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花道闊歩 -異世界ガイドとして死ぬ運命の少女たちを幸せな老衰エンドへ導きます-  作者: ガリガリワン
第一部 第五章 戦争編

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第三十三話 開戦


 12月19日。


 この日、戦争が始まった。


 大体時刻は17時よりも前、

 夕暮れ時に結界魔法が発動したんだ。


 結界魔法は元来(がんらい)閉じ込めることに特化した魔法。

 つまり──


酷かね(酷いな)〜ここ()戦場にしてしまうとかばり最低ばい(マジで最低だよ)

「ニヤニヤしもって(しながら)言うとる(言ってる)あんたもやけどね(だけどね)


 ここは選ばれたんだ。戦場に。


 結界ができてから10分くらい経った今だが、

 俺とフリィアちゃんにメアラは、お城に向かってる。


 奴らの目的は基本貴族の皆殺しと城の制圧。


 それができてしまえば領土を制圧したと言っても、

 なにも不思議なことじゃない。


 俺がお城に向かう理由はリルメスとも合流と、

 グラバさんだとかの強い人に頼るため。


「メアラ怖いですなの……

 戦争ってどこが仕掛けて来たんですの……?」


「ダグンド王国……緑峰(りょくほう)大陸南部を支配する、

 メテオール帝国配下の巨大な国ですよ……」


 ダグンド王国とグロワール王国は、

 とても仲が悪く交易すら行われてない。


 まだ明確に戦争を起こしたのがダグンドだと決まってはいないが、正直そう考えるしかない。


「なんで戦争なんか……!」


 フリィアちゃんがすごく困惑しながらも、

 怒りが混じったようにそう言った。


「本当に戦争なんかなぜ起きるんですかね……」


 ダグンド王国はグロワール王国に武力では勝てない。

 だから、今まで戦争だとかは仕掛けてこなかった。


 その歴史が意味することつまり、

 ダグンドは今のグロワールより強いという、

 圧倒的なまでの自信と事実を抱えてるはずだ。



 * * *



「フリィ無事だったのね!」


 お城でグラバさんにリルメス、

 それとテグトトさんにエルメットさんと出会えた。


「リルメスちゃんも良かった……」


 グラバさんに出会って俺は一つ質問した。


「グラバさん……表情がかなり暗いですが」

「レオニド領が陥落しました……」


 レオニド領……? マジで言ってんの?


「明確な情報は入ってませんが、

 ここに敵襲が来る時点でレオニド領は壊滅寸前か、

 すでに壊滅したと考えるしか……」


 レオニド領はグロワール王国の中で、

 最前線とも言える防衛の要だ。


 天星(てんせい)山脈の小さな谷は北部と南部を繋ぎ、

 そこを通らなければ北部と南部を行き来出来ない。


 谷を通らなければ山脈を横断することになるので、

 かなり危険というか相当強くないと無理だ。


「レオニド領って俊級(しゅんきゅう)の剣士がいましたよね?」

「えぇ、います」

「負けたんですか」

「ここに敵が来てる時点で……」


 俊級(しゅんきゅう)に勝つには同じ俊級(しゅんきゅう)か、

 英級(えいきゅう)が五人程度いてやっと勝てる相手だ。


 負けたって……そんな、嘘だろ?


「……グラバさん。どうするとか考えてます?」

「先ほど、領主リアバダ様から告げられました。

 リルメスお嬢様を連れて、亡命(他国に逃げること)せよと……」


 ……リアバダ様も色々勘付いてるのか。

 てかリアバダ様は逃げないのか……?


「とりあえず……今すぐに逃げましょう。

 テグトトさんとエルメットさんも私たちに」


 俺がそう言えば二人は頷いた。

 ていうかシルフさんはどこ行った?



「テグ〜!! 来た来た来た!!

 大軍が城に向かってきてるよ!!」


 そう思ってたら慌てた様子で、

 窓からシルフさんが入ってきた。


「まずいっすね〜……どれくらい強そうでした?」


 エルメットさんがシルフさんにそう聞いたら、

 シルフさんは見たものを全て伝えてくれた。


「この結界魔法自体、俊級(しゅんきゅう)魔法使いが作ってて、

 こっち来てるやつには準俊級(じゅんしゅんきゅう)がいた!」


 戦力が厚いな……どうする。

 リアバダ領の最高戦力はグラバさんだぞ?


 リアバダ領は戦いにおいては集団戦専門……

 上級の戦士とかが多いのが特徴だから、

 一騎当千の敵が来た場合めちゃくちゃ不利なんだ。


「……ケルエタ様、(みな)を連れて逃げてください。

 (わたくし)がその準俊級(じゅんしゅんきゅう)を討ちましょう」


「ちょっと! グラバはどうすんのよ!」

「ご安心をお嬢様、(わたくし)はすぐに戻りますよ」


 そんなことを言うグラバさんの表情は優しかった。

 リルメスもそれを見て不服そうに黙ってしまう。


「我はグラバ殿のそばでいいんじゃよな?」

「えぇ、テグトト様は(わたくし)と一緒に」


「俺は護衛係ってことっすね?」

「任せましたよエルメットさん」


 これからが決まった。


 まずグラバさんとテグトトさんは応戦、

 残る俺たちは逃げるためにカカテア領の港に向かう。


 カカテア領はメテオール帝国に航路を持つ領で、

 ダグンドがメテオール配下だからと言って、

 メテオール帝国までが敵なわけじゃない。


 とりあえずはこの大陸を離れるのが最優先だ。


 てなわけで俺たちは、

 ダッシュでお城の″ある場所″に向かう。



「……あれ、ご歓迎どうも」


「テグトト様、前線はお任せを」

「了解じゃ」



 * * *



「ねぇフリィ……ルダクルとか見なかった?」

「わたしも見てない……」

「メアラもフリィア様と同じですの」


 三人は不安そうだった。


 ルダクルが今どこにいるかわからない。


 できれば一緒に逃げたいが、

 今はそう言ってもいられないし、

 落ち着くまではルダクルのことは考えられない。


 悪いが……最優先はフリィアちゃんとリルメスだ。


「ここっす!」


 エルメットさんがそう言って指さす場所は、

 お城の階段の隙間、ここに隠し通路がある。


 ここの隠し通路はめちゃくちゃ長い地下通路で、

 リルド村のあの屋敷に繋がってる。


「なんや。まだおるたい(いるじゃん)


「!?」


 なんだ……なんだこいつ?

 気が付かなかった……いやなんでここに……


「みんな遅かけん(遅いから)別ルート自分で開拓してここまで来てしもうたばい(しまったわ)


 ……おい。なんでだ?

 なんでこいつ……″九州弁″で喋ってるんだ……!


「みんな下がって。俺がやるっす」


全知脳(ぜんちのう)発動】


「つまんな。もっと強か(強い)やつおらんと(いない)?」


【エンヌ・ロワルデルドについての知識。

 十七歳 男性 悪魔(ロワ)族 等級・英級(えいきゅう)

 ダグンドの天才と呼ばれる存在であり、

 蒼剣(そうけん)流に属する剣士である】


 おけおけ、詳細はまた今度読みます。

 ところでだ。なんでこいつ九州弁なんだ?


 ……。


 ……そこは発動しないってことは、

 普通に謎ってことか。


「エルメットさん……そいつ強いですよ」

「大丈夫っす。俺も強いんで」


 すげぇ自信だ。いつもは少し頼りないエルメットさんなのに、今日はなんか……普通に頼もしいぞ。


 上級と英級(えいきゅう)にはかなりの差がある。

 でもエルメットさんは上級の器じゃない。


 機会さえあれば英級(えいきゅう)になれる存在だ。


「なら……信じます! 行きますよ三人とも!」


 そんな感じでエルメットさんを残して、

 俺たちは隠し通路の中へと入った。



「一応言うとくばってん、(言っておくけど)

 わい(お前)じゃおい(おれ)には勝てんばい」

「ははっ……クソガキだなお前〜」



 * * *



 だいぶ周りが寂しくなった。


 あれから数分走り続けてるが、

 フリィアちゃん以外ヘロヘロだ。


「ちょ、ちょっと休憩したいわ……!」

「メアラも……倒れちゃいますなのぉ」


 こうなってしまっては休憩するしかない。


「はぁはぁっ……フリィは元気ね」

「えへへ……まあ剣士だから」

「さすがですなの……フリィア様」


 どうしたもんか……リアバダ領の首都レクセトには、

 何人か強い人だったり高等級の人はいる。


 だけどそれも英級(えいきゅう)とかの話だ。


 俊級(しゅんきゅう)の前じゃ無意味……

 敵も敵でここに来るまで多くの障害があったはず、

 戦力は分散してるはずだ……


 でも、それでもあの九州弁の男が来るレベル。

 エルメットさんが勝つことを祈るしかないな……



「……!」


 いきなりフリィアちゃんが立ち上がって、

 大剣を咄嗟(とっさ)に持ってリルメスの背中の前に立った。


 そしてその行為はリルメスの命を救う。


「ッ!」


 ガキンッと金属音が鳴れば、

 なにをされたかすぐに理解できた。


「敵が来ました……!」


 斬撃を放てる程度の剣士。

 遠くに見える姿はさっきの九州弁男じゃない。


「追手ですね」


 エルメットさんは負けてない。

 あの九州弁男をちゃんとまだ食い止めてる。


「ほんと嫌な日だよなァ……

 七歳歳下に指図された挙げ句、

 次は少女に斬撃まで防がれた」


 遠くから声が響いてこっちまで聞こえてくる。


「あいつは人望がないから、

 俺しかついてこなかったけどよォ〜。

 お前らの首持ち帰れば大手柄……」


 不気味なやつだ。

 ヨロヨロしながらこっちにゆっくりと歩いてきてる。


「だからよォ……だからよォ……!

 どうかな。死んでくんね〜かなァ……!」


 一気に踏み込んでこっちに飛んできた。

 それを防ぐのはフリィアちゃん。


「嫌です……まだわたしたちは死にたくない!」


 剣を防いだフリィアちゃんは大剣でそいつを押し返して、距離を無理矢理取らせた。


「ッ……怪力かよォ〜……死にたくないかァ……

 でも殺すしかないんだよなァ〜……」


 

全知脳(ぜんちのう)発動】


【ユレケオ・ガグバルドについての知識。

 二十五歳 男性 狼族 等級・準上級】


 って言っても上澄みか……上級クラス。


 いや、勝てるぞ。

 それに倒すしか道はない。


「メアラさんは俺と観戦、

 フリィアちゃんとリルメスお嬢様、

 そいつ、ぶっ倒しましょう」


「はい!」

「任せなさい!」

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