6話 それぞれが交差し始めていく
だいぶ遅れました…
待っていた方すみませんでした!
今更どうすることも出来ないので、アイスのスプーンだけ店員さんから貰った。
元いた席に戻ろうとすると、玲歌が誰か2人と話しているのが見えた。
背丈や格好を見るに男2人のようだ。
(高校の友達なのかな?)
そう思いながら近づいてみると、玲歌があからさまに嫌がっている表情だったのが見えてきた。
凛が人とぶつかっても危なくない程度に、急いで玲歌のところへ向かっていくと、安心したような顔で凛の方へ視線を向けた。
「えっと、どちらさまですか?」
凛が男たちの方へ話しかけた。
「うるせえ、黙れ。つーかテメェは誰だよ」
「え、えーと僕は彼女の友…」
「彼氏です」
「へ?」 「えっ?」 「はい?」
玲歌が凛の言葉を遮るように言った一言で、セリフは少し異なるがそれぞれが驚き、少しの間男全員の動きが止まった。
「とりあえずアイス食べちゃおう?溶けちゃうし」
空いている方の席に座って、玲歌にもう一つのスプーンを渡して、2人はそれぞれのアイスを食べ始めた。
男2人は、しばらくその光景をみてポカーンとした顔で見ていたのだが、我に返った。
「え、マジで?」
「はい、そうですけど?貴方達、ものすごく邪魔なのでどっか行っててもらってもいいですか?」
玲歌がそう促していったが、男2人は諦めずにまた話しかけてきた。
「こんなのよりも絶対に俺らと一緒にいるのがいいって!」
「そうだよ!なっ、一緒に遊ぼうぜ!」
「こんなのって今言いました?」
席から立ちながら、玲歌は言った。
玲歌には、長らく彼女を見てきた凛も見たことない表情、怒りの顔が現れていた。
「彼氏が目の前にいるって言ってんのにも関わらず、ナンパをし続けているっていうのもどうかと思っているんですが、それよりも私が愛している人に対して、こんなの呼ばわりする人と遊びに行くなんて思いますか?そんなことも理解できない頭なんですか?」
「え、あの…」
「玲歌、落ち着いて」
2人組がたじろぎ、凛が怒りを抑えるように促しても、玲歌は止まらなかった。
「こんなの呼ばわりしてますけどね?貴方達はなぜ彼をそんな風に呼んだんですか?貴方達は彼に対して優っている部分というのは、あるんですか?」
「か、顔とか?」
はぁ、とため息をつく玲歌。
そこで顔としか言えないってところで、私個人の感覚として嘆かわしいのですが、と前置きしてこう言った。
「貴方達、自分の顔を鏡で見たことありますか?確実に彼の方がカッコイイですよ」
「「…」」
「せっかく今日は、久しぶりに2人でデートできるってことだから楽しんでいたのに、こんなので台無しになったじゃないですか。とりあえず目障りなので、とっととどっか行っててくれませんか?後、二度と私達に関わらないでください。」
そう言われた男達は急いで回れ右をして、この席から離れて行った。
男達が完全にいなくなったのを確認して、視線を戻すとそこには、ぐったりとしていた玲歌がいた。
「はぁー…疲れました」
「お疲れ様。ごめんね、年上なのに何も出来なくて」
「凛さんは謝らなくていいですよ。私的にも演技の練習にもなりましたし」
「そうなんだ…あっ、玲歌の食器片付けておくね?後僕の分のアイスも食べちゃっていいから」
だいぶ疲れただろうと思い、残りのアイスをあげるついでに片付けておこうとして、食器を運んでいたのだが、
「ダメじゃん…それでさっき玲歌ナンパされてたじゃん」
学習していない人間がここにいた。
(勝手に凛さんのこと彼氏って呼んじゃったけど、良かったのかな?…まぁいいか。どうせ私が言った理由凛さんもわかってくれるだろうし)
玲歌は1人考えていた。
(なんとか誤魔化したけど、つい頭に血が上っちゃって、素で思ってたこと言っちゃったしなぁ…まぁ今更どうあがいても、あの発言がなくなるわけでもないですし、ほっとくのが一番ですね)
まだ少ししか食べていないアイスをスプーンですくって食べた。頬を少し赤らめて食べたそのアイスはほんのりとバニラの味もした。
(昔から知っていたことですけど、やっぱり優しい人なんですね。そういや、なんでこんなにもいい人なのに彼女とかいないんですかね?帰ったら兄さんに聞いてみよ)
アイスカップの中にある二種のアイスは溶け始めており、境目では溶けたアイス同士が混ざり合って新たな味が生まれようとしていた。
「いや、まさかこんなとこで出会うとはね。色々と予想外だったよ」
マスクをつけていたその女は小声で呟いていた。
(本当はあのナンパ組2人にも、詳しい話を聞きたかったけど、ナンパそのままされる可能性もあるし、話してる間に見失う危険もあったからね。はぁ、もう1人くらい連れてくればよかった…)
視線の先にいた2人が立ち上がったところで、手に持っていた残り少ないシェイクを飲み干し、立ち上がった。
その彼女の体型は、モデルでもしているような体型だった。
彼女が開いているメッセージアプリには、一枚の写真が最後に送信されていた。
後にこの一枚の写真がきっかけで2人、いや3人の今後に大きな変化をもたらすということを、この時は全然知らなかった。
いったいあの女の正体は???
@Ametosamusa1217
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