第6話 私の法廷へようこそ……慈悲が腐る場所
このエピソードは途中で終わることなく、最後までしっかり完結しています。
拙い部分もあるかもしれませんが、少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。
ありがとうございます!
そして、月光が消えゆく……
カフカのヴェノムド・コートの激しい混沌へと、まっすぐ切り戻る。
私は黒曜石の浮遊する玉座に腰を下ろし、尾を怠惰に自分の周りに巻きつける。
下には香煉女 、毒の鎖で縛られ、呼吸もままならずにもがいている。
「ウェルカム」と私は静かに言った。その声は水を通して雷のように反響する。
「…トゥ・マイ・コートルーム。ウェア・マーシー・ロッツ。」
彼女は睨みつけ、息を詰まらせる。
「ユア…コートルーム? フー・メイド・ユー・ジャッジ?」
私の微笑みは深まった。
「アイ・ディド。」
影たちがささやく。幽霊のようなアシスタントたちが現れる — 目のない影が霧の巻物を運ぶ。そのうちの一人が頭を下げる。
アシスタント#1(歪んだ、形式的な声):
「サー…シャル・ウィ・プレゼント・ジ・エビデンス・ナウ?」
私は怠惰に一瞥し、一度まばたきする。
「…‘サー’?」
私は頭を傾け、唇にわずかに劇的な微笑みを浮かべる。
「オウ・ノー、ノー、ノー。イン・マイ・コート、ユー・セイ—」
私の目が細まる。
「—‘ユア・オナー』」
影は硬直し、すぐに頭を下げる。
アシスタント#1(訂正して):
「イエス、ユア・オナー…シャル・ウィ・プレゼント・ジ・エビデンス・ナウ?」
私は手を振る — 軽く、楽しげに、優雅に。
「プロシード。」
壁が波打つ。幻影が生命を帯びる — 私の背後で、影が翼のように広がる。
それらは形を変える — ヴィジョンズ。
香煉女の過去の殺人の場面が、幽霊の映画のように空中で再生される。
悲鳴。
犠牲者の閃光。
血が飛び散る。
金属の皿に香水瓶がカチカチと鳴る。
微笑み — 彼女の微笑み — 残酷に凍りつく。
カフカの目が瞬く — 捕食者の輝きが増す。瞳の中の金色の輪が双子の太陽のように渦を巻き、闇を切り裂き、直接コレーンク・オンナを見据える。
彼女は息を詰まらせる。世界が歪み、色が溶け、影が不自然に伸びる。そして — 幻影が始まった。
突然、彼女は別の場所にいた。冷たく無機質な光が金属のストラップに反射し、手首と足首を縛る。彼女は恐怖の実験台の上に横たわっていた。
器具が上空に吊るされ、捕食者のように影が壁を這う。彼女の目が見開かれる。
ここが彼女の実験室だった。生きたまま解剖した場所。床には淡い深紅の染み — 彼女自身の残酷さの残響。
一体の姿が現れた。かつて彼女が切り刻んだ犠牲者、今立ち上がる。瞳は歪み、彼女自身の狂気の不吉な反射を映している。
そして — チェーンソーが唸る。
彼女は叫んだ。血が噴き出す。激しい弧を描き、まるでかつて他者にしたように犠牲者の顔に飛び散る。
喉は乾き、傲慢さの代わりに恐怖が訪れる。自分の叫びの音が反響し、鏡のように増幅され — 歪んだ恐怖の合唱となる。
幻影が再び揺らいだ。
彼女は再び縛られていた。だが今度は、自らの「ブッチャーズ・ディストリクト」——その地獄の中心だった。
彼女の身体はテーブルに縛り付けられ、震えている。
周囲をギャングたちが狼の群れのように取り囲む。
ひとりが彼女の頬を鋭く叩く。笑い声が崩れた壁に反響する。
ナイフが薄暗い光の中できらめく——狙うは臓器。動きは冷酷で、正確だった。
彼女の悲鳴が夜を引き裂き、廃墟の街に木霊する。
その一つ一つが、かつて彼女が他者に与えた苦痛の鏡映し。
そして現れた——犠牲者。
今や「ロータリー・ハンマー」を手にして。
彼女の瞳が大きく見開かれる。原始的な恐怖と不信の入り混じった瞳。
「そんな…ばかな…」
反応するより早く、犠牲者が彼女を平手打ちした。
それは、かつて彼女が他人に与えた暴力の完璧な反映。
衝撃が全身を駆け抜ける。
「ロータリー・ハンマー」が彼女の太腿に押し当てられる。
「オン!」
機械が咆哮した。
彼女の悲鳴が空気を裂く。甲高く、荒れ果て、かつて彼女が拷問した犠牲者たちの声と寸分違わぬ音。
ギャングたちは正確に動く。ガソリンのボトルを手に、彼女がかつて行った所業を繰り返す。ボトルが彼女の口に押し込まれる。
くぐもった悲鳴が途切れ、幻影が霧のように消える——
その光景は、彼女自身の残酷さを完璧に反射した再演だった。
——そして、カット。
再び「ヴェノムド・コート」へ。
私は黒曜石の玉座に座り、尾を怠惰に巻きつけ、滴る光る毒が暗いメトロノームのように時を刻む。
視線は動かず、捕食者の瞳が静かに煮えたぎる。
唇の端に微かな笑み。
世界そのものが私の注視に屈服する。すべての悲鳴、すべての幻影——それらは私の毒に満ちた意志によって奏でられる。
香煉女は震えていた。
現実と幻影が混ざり合い、どちらが本物かわからない。
彼女は私を見上げ、言葉を失い、かつての傲慢さは跡形もない。
理解したのだ——これが私の「裁き」。絶対で、容赦なき正義。
私の声が静寂を切り裂く。劇的に、そしてどこか退屈そうに。
「お前は殺した。刻んだ。痛みの香りを瓶詰めにした。——教えろ。」
私は身を乗り出し、尾が小さく揺れる。
「それで…何か“感じた”か?」
彼女は血を吐く。
「これで…あなたが…違うとでも思ってるの…?」
私はゆっくりと息を吐いた。法廷は震え、空気が揺れる。
「ノー。これが、アイ・ライトだ。」
影のアシスタントたちが再び立ち上がる。
「ユア・オナー…シャル・ウィ・ビギン・ジ・エグゼキューション?」
私は劇的にささやく。
「イエス。しかし、少し派手に。彼女をスウェットさせろ。」
影がねじれ、牙を生やし、幻影が変化する。
毒が彼女に記憶を反転させる——
自らの残酷さが映し出され、犠牲者たちが静かに彼女を取り囲む。
かつて傲慢に振る舞ったすべての動きが、今や鏡のような報復として彼女に返される——顔のない、幽霊の正義。
終わると、彼女は膝をつき、喘ぎ、鎖の中で震えていた。
声がかすれる。
「お前は…後悔する…わたしたち…
…ブッチャーズ・ディストリクトを築いた…」
私は頭を傾ける。
「‘わたしたち’?」
影がさらに締まる。
彼女は最後の言葉を吐き出す。
「地…獄…へ…」
私の目は鮮やかなエメラルドに燃える。
「私は地獄には仕えない」と私は静かに言った。
微笑む。
「私こそそれだ。」
鎖が締まり——彼女は黒い毒に溶け、姿が完全に消える。
法廷は嵐の光に崩れ落ち——毒の雨が街を覆い、触れるすべてを焼き尽くす。
そして、静寂。
ブッチャーズ・ディストリクトはもはや存在しない。
私は煙の中にひとり立つ。尾を怠惰に揺らす。
息を吐く。「チッ。まだ退屈だ。」
尾が跳ね上がり、古い友達のように手にハイファイブする。
三日後。
ニュース放送がすべての画面で叫ぶ。
「速報:ブッチャーズ・ディストリクト——完全消滅。未知の物質確認。地元住民は呼ぶ…ヴェノムド・ジャッジ。」
私はソファにだらりと座り、半分の微笑みが唇に浮かぶ。
トマは猫のように丸くなり、画面を見上げまばたきする。首を傾ける。
「ま…す…た…」と彼女はかわいくささやく。
私は彼女を見下ろし、楽しげに微笑む。
劇的に身をもたせかけ、肘を膝に置き、声を演技じみた悪役調に変える——まるで見えない観客のために演じているかのように。
「覚えておけ、トマ」と私は言う。声は自信に満ち、少し傲慢な響き。
「私たちは…」
間を置き、鋭い笑みに変わる。
「ザ・ペイン・イン・パラダイス。」
一瞬の静寂。
トマはまばたきし、その言葉を処理する——唇がわずかに開き、驚きの表情。
彼女の明るい瞳が輝き、テレビのかすかな光を捉える。首を傾け、そして——小さな笑み。
瞳に小さな煌めき。
「ペイン・イン… パ… パラダイス…」
彼女はかすれた声で繰り返し、小さくかわいく頷く。
「ん。」
カメラは引き、遠景を映す。
煙はまだ立ち上り、街は裁きの下で眠る。
最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます。
感想をいただけると、今後の執筆の力になります。
物語はまだ始まったばかり――次回もぜひお楽しみに。




