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花道闊歩 -異世界ガイドとして死ぬ運命の少女たちを幸せな老衰エンドへ導きます-  作者: ガリガリワン
第一部 第二章 天才お嬢様編

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第十四話 逆境にて反撃準備


 * *【フリィア視点】* *



 目が覚めたら知らないところだった。

 お馬さんの足音がするし、多分馬車かな……


 リルメスちゃんが私の前で寝てる。


「……?」


 お腹が痛い。なんで私ここにいるんだっけ……

 ……声が聞こえる。誰だろ。


「あれ……」


 手足が縛られてた。動けない……

 それに会話も聞こえてきた。



「上出来だ。これでガッポガッポだな」

「ボルワール家のお嬢様だ。

 人質にして売りゃァ大金ゲット〜

 明日の夜飯は豪勢(ごうせい)にいくしかねェな〜」


 二人……多分二人の声が聞こえた。

 嬉しそうだった。ボルワール家って、

 リルメスちゃんのことかな?


「……んん、あぇ、フリィ……?」

「リルメスちゃん……」


 リルメスちゃんが目を開けた。


「ね、ねぇここどこ?」

「わかんない……」


 リルメスちゃんは目を閉じて、

 上を向いて寝転(ねころ)んじゃった。


「はぁ……(さら)われたわ」

「え、ほんと?」

「でも、あたしたちにはグラバがいるわ!」

「た、たしかに!」


 (さら)われたけど……なんだかあんまり怖くない。

 だって、ケルエタさんとグラバさんがいるもん。


「不自由ね〜。ね、フリィ。

 なんか暇つぶしで遊びましょ」

「い、いま?」

「あたりまえよ! だって暇なんだから!」


 馬車が止まった。


「と、止まった?」

「どっかに着いたの?」


 そしたら布が退けられて、

 おじさん二人がわたしたちを見てた。


 気が付かなかったけど外はもう真っ暗。何時かな……


「あー目覚めてるけど、ま、いいか。

 おめェら怪我したくなかったら大人しくついてこい」


 多分、獣族(じゅうぞく)かな……怖そうな人だった。

 だから、わたしたちは言うことを聞いた。



 手足が縛られてて歩きにくいけど、

 とりあえずそのおじさんについていった。


 そしたら少しして洞窟の中に入って、

 わたしたちは牢屋の中に入れられちゃった。


 この洞窟、わたしたち以外にもいろんな人がいる。


「リルメスちゃん……」

「ちょっと! あたしたちを(さら)ってなんのつもり?

 すぐにあんたたちなんか倒されちゃうわよ!!」


 えぇ、そんな言っちゃダメだよぉ……


「うっせェなァ〜。傷はつけれねェのが嫌だわ。

 ……いや、おい。お前ら見てろよォ」


 そのおじさんはわたしたちと向き合う牢屋の中に入って、中にいるお兄さんを蹴り始めた。


「おらァ! おらァ!!」

「ぇぐっうぅ……ぶぅっぇ……!!」


「や、やめて!!」

「ちょっとやめなさいよ!!」

「お前らが静かにするんだったらやめるぜ?

 どうする? お二人さん」


 そう言われたからわたしたちは静かにした。


「ははは、良い子じゃねェか」


 そのおじさんはわたしたちの前から消えて、

 どっかに行っちゃった。


「あいつサイッテーね」

「うん……ひどいよ」


「フリィ……その、怖くないの?」

「え? うん……助けてくれるから」


 リルメスちゃんはわたしの方に近づいてきて、

 服の(はし)をギュッて掴んできた。


「すごいわねフリィ……あたしは怖いわ。

 もしかしたら……見捨てられちゃいそうで……」


 リルメスちゃんの言葉を聞いて不安になった。

 たしかに見捨てられちゃうかもしれない……


「わ、わたしもやっぱり怖い」

「そ、そうなの? じゃあ、お揃いね……!」


 やっぱり怖くなってきた。

 だ、大丈夫だよね?



 * *【ケルエタ視点】* *



「なんですって……!?」

「グラバさんのいない数分の間でした……」

「な、なにか手がかりとか……マズいマズい」


 グラバさんも焦ってる。

 本来不可能なのだ。屋敷のセキュリティはかなり高くて、必ずどこに行ってもメイドか戦士がいる。


 いくら早くても見つかってるはずなんだ。


「でも安心してくださいグラバさん。

 私が誘拐犯の位置は特定できます」

「位置を……特定?」

「と言っても力技なので、もう行きますね」


 位置の特定。それはただただ追いかけるだけだ。


 こうして話してる間にも馬車は離れていってる。


「私が帰ってきた時、グラバさんはいつでも救出しに行ける準備をしておいてください!」


 話は手短に、俺はその場から離れて馬車を追った。



 一瞬の犯行……死のリスト的に黒文字じゃないってことは、殺害目的の誘拐じゃないはずだ。


 おそらく……″奴隷商人(どれいしょうにん)


 奴隷の価値は見た目が大きく関係する。

 あの二人は美少女だし傷はつけられないはず……


 この赤文字が意味するのは奴隷として買われ、

 その後衰弱(すいじゃく)して死んでいくって意味だろ。


「あれか……」


 馬車が見えた。

 この村自体人の出入りは少ないし、

 時間と距離的にもあの馬車に二人がいる。


 馬車は結構複雑な道を通ってた。

 所々(ところどころ)林が生えてる平原、わざわざ道を外れてそこを通ってる感じ、隠れて移動してる。


 そのせいかめちゃくちゃ速度が遅い。


 俺は浮いて移動する速度は速いから、

 そんな感じで馬車の尾行は意外にあっさり済んだ。



 数時間後──



 夜になってやっと馬車は止まった。

 洞窟……なるほど? そこが拠点か。


 本当ならこのまま助けたいが……

 どう考えたってグラバさんを呼んだ方がいい。


 俺はこっから全速力で屋敷に戻る。

 勝ち筋はできてる……なんなら……″好都合″だ。



【昇級についての知識】


 一ヶ月以内にリルメスを中級にする約束。

 実はもう期日は近くなってきてる。


【剣士は現在の級よりも一つ上の級を持つ、

 兇徒(きょうと)暴野(ぼうや)を討伐することによって認められる

 魔法使いは現在の級に見合った魔法を扱い、

 自身よりも一つ上の級を持つ兇徒(きょうと)暴野(ぼうや)を討伐】


 リルメスは下級魔法をほぼマスターしてる。


 それに中級魔法も二つだが覚えて扱えてるんだ。

 今の等級は準中級(じゅんちゅうきゅう)、中級になるには実戦が必須。


【剣士・魔法使いはどちらも必ず、

 一つ上の級を持つ者に認められる必要がある】


 つまり、ここで一人でも中級のやつをぶっ倒せば、

 俺は一気に目標を達成させることができるんだ。



 * * *



 屋敷に帰ってきたら屋敷の前に馬車が三台。

 鎧を着た戦士が十人くらいでグラバさんが見えた。


「グラバさん!!」


「ケルエタ様っ! どこでしたか!?」


 俺は気が気じゃない青ざめた様子のグラバさんに、

 あの二人がどこに(さら)われたかを伝えた。


「リアバダ領地外の南部! 天星山脈(てんせいさんみゃく)の麓で、

 小さな森の奥に洞窟があってそこが拠点です!」


 地理の知識を入れておいて良かった。

 グラバさんはそれを聞いて頷き、馬車に乗り込む。


 俺もグラバさんの乗った馬車に乗って、

 一緒にあの洞窟へと向かった。


 あの拠点に着くのは真夜中だろう……

 奴隷商人が動き出すのは早朝なはずだ。


 ギリギリっちゃギリギリ、でも余裕はある。



「ケルエタ様……その、場違いな発言ではありますが、

 この機会にお嬢様を──」


「本当に考えることは同じですね……

 もちろんそのつもりですよ」

「……そうですか。おそらく敵の等級は中級ばかり、

 親玉であろう者が少し級が高いくらいでしょう」


 俺の考えをグラバさんも考えてたみたいだ。


 グラバさんの顔は少し不安そうだった。

 そりゃ不安だろう。なんせ戦闘はミスが命取り……


 リルメスが死んだらグラバさんに全責任が乗っかる。


 その上でだ。その上でリルメスを信じている。


 俺の教育、そしてリルメスという子の才能、

 この人は今、全てに身を(ゆだ)ねたんだ。


 こんなの簡単にできることじゃない。

 本当に……強い人だと思う。



 とりあえず、今は移動することしかできない。

 着いてからが本番……緊張感じゃ過去一だな。


 リルメスとフリィアちゃんなら大丈夫だ。

 これは救出劇じゃない……昇級試験。


 グラバさんだっている。

 誰に喧嘩売ったか分からせて、泣かせてやるか。

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