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6話 流出

 ユイは友達を殺した。しかし、それだけで満足するようには見えない。まだまだ誰かを殺したそうな......って冷静に分析してる場合じゃない。


 ユイはもう一人の少年の方に血だらけになったナイフを持ったまま走っていく。


「おい、ユ、ユイどうしたのさ!?」


 少年は叫び声をあげながら腰を抜かし、その場に倒れこむ。


 少年を助けよう。そう思った瞬間に僕は結衣の家で拾っていた銃を取り出し、急いで撃つ。ユイ、ごめんよ。君も、僕も同じ人殺しだ。


 想像以上の反動と音で、倒れそうになる。


 銃声の後、静かなショッピングモールにその音が反響する。


 静けさを破る泣き声が聞こえる。ユイのものだ。......ユイのもの!?


 ユイの後ろには少女の死体が、ユイの前には少年の死体がある。とっても嫌な臭いがするが、少年の死体の方に近づく。白い服の一点から、血が流れている。


 両手を合わせ、少年に謝罪の意を示す。その謝罪はきっとどこにも届かないだろうに。


 気づくとユイは眠っている。なぜか周りの人々はこの異常事態に気づくことがない。この場からは離れよう。とその前に、僕はスマホを取り出し、写真を撮っておく。結衣の家での事件とは違って、今回は死体が消えることはない。


 この死体をこのまま置いておくと大事件になるのではないだろうか?


 突然二人の死体が現れたら、メディアも来るはずだ。


 さて、本当にそうか? この事件が下手したら秘密裏に隠蔽されるかもしれない。


 ユイの持っているカメラを借りよう。眠っているユイからカメラを拝借して、死体が両方映る様に物陰にセットしておく。


 よし、今度こそここから離れよう。


 ユイは全く起きる気配がない。仕方ないか。


 僕はユイを背負って、ショッピングモールを出て行った。ユイについた返り血が見えないように、100均のレインコートを買って、着ていった。


 晴れなのにレインコートを着ていたため、すごく目立ったし、夏だからめっちゃ暑かった。


 ぼくは家に着く。とりあえず、ユイをレインコートに包んだまま、ベッドの上に転がしておいた。


 汗をかいたので、僕はシャワーを浴びる。本当はユイもシャワー浴びさせてあげたいけど、少女の服を脱がすのはだめだと思う。


 さっぱりしたので、服を着替えてユイの様子を見る。普通に寝てたら、ただの少女である。ショッピングモールでの時がおかしかっただけなのかな。


 テレビをつけてニュースを確認する。一緒にインターネットを使って、ショッピングモールでの出来事が話題になっていないかを調べる。


 特に何かニュースになっているわけではなさそうだ。卵100円、とか春物大特価くらいしか出てこない。


「速報です。少年が水色の髪の女性を殺害した動画が発見されました。映像を見るに凶器はナイフで、現在、警察が確保に向かっています」


 え......?


 ピンポーン


 インターホンが鳴る。


「警察でーす。今すぐ出てきなさーい」

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