表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
花道闊歩 -異世界ガイドとして死ぬ運命の少女たちを幸せな老衰エンドへ導きます-  作者: ガリガリワン
第一部 第三章 不帰の大森林編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/34

第二十三話 賭け事


 * *【シルフ視点】* *



 テグにはウチが長年付き()ってきた。

 こいつがまだ子供の頃からウチはそばにいる。


 生涯で3回、テグは英級(えいきゅう)の敵と戦ってる。


 英級(えいきゅう)はさすがに強いさ。

 毎回テグだって死にかけてた。


 でも……今回の敵は少し違った。

 等級は結局のところどこまでいっても強さの指標。

 直接的に強さを断定できるわけじゃない。


 ウチらが等級を予想する中で重要な情報、

 それは魔力量と攻撃の規模感。


 高い等級ほどここら辺はわかりやすいんだよな〜。


 ただまあ、わかりやすいってだけで、

 普通に見誤(みあやま)る時だってあるさ。


 そう、それが今回だったんだ。



「テグ……あれ召喚魔法?」

「じゃよな……じゃが規模感が」


 同じ等級でも格差はある。


 英級(えいきゅう)でも準俊級(じゅんしゅんきゅう)に近いやつとかね。


「お嬢ちゃんたち、自分の身は一人で守れるか!

 どうやら……あの(ヌシ)想定外の強さじゃ……」

「召喚体はフリィとあたしが蹴散らしてやるわ!」


 リルメス嬢とフリィア嬢、

 二人は九歳にしては強い。


 召喚魔法で召喚された雑魚敵たち。

 等級は大体中級レベル、頑張って準上級くらい。


 だけどなにせ数が多いんだよね〜……

 この規模感の召喚魔法は英級(えいきゅう)以上。


 準俊級(じゅんしゅんきゅう)がやるようなレベル。

 でも魔力量自体は英級(えいきゅう)……中途半端な奴。


「召喚魔法しか扱えぬ敵だったら楽じゃなぁ」

「絶対ないって、属性魔法とかで戦うでしょ〜」


 召喚魔法を使う奴は地力の有無関わらず、

 大体っていうか絶対属性魔法持ってるし、

 まあこいつも例外とかじゃないでしょ。


茈雷(しらい)上々(じょうじょう)、染め上げの天空(あまぞら)

 見えし幻郷(げんきょう)、呼応せし迅雷(じんらい)

 熱の抱擁(ほうよう)雷日(らいじつ)讃歌(さんか)……世雷盤上(ララトールグラ)!」


 英級(えいきゅう)雷魔法の中で集団戦向きなら、

 多分この魔法がトップクラス。テグも本気だね。


 テグの放った雷魔法は、

 紫色の電撃を大量に上からを落とす魔法。

 シンプルだけどこの大きな部屋全体に範囲はあるし、

 なにせ威力もめちゃくちゃに高いから強い。


 今の魔法で大体の召喚体が灰になった。

 でも、肝心の(ヌシ)は空間魔法で防御。

 召喚体も灰になった瞬間、新しく召喚された。


「……あやつ、我より魔法発動早くないかのう?」

「うわ〜早、召喚体復活早すぎでしょ」


 うん。早い。確かに早い。

 (ヌシ)はおそらく(デダ)族。

 全身黒い布で隠れてるけど、

 召喚する奴らが全部骸骨の魔族。


 ってなると召喚魔法じゃない可能性もあるな〜……


「テグ、あいつ召喚魔法じゃないだろ。

 多分だけどさぁ〜あれ、″固有魔法″じゃない?」

「なるほどのう、確かにそうなれば説明がつく」


 固有魔法、魔族のみが持つ魔法。

 魔族は種族ごとに固有魔法を持ってて、

 結構なんでもありだから、納得するには十分。

 (デダ)族は魔族に分類されるし〜?


「……のうシルフ。我に策がある」

「策? テグの策とかちょっと不安だわ〜」

「失礼じゃな……」


 策……なんだろう。

 ウチはなんも思いつかないけど。


「お嬢ちゃんたち! 頼みがあるんじゃが良いか!」


 なんで二人を……?


「いいですよ……!」

「あの(ヌシ)二人で倒しとくれ〜!」


「ふぇ?」

「え?」

「は?」


 全員がテグを見たさ。

 何言ってんの? 相手は英級(えいきゅう)レベルの暴野(ぼうや)

 この二人なんかが勝てるわけないじゃん!


「む、むりですよ!! わたしたちじゃむりです!」

「そうよ!! いくらあたしたちが天才だって、

 ちょっとめちゃくちゃ言い過ぎ!!」


 お二人は焦ったように怒ってた。

 まあそりゃそうでしょ。ウチもキレると思う。

 死んでくださいって言ってるようなものだし……


「まぁてまぁて……そりゃ正面から戦わせるわけないじゃろうが、″トドメ″をお願いしたいだけじゃ」


「トドメ……?」

「あたしたちに?」


 ……ははーん? わかったぞテグ。

 お前、召喚体とかの処理を自分がして、

 (ヌシ)の隙をついてもらうわけだな?


 だけど、あいつが属性魔法を使う可能性だって──


「お嬢ちゃんたち、これは賭けじゃ。

 あやつは属性魔法を使えた場合、お主らは死ぬ。

 じゃが、ここで動かねば我の魔力切れで死ぬ。

 賭けるなら可能性のある方に賭けてみんか?」


 ははっウチの相方イカれてる。

 戦場とはいえ、リルメス嬢は貴族だよ〜?

 生きて帰っても死なせたら極刑でしょ。


 でもまぁ……ウチは賛成かな。

 二人がどう思うかは知らないけど。


「……隙は作ってくれるんですよね」

「もちろんじゃ、我ならできる」


「フリィ、やってみましょ」

「で、でもぉ……」

「やらなきゃ死ぬだけらしいわよ!!

 いいからやりましょ! 大丈夫あたしたちなら!」


 この二人、性格が真逆だなぁ……

 剣士なのにちょっと弱気なフリィア嬢。

 魔法使いなのに強気なリルメス嬢。


 面白いコンビだね。あんま見ないよ。


「テグ、属性魔法を使わない根拠はあるの?」


「ある。見てみろあやつの手、

 魔法の杖以前にそもそも手がないんじゃ。

 固有魔法は普通の魔法体系から逸脱しておる」


 テグはそんなことを言いながら、

 こっちに歩いてくる召喚体を倒してた。


「おそらくじゃが、固有魔法による召喚の規模感、

 それにこの段階で属性魔法を使わない時点で、

 あやつは固有魔法特化の(デダ)族というわけじゃ」


 さすが魔法大学エリート。

 そういうことね。二人はちんぷんかんぷんな感じだけど、ウチは理解できた。


「でもさ〜あいつ形態変化したらどうすんの?」

「そこが我の賭けポイントじゃよ。

 するか否か、もう運じゃ」


 なるほどね〜。だから賭けってことか。



「お嬢ちゃんたち、準備は良いか?」

「いつでもいいわよ!」

「は、はい!」


 戦況が変わった。

 こっち側はついに攻めに入る。


「リルメスちゃん。テグトトさんが倒しきれなかった召喚体、頼むね……!」

「任せなさい余裕よ!!」


 フリィア嬢大剣使いなのに……

 身体強化なしであそこまで早く動けるの?


 ウッソすご……!


「リルメスちゃん!」

「火華の開花一閃……華上炎(フラルメラア)!」


 それにリルメス嬢もいいサポート。

 事前に詠唱をしておいてすぐにカバーしてる。


 テグの援護もあってどんどんフリィア嬢が(ヌシ)に接近していって、もうすぐ間合いに入りそうだよ!


「うそっ……!」


 (ヌシ)の黒い布の中から大量の触手が出てきて、

 それが一直線にフリィア嬢に向かってる。


 先端は鋭利なやつもあるし……殺す気だよあれ。


雷十刺(ニルベガ)!!」


 でもそこはテグがカバーした。

 単音詠唱の雷十刺(ニルベガ)、威力は終わってるけど触手を焼き貫くことくらいはできる。


「止まるなフリィア嬢ちゃん!!

 お主は剣士なんじゃ恐れず進めェい!!」


 テグのそんな声にフリィア嬢は感化されたのか、

 もう一度前へと一歩踏み出して、(ヌシ)に近づいた。


 完全にフリィア嬢の間合い、

 あとは大剣で斬りつけるだけだよ……!


「っくぁ!」


 いきなり、フリィア嬢がこっちに吹き飛んできた。

 なに……なにされたの?


「隠しの触手があったのじゃな……!」

「フリィっ!!」

「っひゅっ……だいじょ、うぶ」


 マジ……? 立てんの?

 あの速度で吹き飛んだんだから骨とか──


「絶対に……あいつを倒すんだ。

 じゃないとっ……帰れないからっ!」

「フリ……ん……ううん。わかった。

 フリィ、倒すわよあいつ。それで帰るの!」


 フリィア嬢は弱気なんじゃない……

 ただ表に出ないだけで内心は剣士だ。


 九歳で女の子なのにお腹を殴られて吹き飛んでも、

 立ち上がって前に進む。この娘生粋の剣士だね……


「次は失敗しない……リルメスちゃん。

 またお願い」

「何度でも頼りなさい。

 フリィには特別よ!」



 二人の精神性は鍛え上げられてる。


 こんな強靭な精神を持った子たちを、

 ウチはこの人生で見たことがない。


 相手は推定英級(えいきゅう)暴野(ぼうや)

 でも手数は少ない……勝ち筋はある。


 なんて思っていたけど、

 ウチらは知ることになるんだ。


 こいつの固有魔法は″一つ″じゃなかった。ってね……




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ