第三話 死のリスト
どうもこんにちは。坂田です。
異世界転生して二日目……
転生した時はテンション低かったけど、
今日になってめちゃくちゃ気分が良いです。
はい。異世界にて私ワクワクしてます。
まあまあ、それよりも、
私はとても重要なことに気が付いてしまいました。
少女二人の死ぬ運命が表示される青い画面。
まあ、通称『死のリスト』とでも言いましょう。
今の私は実体が透明で声も出せない。
ので、これからのために死のリストを見てたんですが……わけわからん量の文字数あるゥーッ!!
広辞苑かよっ……え? そんな死ぬ?
じゃあ俺、普通に気絶のスキル使ったけど、
これ意外にやばい? え、やばいよね。
死のリストは3000ページ以上!
しかも気がついた点がもう一つある。
これ、死の運命を回避させたら、
また新しく違う死の運命が出てくるんだよ。
そんでこれは予想。
根拠なんてないし、そう考えるしかない話だけど──
多分このびっしり書かれた死の運命は、
全部が100%死ぬってやつじゃないっぽい。
だって、明らかに真っ赤な文字が何個かある。
多分その真っ赤なやつが一番やばい。
その次に黄色いやつ、一番安全なのが緑だ。
色文字を凝視するのはちょっと目が疲れそうだが……
そもそも俺って眼球あるのか?
でもちゃんと見れるし……どうでもいいか。
ちなみに文字の色も濃さがある。
それと、ご丁寧に死のリストは日本語で、
俺以外には見えないようになってる。
んまぁ……書かれてる順で死の運命が近づくなら、
次の死因は″溺死″だ。緑文字だが放っておけば、
低い確率で死ぬってことだろ?
……どうする? ここは運ゲーか?
透明だし声も出せない。物とかも持てないし、
俺普通に今、何もできないんだよなぁ……
「いってきまぁ〜す……!」
「気をつけるんだよぉ〜」
『いってきます』か弱いながらも精一杯の声量でそう言う子は、フリィア・サタニルドちゃん。
この子はとんでもなく運が悪い。
藤色の髪? まあDQN髪だがおそらく地毛で、
髪型は癖ありの短めで子供らしい髪型。
ちなみに目の色は青白い。
寒色系で痩せてる美少女……
さすが異世界、顔面偏差値が高い。
多分俺はこの世界じゃ不細工判定だろう。
フリィアちゃんに両親はいない。
多分、かなり訳ありだが邪推は御法度だ。
さてさて、フリィアちゃ〜ん。どこ行くの?
手には小さい袋……? よしわからん。
こいっスキル二つ目! 全知脳発動しろ!!
【全知脳発動】
……ぉおっ、やっぱりこんな感じか。
スキル二つ目の全知脳、こいつ結構癖ありだ。
俺が実際に見てそれを知らなかった場合、
自動的にこれが発動して知識を得れる。
でもこいつはネット検索みたいなもんで、
身内ノリとかのネタまでは知らない。
オリジナル料理とかも本になってなきゃ、
中に何が入ってるかとかはわからん。
そして、全知脳は俺が知りたいと思って、
″初めて″自動的に発動する。これが厄介だ。
ここは異世界、とにかく情報がたくさんないと死なせる危険が高い。
だから俺は好奇心を常に剥き出しにする。
でも、俺は飽き性だ。一年は楽しめるかもだが、
俺がこの世界に慣れたら飽きるかもしれん。
全知脳とか言う割に、意外に癖あるんだよな。
とりあえず、今はあの袋について知識を得た。
あれは貯水袋、日本語っぽく当て字してみたが、
意外に悪くない。これからもこうしよう。
あの袋は言っちゃえば小さい袋の見た目して、
中身はタンクみたいな構造の魔法アイテム。
重さはリンゴ一個分、まあ便利アイテムだな。
見た感じ、フリィアちゃんのあれは粗悪品だ。
容量としては6Lくらい。一般の物じゃ20Lは入るっぽいから……マジでこの家は貧乏ってことだ。
* * *
さて、死のリスト的におそらく……
溺死の可能性があるのは、確実に今日。
だってフリィアちゃん。今、川にいるもん。
……溺死、予想じゃ確率が低いって思ってるが、
どうなるんだ? 多分濃い文字だったら死ぬ可能性が高いんだろうけど、薄かったしな……
「妖精さん……今日もわたしのそばにいる?」
……いる。ちゃんといる。
でも、今日は助けてやれない。
だから頼む……死ぬなよ?
「……いつかお礼したいな」
元いた世界ならジュースでも奢ってくれたら、
まあ俺は満足する。でも、お礼はいらない。
フリィアちゃんが生きてればいいんだ。
フリィアちゃんは辺りをキョロキョロしながら、
緩やかな川の水へと近づき始めた。
本来、あの村には水場があるんだが、
水道代と同じで金を払わないと使えないっぽい。
だからフリィアちゃんは今、水を汲んでる。
死のリスト的に死ぬ運命は今が一番多い。
やっぱり本人がガリガリで戦えないからだな。
そのためにも、できるだけ村の中で過ごしてもらいたい……早急に貧乏生活をやめさせないと。
「つめたっ……」
意外に独り言が多いな。
いや、子供なんてそんなものか。
加えてフリィアちゃんは友達がいない。
「……いっぱい水を汲まないと」
なんだか……可哀想だ。
だって七歳だ。俺の元の価値観が日本ってのもあるが、この歳でこんな頑張る子なんてほぼいない。
「……きゃっぁあ!?」
!? フリィアちゃんが転んだ。
多分、川底の石に足を滑らせたんだ!
めっちゃ焦った。でも、意外に大丈夫だった……
びしょ濡れになっただけで怪我もなさそう。
……まさかだけど。
俺は死のリストを開いた。
青い画面こと死のリストは見たい時に出てくる。
おわーっ……溺死消えてる。
マジか、あの転びで溺死してた可能性があるのか。
てことは薄い緑文字はほぼ死なない、
何百回に一回死ぬレベルの雑魚死運命だ。
……やっぱり色の濃さと緑・黄・赤の三段階分けってことだな。
【*緑文字が赤文字に変わりました
[対象]触食族に捕食され死亡】
……は?
「いてて……ぇっあ?」
フリィアちゃんが水の中に引きずり込まれた。
それと同時、俺の全知脳が自動発動する。
【全知脳発動】
水族……触食族。
水域に生息する肉食水族……
待て待て、ご丁寧な解説なんてどうでもいい!!
どうする助けなきゃフリィアちゃんは死ぬぞ……!
「ぅあごぷぁ……っぁ!」
触食族は粘液性の身体に、
筋肉で構成された小さな核を持ってる……
まあ、見るからにあの赤い肉だよな!
やばい、マジでどうする!
死のリストが俺を急かすように震え始めた。
赤文字がどんどん黒くなってる……
何か策を思いつけ……!
じゃなきゃフリィアちゃん死ぬぞ!
『ケンちゃんはこの本好きねぇ』
なんだこの記憶……ばあちゃん?
『早くぅ読んで〜!』
ガキの頃の俺……そうだ。
ばあちゃんに本を読んでもらってた。
その時読んでた本なんだ……!
こんな時に思い出す時点で絶対にフリィアちゃんを救う策が眠ってるはずだ……!!
文字がデカくなってる……やばい!
フリィアちゃんの足が触手に掴まれて、
もう数秒後に丸呑みされそうだ……!
「たすけ……っ」
思い出せ……思い出せ俺ッ!!
『腹の中の舞を見よ』
あ、そうだ。思い出した。
っ……まだ間に合う!!
俺は土壇場で思い出した。
この声も出せなければ気絶スキルも使えない状態で、
バケモノをぶっ倒す方法を──




