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6. 買い物の予約

 商人のおっちゃんドドンゴとの話は続いた。


「でね、次来るときには、あのさ植物の根っこが太って食べられるの、なんていうのかな? 主食みたいな感じで」

「ああ、芋だな」

「そうたぶんそれ、芋が欲しい。芋なら種芋になるでしょ。芽が出れば増やせるし」

「そうだな、細長いのと、まん丸いのがあって町ではそれなりに食べられてる」


 細長いのを暫定サツマイモ、丸いのをジャガイモだと思うことにする。

 異世界だから違うかもしれんが、しょうがない。


「両方欲しいから少しでいいんで買ってきてよ」

「いいぞ」

「父ちゃん、いいよね?」

「ああ、ブランが欲しいっていうならいいんじゃないかな? 俺は農業のことはあんまり詳しくないからな」

「芋があれば、料理の幅も広がるよ。それに麦が不作でも食べていきやすい」

「そりゃ、いいな。なんでもっと早く作らなかったんだろうな。ぜひ、お願いします。ドドンゴさん」

「はいよ」


 こういう感じで今度は芋を手に入れることができそうだ。

 サトイモとかヤマイモかもしれないが、まあないよりはいい。

 どっちも主食級の芋になりえるし。


 種を買うというのもできるけど、キュウリみたいに熟す前に取ってしまうと種が取れないものもある。

 その点、芋は芋さえ手に入れればいい。簡単。


 沢の近くから水菜、クレソン、セロリなんかは自生しているので取ってこれる。

 そういうのも塩揉みした浅漬けにしたり、スープに一緒に入れたりして食べる。


「ああ、あと、鳥、卵をよく産む鳥っていないの?」

「ああ、ニワトリだな。家畜化されてる」

「それを四羽ぐらい欲しいんだけど」

「お、家畜飼うか? 小屋とかいるけど、もしくは土間で一緒に生活するか。その辺に放し飼いにするのはあまりおすすめしないな。モンスターなんかが来て食っちまうかもしれないから」

「小屋、建てるよ。ちょっと大きいやつ」

「お、おう」

「父ちゃん、いいよね?」


 今度は父親のほうを見て、ちょっと()びる。


「おお、いいぞ」

「あのね、卵が食べられるんだよ」

「卵か。昔たまに食べたな。なんだそんな簡単に飼えるのかい?」

「うん、たぶん」

「じゃあ、いいぞ。許可する」

「やった!!」


 俺は喜んでおく。俺はバターと牛乳で作ったオムレツが好きなんだ。どっちもまだないけど、卵の入手はその第一歩だと思う。


「卵なんだけどさ。ドロシーとリズも食べたいって言うと思うんだけど、一人一羽ぶんだとして八羽じゃだめだよね」

「そうだな。まずは四羽、様子を見て増やそうか」

「そうだね」

「それじゃあ雄鶏も一羽飼おう。増やしたほうがいい」


 父親の意見は絶対だ。雌鶏を四羽、雄鶏を一羽買うことになった。


 今すぐに思いつくのはこれぐらいだった。

 とりあえずこれで、イモと卵を手に入れられる。

 蜂蜜はほっといても大丈夫だろう。




 ドドンゴが帰ったらすぐに鶏小屋を作り始めた。

 作り方は適当だ。

 下から一・五メートルぐらいは板を貼る。

 上には隙間を作って明り取りにする。

 あとはまぁ屋根と扉を作る。

 背面は正面と一緒。

 十羽ぐらいは入れる四畳ぐらいの大きさだと思う。


 毎日遊びほうけているけど、今までだって家を建てるところを、ずっと見ながら育ってきた。

 だから家の構造位は俺だってちゃんと知ってる。

 あとは前世の知識的な部分ももちろんある。


 俺とそれからもれなくついてくるドロシーとリズで作った。

 監修はうちの父ちゃん。

 思ったよりちゃんとできた。

 ただベニヤ板とかがないので側面の板も一枚ずつ並べないといけない。


 大きさもそれなりなので、今は俺たちの秘密基地ということになっている。


「おかえりなさい、あなた!」

「あ、ドロシーずるい。おかえりなさい、あなた!」


 リズがドロシーに対抗してくる。

 そして俺が父親役。

 嫁さんが二人いるハーレムもどきになった。

 もちろん、十歳児。おままごとのことだ。


 一応、この世界は、重婚可能らしい。誰がどこでそんな情報仕入れてきたか知らないけど。


「ただいま、ドロシー、リズ」


 ここは異世界、お風呂にするご飯にする、それとも私とか言ってくるはずがない。

 というかお風呂が無い。

 水で絞ったタオルで、体を拭くぐらいだ。


「ご飯にしましょう」


 三人で、お椀を持ってるジェスチャーをする。

 お箸なんてものも無いので、スプーンでスープを飲むジェスチャーだ。

 お椀もスプーンもそして中身も空想上。


 わーい、おままごと、たのしーなー。


 大人の記憶がある俺でも、こういうのもたまには子供に返るみたいで楽しい。



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