10話 電波
ユイがいないことに気付き、僕は焦ってユイを探し始める。
「ユイー? どこー?」
やはり返答はない。
誰かに連れ去られてしまったのかもしれない。もしそうだと、ユイの命すら危うい。それに、僕の情報が漏れてしまうかもしれない。
焦りながら、何かしらの手がかりがないか、河川敷を歩き回る。
バサバサバサ
少し強い風が吹くと同時に、紙がはためくような音がした。
音のする方を向くと、石に押さえつけられた紙がある。
紙を手に取ると、紙の右下の方に、ユイ、と書いてある。ユイからの伝言っぽい。
いきなりいなくなってごめんなさい。私がキョウを襲った理由がもう少し分かるようになるまで、少し、一人で情報収集をしてきます。3日後の夜8時にまたこの河川敷に来ます。もし私に失望なりしているなら、来なくてもよいです。もし会えなかった時のために、助けてくれてありがとう、と伝えておきます。
ユイ
このように紙には記されていた。
3日後にここに戻ってこよう。そう決めて、僕も僕で何か情報を探しに行くことにした。
少し陽が落ちてきたな。そういえば、今日はどこで寝ようか。寝ずに行動するという選択肢は存在しない。いざというときに体も頭も万全の状態じゃないと困る。
そうだ、折り畳みテントだ。持ち運びができて、軽くて、ホテルみたいに僕が滞在した記録も残らずに済む。
アウトドア用品店に立ち寄り、一番安いやつを購入する。
ついでに、100均でサングラスとマスクを買っておく。目出し帽も置いてあったけれど、流石に買わなかった。
携帯を見ていると、充電が少ないです、と表示が出た。なんか充電減るの早いな。そういえば、野宿していたら充電できないや。
太陽光で充電できる充電器を買ってきた。できる限り携帯の充電は切らしたくないよな。そう思って、一旦モバイルバッテリーに携帯をつないだ。
今日はどこで野宿しようかな。できる限り人の寄り付かないところにするか、逆に人が沢山いるところにするか、どっちが良いだろう。
でも、その辺の人が急におかしくなる可能性だってある。人目についていたら、情報が洩れる危険性があるし、人目につかないところにしよう。
一番近くにある山に来た。ここは、インターネットがつながらないため、あまり登山用にも使ってもらえない悲しい山だ。ほとんどの人がインターネット依存症なんだな、ってその話を聞いて思った覚えがある。
寝るだけだから、インターネットなんていらないし、ちょうどいいな。
山の奥の方に向かい、いい感じに平坦なところでテントを広げる。
携帯を開いて、時刻を見ると、17:58だ。ただ、今日は疲れたしもう寝ようかな。これだけ早ければ、アラームなしでも早起きできそうだ。もう学校にも行かないのだけれど。
携帯は圏外と出ていた。ほんとに圏外なんだ。
関心していると、18:00が近づいてきた。なぜか、ここ最近、3時間ごとに電波が途切れるという不具合が起きていることを思い出したが、そもそも圏外である。
18:00になる。
携帯が突然ブラックアウトした。
mkopl.ajnzb.hux.vgyst.wrfc.edq.sds
というよく分からない文字列が表示されて、急いでスクリーンショットを取った。
その後、すぐに近くで足音が二人分聞こえた。
一応どんなやつなのかを警戒がてら見に行く。
見に行った先では、一組のカップルが血だらけの状態で死んでいた。




