表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/11

11話 山頂にて

 また心中症か。


 死体を見ても、あまりなんとも思わない。それどころか何か手がかりになるのでは、と思っている自分がいることに少し怖くなった。


 やっぱり慣れるものなのかな。できれば慣れたくはなかった。


 心の中で悼みながら、観察しようとすると、カップルがだんだんと消えていく。今回は近くで見ることができる。


 頭の方から順に小さな綿毛のような分子が飛んでいくのが見える。


 なぜかその綿毛は全部この山の頂上に向かっている。


 綿毛を見ているうちにカップルの死体が無くなっていた。


 その場に残ったのは心中に使ったであろう包丁2つと、綺麗な衣服。


 綺麗な衣服......?


 カップルは血だらけだったはずなのに、包丁は銀色に輝いているし、服も、洗濯したてなのかってくらい綺麗だ。


 包丁がまだまだ使えそうなので、日本とも、落ちていた衣服にくるんで持って行く。


 他にはなにか......


 リングケースが落ちている。中を開いてみると、小さなダイヤのはめ込まれた指輪。


 プロポーズをするつもりだったのだろう。それで人気のない山奥に。


 顔を上げてみると、綺麗な夜景が見える。少しの間見入る。


 心中症のせいで、このカップルは......


 全く知らない人たちだけど、せつない気持ちになる。


 指輪とリングケースも持って行こう。


 立ち去る前に、黙祷をささげていく。


 20時。まだ眠るには早いな。山頂に行ってみよう。何か手がかりがありそうだ。


 少し登っていくと、立ち入り禁止の柵と看板。


 こんな何もない山に立ち入り禁止は怪しい。いや、普通に電力施設とかがあるだけかもだけど。


 まぁ、どうせ、警察に追われてる身だし、立ち入り禁止乗り越えたって今更だよな。


 山頂を目指してさらに進む。


 別段何もないまま、山頂を目指す。


 山頂に到着した。


 あれ、こんなところに電波塔なんてあったっけ。


 山頂にはどでかい電波塔が立っている。確かにこの山に興味なんてなかったし、知らなくても仕方ないか。


 時刻は21時前。登るのに一時間くらいかかったな。でも、ただの電波塔があっただけ。


 戻ってさっさと寝よう。電波塔を背にして、下山し始める。


 ......ちょっと待てよ。


 電波塔が立ってるのに、この山なんで圏外なんだろ。


 ちょっと木々で遮られても圏外って程じゃないと思うんだけど。


 振り返るとそこに電波塔がない。


 急いで来た道を戻ると、電波塔が再び見えた。


 すると、突然電波塔が光り始め、僕は意識を失った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ