自分と同じ目を持つ少年。
「わ、わかった……出ていけばいいのね」
そう言うと、少年は小さく頷いた。
「わかったわ……あんたを殺したらね!」
大男は足首から赤く光る小さなナイフを手に取り、そのまま少年の顔目掛けて投げつけた。
少年はそのままもんどり打って後ろに倒れた。
「あははははは、やったわ、そのナイフは毒が仕込んであるのよ、かすり傷でも痺れて動けなくなるのよほおおお」
切り落とされた手を庇いながら、ゆっくりと立ち上がる大男はそのまま倒れ込む少年の元へ。
「ガキは好みじゃないけど、指の敵に」
少年の足を掴もうとする大男
『プチ』
「え?」
その瞬間少年は大男の足目掛けナイフを突き刺す。
「あ、あああああああああああ!」
自ら放ったナイフで足を刺され、その場に倒れ込みビクビクと身体を痙攣させる。
再びユラリと立ち上がった少年は、そのナイフを持って残りの二人に近寄る。
「ま、まって、出ていく、ここから出ていくから、待ってくれ」
手を押さえつつ二人のおっさん達はそう懇願するも、少年ナイフを振り上げた。
「ああああ、うわあああああああ!」
手を上げ完全に降伏の姿勢を取る二人、少年は痙攣している大男を指差す。
そしてそのまま再び俺が逃げて来た道の方向を指差した。
「わわわ、わかった、わかりました!」
慌てふためきながら二人のおっさんは大男を担ぎ上げると、よろよろと逃げ出す様に歩いて行った。
「た、助かった……」
俺はそう呟いて、少年にお礼を言うべく身体を起こそうとしたその時、少年は俺を睨みそしてゆっくりと俺に刃を向けた。
「い、いや、俺は、違う、な、何もしない」
両手を上げて降伏の意を示すも、少年は身じろぎもせず短刀を僕に向け続ける。
少年からなら、子供からなら逃げられるか? そう思ったがでも僕は直ぐにそれを否定した。
あの残像が残る程のスピードに、なんの能力も無い俺が逃げ切れるわけがない。
少年はゆっくりと短刀の刃先を僕に向けたまま近付いて来る。
パーカーから顔が見える、目が僕を射ぬく。
その目に、僕を見つめる少年の瞳に、僕は見覚えがあった。
全てを諦めたような、感情の無い、憎しみも悲しみも何もない無機質な瞳、全てを諦めたような感情の全く感じられない瞳が僕を見つめる。
「俺の瞳……」
それはまるで俺のおれ自身の目だった……。
俺はその瞳に釘付けになっていた。
でも、このままだと、俺は間違いなく殺される。
だけど……その瞳を見ていると思わず命を差し出したくなる感情が芽生えて来る。
自分自身に殺される……ならって。
少年は感情の無い目で俺を……俺を……俺の……俺のカバンを見つめている。
興味津々の目で俺のカバンを……見つめていた……。
作者もすでに諦めかけている……(´・ω・`)ヤメヨカカナ