておるんじゃ!」


 我は血に塗れた膝に力を入れ、

 無理矢理立ち上がってみせた。


「さすが鉱髭(ドルドア)族、タフさんだね」

「譲れんものがあるんじゃよ」

「命を捨てるのは正直、褒められないかな」


 ウルルドは我に杖を向けてそう言った。


 ……準俊級(じゅんしゅんきゅう)を倒したんじゃ、

 誰もここで死んで文句はないじゃろ。


 ただ悔いがあるとしたら……

 シルフは我がいなくなっても大丈夫じゃろうか。


 ……。


 悩む暇はないのう。


「さよなら、国のために戦った英雄さん」



 目を閉じてしまえば死ぬと思っていた。

 なのに、それは何かを蹴りつける音と共に、

 真っ向から死を覆されたのじゃ。


「あたいのお仲間になにしてくれてんのよう!」

「? ……げ、すごい見た目だ」


 アルトレ殿……?


「テグトトサァんあたいに任せなさい♡

 このバカちんはあたい″たち″が相手するわよん!」


 アルトレ殿がウルルドを横から蹴って、

 我から大きく距離を離してくれたのじゃ。


 それに……誰です。このたくさんの人は。


「遅れましたテグトト様、

 ……″ルダクル″様、テグトト様を連れて、

 ケルエタ様の方へと向かってください」


 グラバ殿、無事だったのじゃな。


「いきなり増えたなぁ……

 ただ、君たち全員でかかっても私には勝てないよ」

「んなのわかってるわよん。

 でもねい……あたいたちは生憎、

 仲間を見捨てられないのよねん!!」


 ……ダメじゃ、意識が持たん。

 血を流し過ぎた……ちと眠るしか


「バカバカしいね、そう言うの無駄死にじゃない?」


「あんた……仲間見捨てて明日起きた時、

 目覚めも朝食も気持ち良く感じるの?

 残念あたいたちはそうは感じないのよん。

 あたいたちは明日生きる自分を好きでいたいの」


「なんでこっちに投げキッスしてきたの……?

 はぁ……まあいいや、戦うなら来なよ」



 我の意識はそこを最後に途切れてしまったのじゃ。



 * *【アルトレ視点】* *



 テグトトサァンを助ける数分前、

 空から降ってきたグラバサァんを見つけたわん。


 魔法塾にいたあたいは驚いたわよ。敵もね。


 襲ってくる奴らが多くて、

 城の方には行こうにもずっと行けなかった。


 でも、グラバサァんが来てから戦況は一変。


 敵がバッタバッタ倒れてくし、

 規格外にこの人は強かったのよ。


 魔法塾には生徒と先生が何十人かいた。


 あたいたちは何人か先生を残して、

 実力のある人だけがグラバさんについてったわ。



 それで今に至るってわけ。


 相手は異名持ち俊級(しゅんきゅう)魔法使い……

 グラバサァんでも大敗しそうな敵よん。


 悔しいけど……ここで時間を稼いで死ぬだけね。


 あたいたちは奇襲戦争を仕掛けられて、

 貴族の子どもたちも逃げる暇がない。


 王国が滅ぶ理由は貴族が滅亡してから、

 民側が侵略を受け入れてしまった時よん。


 だから、リルメスチャんだとかは、

 あたいたちが絶対に生かすべき存在。



「ならやってやるよォ!! 炎堂回(ドフエバラ)!!」


 ウルルドってこの魔法使いが挑発したせいで、

 あたいの魔法塾の同僚が魔法を放っちゃったわん。


「どうしてそれで勝てると思うの? 空防・逆(バウルデ・ギウ)


 ウルルドはこの大陸だけじゃなく世界で有名、

 どんな魔法を使うかなんてみんな知ってるわ。


 ただ、それで情報をこっちが持っていても勝てない。


 だって──


「っ……ぁあ?」


 強すぎるのよ……空間を反転させる魔法、空防・逆(バウルデ・ギウ)

 よく知られるカウンターの魔法だってのに、

 ウルルドはそれの精度と速度が高すぎる。


 あたいだって魔法くらい避けられると思うわ。

 でもね……元より遥かに加速した魔法なんて、

 凡人じゃどうやったって止めきれないの。


 全員が息を呑んだ。

 あたいの同僚は右側の顔と肩を吹き飛ばされたの、

 自分が放った魔法を強化されて返されてね……


「さぁ、次は誰が来るのかな?」



 あたいはこう言う状況に覚えがあるわん。


 昔、まだ二十歳になったばかりの頃、

 あたいは″冒険者″として旅をする存在だったわ。


 あたいが冒険者の頃は今ほど強くもなかった。

 今も上級っていう強さだから、めちゃくちゃ強いってわけでもない。


 でも、今より圧倒的に戦士として弱い。


 あの頃も格上の相手と出会っては、

 仲間を助けるためにこういうことをしてきた。


「……グラバサァん。貴方はここを離れなさぁい」

「な、何を言って、相手は俊級(しゅんきゅう)ですよ

……!」


「だからこそよグラバサァん」


 あたいはね、自分の命はいつだって捨てられるわ。


 自分が嫌いだとかそう言うわけじゃないし、

 あたいだってまだ生きて楽しく生活したい。


 でもねん。物事には優先順位があるの、

 あたいの命とグラバサァんの命……


 どうやったってあたいの命は優先度低いのよ。


 この超強い魔法使いと戦って、

 グラバサァんがここで死ぬなんてダメよん。


 やるならあたい。あたいがこいつを引き受ける。


「早く行ってあげなさいグラバサァん。

 あの子たちには貴方が必要なのよん!」

「……っ、アルトレ様」


 そう嫌そうな顔しないで、

 大丈夫よ。だってあたいはこう考えてるから。


「……決めるなら早くしてほしいんだけど、

 もう私、動いてもいいですかぁ」

「わざわざ待ってくれてありがとうねん」


 グラバサァんはあたいが振り返らなくなったのを見て、自主的にその場から離れてくれたわ。


 残ったのは何人かの魔法塾の先生とあたいだけ。


「やっと決まった? 再開してもいいですかー?」

「ええいいわよん。あたいたちはもうバッチリだから」


 もしまた会うならその時は笑顔で会いたい。

 あたいは、いつだって幸せなのがいいの。


「あんたは強くておっかない敵だけど、

 所詮、男女(おとこおんな)にしか区別されない存在……

 男は最強、女も最強、じゃあオカマは──」



 明日を生きるために、今日あたいは死ぬ。



「超ッ最強!! かかってこいやァア!!」

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