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7話 逃避

 警察が来てしまった。もちろん捕まるわけにはいかないし......


 というか、どこから僕の情報が漏れたんだ?


 知っているのはユイしかいないはず。


 少し自分の行動を思い返してみる。


 あ。そういえばユイのビデオカメラを置いていった。それが見つかってしまったのだろうか。消してから置くべきだった。


 今はそんな反省をしてる場合じゃない。えっと、どうしようか、警察と戦って勝てるはずがないし、居留守を決めこむだけじゃいつか捕まる。


 じゃあ、残った選択肢は逃げるの一択。窓から外を覗く。こちら側には警察はいない。ここは2階。まぁ飛び降りられるだろう。


 よし。


 玄関の方で激しくドアを叩く音が聞こえる。


「おとなしく応じないとドアを破壊しますよ」


 警察ってこんなに荒いもんなのか? でも、時間がないことは確かである。


 包丁と、携帯と、モバイルバッテリーと、充電コードと、お金と......


 必要な物をまとめる。もうこの家に戻ってこれるかは分からないが、一応家の鍵も。


 で、一番の問題はユイだ。別に置いていったってかまわないし、そもそもなぜ、助けてあげたのかも分からない。


 ショッピングモールに残しておいても良かったはずだし、今となってはもう殺した動画で脅されることもないし、それどころか僕が殺される可能性が上がるだけだと思う。


 じゃあ、置いて行けよ、僕の理性はそう言う。


 でも、やっぱり置いていけない。すでに他人と言い張れるレベルは超えている。


 そうだ。このままユイが警察に捕まったらいろいろ僕のことをばらされるかもしれない。


 無理に理由をつけないと動けない自分の弱さを感じた。


「ユイ、起きて」


 ユイをゆするが起きない。ユイを背負って飛び降りると流石に危ないしな......


 ドアを激しくたたく音が聞こえる、それと何かしらの機械音。ドアを本当に破壊しそうだ。


 覚悟を決めろ。結衣を生き返らせるためだ、頑張るしかない。


 ユイを背負い、窓から飛び降りる。のは危ないので、窓から乗り出し、でこぼこした壁に足を引っかけ、安全に降りた。


 うまいこと脱出はできたっぽい。


 上の階で、ドアを破壊したのであろう激しい音が聞こえてきた。


 どうやら、本気で僕を捕まえたがっているらしい。


 とても少しだが、いたずらの可能性も期待していた。けれどこれで、僕は完全に日陰者だ。


 少しばかり涙がこぼれる。何でこんなことになってるんだろ。


 そして、悲しみと不安の中、ユイを背負いつつ僕は先に進むことを静かに決意した。

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