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花道闊歩 -異世界ガイドとして死ぬ運命の少女たちを幸せな老衰エンドへ導きます-  作者: ガリガリワン
第一部 第三章 不帰の大森林編

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第二十二話 英級魔法使いの力


 * *【リルメス視点】* *



「二人はすごいね〜その歳で中級?

 さっきさ、下級とか準中級の暴野(ぼうや)が死んでて、

 暴野(ぼうや)同士の争いかと思ってたけど……

 切創(せっそう)があったから、もしかしてってなったんだ」


 切創(せっそう)……? 知らない言葉だわ!

 フリィなら知ってるかしら?


「フリィ、切創(せっそう)ってなにかしら?」

「ごめん……わたしもわかんないや」


 珍しいわね……フリィは物知りなのに。


「シルフ、難しい言葉は伝わらんぞ?」

「あぁ〜ごめごめ、まあ簡単に言えば斬った跡だよ」


 切り傷みたいなそんな感じかしら……?


「なんかこんな時に聞くのもなんだけど、

 二人はなんで戦士を目指してるの?

 ウチは戦士なる人の動機が気になんだよね」


 動機……? また知らない言葉だわ……!


「フリィ、動機ってどんな意味?」

「例えば……戦士になりたい理由とかだよ」


 戦士……そうね。聞かれると出てこないわね……

 フリィはちゃんとなりたい理由もあるけど、

 あたしってなんで戦士になりたいのかしら。


 魔法は綺麗だから好きだけど……

 戦士になる理由は確かにないわね。


 ……



「……」

「リルメスちゃん……?

 ずっと黙ってるけど、どうしたの?」


 気がついたらあたしは黙ったまま歩いてて、

 目的地の扉の前まで来てたわ。


「ん、あ、いや! なんもないわよ!!」

「動機聞いたら固まっちゃったからさ〜。

 ちょっと心配したわ〜」


 ……動機。


「さて……この扉が開くか開かんかで未来が変わる。

 お嬢ちゃんたち、魔力を扉に流してくれんか?」


 テグトトがそう言ったらフリィが先に前に出て、

 扉に向かって手を当てたけど──


「魔力の放出だけならわたしもできる……

 けど、ビクともしません……」

「……じゃあ次はリルメス嬢だね」


 シルフがそう言ったからあたしも扉に手を当てた。

 でも、魔力を放出しても動かない。


「……困ったなぁ。こりゃどうするシルフ」

「テグ、そんなウチは全能じゃないっての」


 動かせなかった。

 これじゃ出られないじゃない……!


「リルメスちゃん。こっち来て」

「え? う、うん」


 フリィがそう言ったから、あたしは近づいた。


「手、扉に当てて魔力出しておいて」

「う、うん?」


 な、なに? なにするの?


「できるかわからないけど……」


 フリィがあたしの手の上に手を置いてきた。

 結構温かいのよね……フリィの手って。


 そう思ってたら、ガチャンって音が扉からしたの。


「いけたかな……?」

「どういうこと!? なにしたのフリィ!」


 扉がギィギィ言いながら開いたの。

 なにが起きたの? 開いちゃったわよ!


「開いたぁ!? な、なんで開けたぁ!?」

「ホォ〜なるほど! ″混合″か!」


 混合……? もう難しい言葉ばっかで嫌よ!!


「魔力は混ざるってケルエタさんが言ってた。

 リルメスちゃん……忘れてたの?」

「いぅ……もちろん覚えてたわ!!

 そう、混合よね!! 混合!!」


 なんか言ってた気がするけど……

 全然覚えてなかったわ。


 フリィの言い方からして多分、

 魔力が混ざり合うことを言ってるのよね?


「特殊な魔力……なるほどねぇ〜、

 混合にて生じた魔力を指してたのか」

「その記載はあれか? 壁に書かれたりしておる、

 ″古字(こじ)語″からのものだったのじゃ?」

「そう、大昔は混合なんて用語ないから納得」


 なんだか難しいこと言ってるけど、

 とりあえず扉は開いたから問題ないわよね!!


「それにしてもお手柄〜!

 フリィア嬢は天才だね〜」

「そうじゃのう……我は気づかんかったわい。

 まさに天才じゃな!」


 二人はフリィをよくわかってるじゃない!


「そうよフリィは天才よ!」

「えへへ……天才、かぁ」



 * * *



「お嬢ちゃんたち、先に言っておくが、

 この先の(ヌシ)の等級は英級(えいきゅう)クラスじゃ。

 無理に戦わんでよい、自分の身だけを守るんじゃ」


 扉の奥に進めば長い廊下があって、

 そこでテグトトからそう言われたわ。


 さっきの黒い騎士が上級……

 ならあたしとフリィじゃ敵うわけもないわ。

 悔しいけど……英級(えいきゅう)なんて無理よ。


「リルメスちゃんはわたしの後ろにいてね」

「フリィが危なくなったら魔法で助けてあげるわ」


 でも、死ぬ気なんてしないわ。

 だって、勝つのは無理でも負ける気はしないの。


「……シルフ」

「あぁいるな〜。三体いてその内一体が(ヌシ)だ」


 耳が塞がっちゃいそう……

 魔力の差がすごいんだわ。


 うぅ……耳がちょっと痛いわね!


繋空(ベルラート)


「あれ?」

「耳が痛くないわ……」


「空間魔法でお嬢ちゃんたちを覆った。

 魔法の鎧見たいなものじゃ、耳の痛みは消えたか?」


 すごい……単音詠唱(たんおんえいしょう)で空間魔法を発動したわよ。


「さぁ来るぞお嬢ちゃんたち。

 下級や中級の比じゃない奴らがのう!」


 テグトトが前に一歩出た瞬間、

 部屋中が明るくなって三体の暴野(ぼうや)が見えたわ!


 二体はさっきの大きな黒い騎士がいて、

 残りの一体は奥で椅子に座ってたわ……


「シルフ、強化魔法を頼むんじゃ」

「はいはい。魔力強化入れとくね」


 えぇ!? シルフって魔法使えるの!?

 ケルエタは使ってないから使えないと思ってたわ。

 他人に対して身体強化魔法使ってるしすごいわね……



震天(しんてん)せし空卓(くうたく)(まだら)模様。割乱(かつらん)の隙から伸びる、

 裁き具現の雷帝(らいてい)の槍たちよ。我に従い今こそ、

 その震えたる轟音(ごうおん)を響かせ……帝裁睨天(ラグルファニル)!」



 英級(えいきゅう)雷魔法。

 あたしは初めて見た。すごかった。


 テグトトさんが持つ魔法の杖の先端から、

 電撃が放たれて三体の暴野(ぼうや)の上に集まったの、

 そのあと、一気にそれが爆発して下にいる暴野(ぼうや)たちに降り注いだのよ!


 雷が落ちるみたいな衝撃が連続で何個も……

 でも……暴野(ぼうや)たちはそれを喰らっても、

 倒れることもなくて、意外に大丈夫そうだったの。


 しかも、魔法が終わったあと、

 黒い騎士たちはこっちに向かって走ってきたわ!


「ほほう耐えるか。所詮集団戦特化、

 雑魚狩りと言ったところじゃな。

 ならば……雷日(らいじつ)一千(いっせん)の時 雷十刺(ニルベガ)


 雷十刺(ニルベガ)は下級魔法でしょ……?

 そんなのであの黒い騎士を──


「まず上級程度じゃ釣り合わんな」

「テグ、いつ準俊級(じゅんしゅんきゅう)になんだ?」

「ホォホォッ、敵がおらんのじゃよ」


 嘘……黒い騎士を一体倒しちゃった。

 下級魔法ってそんなに強かった……?


 だって、連打の魔法だし威力もないのに……

 あんな硬そうな鎧を……こんなに差があるの?


「テグ、もう一体の(黒い騎士)はどうする?」

「もちろん″アレ″でやるじゃろ」

「あ〜はいはい。わかった」


 な、なに、次はなにをするの?



雷狂(らいきょう)の悪魔。その身に刻まれし、

 怒り狂う雷撃を顕現せよ。我の熱にて、

 その閉ざされし欲を放て。魔雷(ロラングア)!」



 魔法の杖から次は一直線に一本の電撃が放たれたわ。

 それはすっごく早くて全然目で追えなかった……


 だから気がついた時には、

 もう一体の黒い騎士を倒してたの……


「……弱いのう。シルフどう思う?」

「黒い騎士モチーフの″召喚魔法″じゃない?」

「ほぉ〜あり得るな」


 召喚魔法……? 名前しか知らないわよそれ。

 ダメだわ……全然ついてけない。

 会話にも、魔法にも……これが英級(えいきゅう)


「リルメスちゃん……テグトトさんすごいね」

「えぇ……すごすぎるわ」


 すごいなんてレベルじゃないわよ……

 こんなのなれるのかしら……この強さにあたしは。



「ついにやる気か、(ヌシ)

「テグ、油断すんなよ。多分、英級(えいきゅう)だぞ〜」

「油断したことなんてないわい」


 あんなあっさり黒い騎士を倒して……

 もう(ヌシ)との戦いになっちゃった。


 どうなるんだろう……どんな戦いなんだろう。

 ちょっとこわいけど、見るのがやめられないわ。


 気になる……魔法の戦いが気になる……



「シルフ、魔力強化を頼んだんじゃ」

「こき使うよな〜。はいはい」


 あたしは生まれて初めて目にすることになるわ。

 異常な強さを持つ人同士の戦いを──

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― 新着の感想 ―
初めまして、Xの読み合い企画から来ました。フリィちゃんとリルメスちゃんの絆に感動。視点転換の工夫も秀逸で、混乱することなく読めました。一話一話のテンポもよく、魔法バトルのシーンではドキドキしながら読め…
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