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花道闊歩 -異世界ガイドとして死ぬ運命の少女たちを幸せな老衰エンドへ導きます-  作者: ガリガリワン
第一部 第三章 不帰の大森林編

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第二十四話 希望の光


 * *【リルメス視点】* *



「リルメスちゃん!」

「星々よ。──星水衝(アグタスメア)!」


 星水衝(アグタスメア)は上級水魔法……

 集団戦向きってグラバが言ってたし、

 この魔法をフリィに当てずに使わなきゃ……!


「……!」


 フリィに向かってく触手、

 あたしがいくつ破壊しても、

 何度も何度もフリィの足に絡みつく。


 あれをどうにかしないといけないのに……!


「!」

「……」


 フリィと目が合った。

 不安そうでもなくて、泣きそうでもなくて……

 真っ直ぐあたしを見て信じてくれてた。


 ……。


 あたしが戦士になりたい理由……

 今なら決められる気がするわ。


 どうしても……あたしがいないといけないの。


 あたしじゃなきゃダメなの!

 

 フリィの隣に立ち続けるのはあたしよ!!



風幻操(ウフルメア)!」

「うわっ!」

「フリィ! そのままあいつに飛びかかりなさい!」


 単音詠唱(たんおんえいしょう)でやってやったわよ……!

 フリィを浮かせて触手から離してあげたわ!


 もう、フリィを止められる奴はいないの、

 だから……だから──


「やっちゃいなさいフリィ!」


 フリィは空中で大剣に乗るようにして、

 (ヌシ)一直線に飛んでったわ!!


「テグ、身体強化をフリィア嬢にかけるよ!」

「シルフ頼んだぁ! やったれェお嬢ちゃん!!」


 地面に大剣を突き刺して(ヌシ)の前にフリィが立ったわ。触手がまたフリィに襲いかかったけど……


「っ!」


 フリィはギリギリで触手を避けて、

 大剣を地面から引き抜いて(ヌシ)を斬りつけたわ!


 身体強化魔法がかかったらあんな力持ちになるの!?

 すごいわフリィ!


「……っはぁ、はぁ」

「か、勝ったのよね?」


 (ヌシ)が水みたいに溶けちゃったら、

 たくさんいた召喚体も同じように消えたわ。


「リルメスちゃん……勝ったよっ!」

「〜〜!! やったわ!! あたしたちの勝ちよ!」


 勝ったわ! 勝ったわよ!

 英級(えいきゅう)クラスの敵を倒したわよ!



「テグ……思わない?」

「何がじゃ?」

「……(ヌシ)は確かに強かった。

 でもさ……通常の敵で上級の暴野(ぼうや)がいたから、

 こいつは普通に考えたら英級(えいきゅう)だし、

 魔力量だって間違いなかった」

「シルフ、何が言いたい?」


 二人が話してたけど、あたしはフリィに抱きついてたからあんまり聞こえなかったわ。


「……変だよ。英級(えいきゅう)暴野(ぼうや)が負けるはずない。

 確かに規模感はすごかった……でも弱すぎる。

 脆すぎるというか……あまりに手数が少ないの。

 過去の英級(えいきゅう)の奴らより何倍も──」


 いきなりだったわ。

 部屋の明かりの色が真っ青になったの。


「な、なに!?」

「まだ敵くるの……?」


 あたしとフリィはびっくりしたけど、

 テグトトとシルフはちょっと笑ってたわ。


「あ〜……テグトト全部わかった」

「我も全て理解したわい……ホッホッホッ」


 二人とも見上げてたから、

 あたしたちも上を見たわ。


「なに、あれ」

「さっきの黒い奴(ヌシ)が……」


 (ヌシ)一体があの強さだったわ。

 でも……今度は上から何十体も降りてきてたのよ。


 一体から二体って感じで増えてて、

 黒い渦からももう一体出てきたわ……


「固有魔法は二つだった……

 召喚魔法由来ではない召喚。

 そして、分身体の構築……

 初めて聞いたよ。分身なんてさ」


 そ、そんなのあり? ズルいじゃない!!

 一体でも残ってたら……増えちゃうんでしょ?


「テグ、どう?」

「一体でもかなりの召喚量じゃった。

 じゃがそれを成せる者が今……ああして、

 大量に降りてきている……そうじゃなぁ」


 こんなのどうすれば良いのよ……

 何十体も……無理よっ


「シルフ、詰みかもじゃ」

「……ま、そうだよね〜」


 フリィが怪我してやっと勝てて……

 みんなでやっと……やっと勝てたのに。


 こんなの……ズルよ!



 * *【ケルエタ視点】* *



「グラバさんこっちです」

不帰(ふき)の大森林……」


 俺とグラバさんは森に入った。

 ここは入ったら二度と帰れない森だ。


 色んな可能性を考えた中で、

 最も可能性があるのがここだ。


 この前の手紙でリルメスちゃんは気になってた。

 ここがどういう場所か……俺も(にご)してたしな。


 危険な森……なんてレベルじゃない。

 人が簡単に死ぬようなところなんだ。


 それに内部の情報はほとんどなかった。

 だけど、ただ一つ助かることがある。


 この森、湿度が高すぎるせいで地面が濡れてて、

 足跡がくっきり残ってたんだ。


 これを辿(たど)って行けば二人に会える。


「グラバさん……すみません……止められなくて」

「なぜ謝るのです……不可能ですよ。

 どれだけ対策しても穴があるのが当たり前です」


 グラバさんはため息をついて前を向いた。


今私(わたくし)たちができることは、

 二人を必ず見つけること……

 それ以上もそれ以下もありません」



 ……俺は絶望してる。

 さっき話してる時、グラバさんは「首都に帰るべきだ」と。独り言を発してた。うん……だろうな。


 ここにリルメスがいる必要はない。

 本来、首都に帰って過ごすべきなんだ。


 本人のわがままが強かったせいで残ってるが、

 今回の件でグラバさんも我慢の限界だろう。


 つまり……助け出せても離れ離れになるんだ。

 そうなってくると二人を生かすのは不可能。


 どうにかしてそれはやめてもらわなきゃいけない。

 じゃないと……俺が守ってあげられないんだ。


「……あ」

「転移魔法陣……!?」


 グラバさんが歩いてる中、硬い地面にグラバさんの足が乗ったと思ったら、転移魔法陣だった。



 まあ……案の定転移した。

 でも足跡的にも二人は転移したかもしれない。


 足跡は間違いなく、直進してるだけだった。


 死のリストもまだ、たまに更新されてる。

 だから生きてる……生きてるけどここって……


「迷宮……なるほど」


 迷宮。世界にたくさんある謎現象の一つ。

 急に出現するし、中は暴野(ぼうや)だらけ……

 でも、金貨とかが多くて宝石とか豪華な物もある。

 

 稼ぐには良いところだが……

 なにせちゃんと危険度は高い。


「二人は無事なのでしょうか……」

「まだ生きてます……ただいつまで……」


 迷宮の攻略は一流のギルドが請け負う。

 基本的に階層が分かれてて、

 全知脳(ぜんちのう)の出した記録上じゃ最大二十七層。


 ここがどれくらいの深さかは知らん。

 そして今、何階層だとかもな。


「……揺れている」

「なにがですか?」

「小石が揺れています……それに魔力を感じる」


 グラバさんが言うことつまり、

 何かが魔力を使って戦ってるサインだ。


「……急ぎましょう」

「えぇ、そうですね」


 

 二人は確かに強くなった。

 それでも世間一般的な戦士並みだ。

 

 この世界の一般的というのは雑魚という意味。

 平均より上でやっと生きていけるんだ。


 グラバさんは走る中、何度か暴野(ぼうや)にあった。

 大体下級から中級、全部ワンパンだった。


 見もせず、流れるように殴って吹き飛ばして、

 一瞬で命を何個も奪っていってた。


 やっぱりこの人の強さは桁違いだ……


 途中真っ黒な騎士が出てきた。

 グラバさん的には推定上級。


 俺もそう思う。

 だけどこの人、その上級をたった1分程度で倒した。


 ……それもそうか、準俊級(じゅんしゅんきゅう)は上級を軽く倒せる。

 そんなレベルの強さなんだ。改めて納得する。


 そんな一方的な殺戮(さつりく)をしながら走り続ける中で、

 グラバさんは一つの大きな扉を見つけた。


 鍵がかかっていて開ける方法が見つからない。


「……ケルエタ様後ろへ」

「え、あぁはい」


 そんな感じで俺がグラバさんの後ろに行ったら、

 グラバさんは魔力を拳に込めて扉を殴った。


 普通こういうのってギミック解くんだよな?


 この人、拳に魔力をめちゃくちゃ乗せて、

 ゴリ押しで扉ぶっ壊して進んだぞ……


「グラバさん……意外に物理ですね」

「今は時間がないので……」


 そう言って俺とグラバさんは扉の奥の通路、

 それを通ってまた前進し始めた。



「近い……すごい量の魔力ですね……

 肌を突き刺すような魔力を感じます」


 その魔力を感じるのなんなんだ……

 俺全く感じないんだけど。


 ま、まぁいいや。

 グラバさん的には近いらしい。



 * *【フリィア視点】* *



「リルメスちゃん……あたしから離れないで」

「フリィもあたしから離れないでよ……」


 さっきのあいつを倒すのにあんな苦労したのに……


「うっ……ぐ」

「フリィ……?」


 痛い……ズキズキする。

 お腹をさっき殴られたから……


「大丈夫……どうにかなるよ」

「……フリィ」


 ……帰りたい。こんなところで死にたくない。

 でも……こんな量勝てるわけないよ。


 わたしがそう思ってると、

 後ろからすごい量の魔力がきた……


 誰……? 空間魔法で守られてるはずなのに、

 それでも少し耳が塞がっちゃいそう……


「グラバっ!!」

「なんじゃと……!?」

「え、マジ?」


 みんな振り返って驚いた。

 グラバさんと……ケルエタさんがいたの。


「ケルエタさんっ……」

「フリィアちゃんとリルメスちゃん。

 お説教は後でしますからこっちへ、

 あとは″グラバ″さんがやってくれますから」



 グラバさんが強いって知ってるけど……

 いくらなんでもあの数を一人じゃ無理だよ。


「テグトトさん。お久しぶりです。

 加勢はいいので、お二人をお守りください」

「相変わらずじゃな……承知した」


 グラバさんはそう言って、

 ネクタイを結び直して前に出たの。

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