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戦闘開始


「舐めんな!」

 似非関西弁の男はマントの様に前後半分に割れる服を翻し、両腕を交差させ腰からレイピアを手に取り、向かってくる少年から身構え……その瞬間少年の身体が消えた。


「な!」


「上よ!」

 大男がそう言うと俺を含めた全員が上を見上げると、そこのは空高く舞い上がり、二本の剣を持った少年が似非関西弁男に向かって落下する。

 

「うははははは、貰った」


 少年は自由落下状態、一直線に似非関西弁男に向かって落ちている。

 駄目だ、それじゃ飛んで火に入る夏の虫状態だ。

 少年の剣とレイピアでは長さが違う、刺し違えるにしてもレイピアの方が早い。

 

 落ちてくる少年に狙いを定め待ち受ける禿げ親父。

 しかし少年はまるで猫が空中で体位を入れ換える様に身体を捻り、禿げ親父が突き出すレイピアから螺旋を描く様に避けそのまま地面に着地した。


「あが?」

 禿げ親父の手から突き出したレイピアが地に落ちた……親父の指と一緒に……。


「うぎゃああああああああ」

 叫び声を上げる禿げ親父に目をくれる事なく少年は低い姿勢で今度は中年痩身男に駆け寄る。


「な、早い!」

 男はボウガンを背中から取り出すも、既に少年は目の前。

 とりあえず狙いも定めずに、身体の一番大きい部分に向けた矢を放った。


 矢は一直線に胴体のど真ん中に、しかしその矢は身体を貫く事なく後方の木に刺さった。

 

「ざ、残像!」

 少年は走るスピードを落とす事なく身体を更に低い姿勢にしていた。

 地を這うように突進していく少年、まるで対艦ミサイルが水平線から波の切っ先を掻き分ける様にしながら襲って来るかの様に……。


「が……?」

 今度はボウガンが地面に落ちた……さっき同じく指と一緒に……。

 あっという間に二人を戦闘不能にした少年、今度はゆったりとしながら、まるで幽霊の様に体重を感じさせない足取りで大男に近付く。


「はん、私とやるっての?」

 大男は下からの攻撃を用心する様に、剣先を地面スレスレまで落とし、下段の構えを取った。

 少年はゆったりと、体重を感じさせない足取りで、間合いを詰める。

 ゆらゆらと揺れるように数歩足を踏み出し、そして再び大男目掛けて走り出す。

 しかし、今度は先ほどと違い一直線では無かった。


「な!」

 少年の身体は地面と平行して走っていた。

 木と木の間を、まるで水面に浮いている丸太の上を飛びながら走る様に。


 突然間合いを詰められ、しかも相手の足元を狙う下段の構えで待っていた大男は慌てて剣先を上げ正面から突進してくる少年に向けた。

 しかし少年はそのまま大剣の刃の上を走りそして……。


「があああああ!」


 大剣が地面にガランガランと音を立て落ちた。

 大男の指と共に。


「くそ、くそがああああ」

 大男は手を押さえてその場に座り込む、そのまま顔を上げるとそこには少年が……大男座り込む事によって顔が丁度同じ高さになる。


「……」

 少年は終始無言で大男を睨む。


「た、助けて頂戴」

 そう懇願する大男に少年はクイっと俺が走って来た方向に顎を動かした。



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