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3話 皮を被っている同士の会話

ストックがほぼないです。

助けてください。

 凛は今、動揺している。


 なぜなら目の前に、自らの推しと思われる人物がいるからである。


 確かに橘と立花、名字は違うが読みは同じであるし、声も顔も瓜二つなので、同一人物だと思っている。


「兄さん、こんな美味しいの毎回食べてるの?」


「まぁな。こやつ出来る男だし、一家に1人欲しい存在だな」 


「兄さんも見習ってよ」


 美男美女の会話に割って入る勇気も無く、話が振られることもなかったので、黙々と凛はスプーンを動かし続けていた。



 食後しばらくすると、隼人がお風呂に入る為に脱衣所へ向かった。


(聞くなら、隼人がいなくなった今がチャンスだな)


 そう思った凛は、


「失礼ですけど、玲歌さんってアイドルですか?」


 すると、玲歌は驚いた表情で


「なんで分かったんですか?!」


 と言った。どうやら当たりだったようだ。


 驚いた表情のまま固まっている玲歌に凛がファンであることを話すと、 


「もしかして…このツイートした方ですか?」


 そう言って見せられた玲歌のスマホには、『fa2en anje1』のメンバーを二等身キャラで描いた絵が写っていた。


 確かに凛がこれを描いたし、それがファンから好評でメンバーの1人のアイコンになったりしているが…


「そうだけど…なんで分かったの?」


「昔からレイのこと応援している高校生くらいの子が描いたんだってと、メンバーから聞いたんです」


 確かに、凛は結成時くらいの時からずっと応援していたから知られていてもおかしくはない。


「ちなみにこのことは兄に話しましたか?」


「そもそもアイドル関係のこと一切あいつと話してないから」


「出来れば兄にこのことバラしたくないので、お願いします…」


 了解と凛が言ったところで、隼人から「風呂空いたぞー」と声をかけられた。



(あの長めの黒髪に、あの賢さ瞳、女子にしては比較的高めの身長、やっぱり本物なのか)


 ジャーとシャワーを出しながら、髪を濡らしていた凛はさっきの出来事を、いまだ現実として理解しきれていなかった。


(もし本当だとすると、しばらくは隼人の家に行かない方が良いのか?レイレイは界隈の中で有名な方だし…でもそれだと隼人に怪しまれるからなぁ)


 泡を落とし湯船にチャポンと浸かっていく。


(そもそもなんで俺の質問に正直に答えたんだ?分かってもらってる人が近くにいると、なにかと応用が効きやすいのは確かだが…まぁ知らなくてもいいことだろう)


 そうして凛は、考えることを放棄し、ゆったりと湯船の中でくつろいでいった。




 風呂から上がると、二人がテレビのバラエティー番組を見ていた。


 凛がボトルコーヒーをコップに注いでリビングへ行くと、入れ替わりで玲歌が脱衣所へ入って行った。


「妹さんとは、いつもあんな仲がいいのか?」


 みていたバラエティー番組がCMに入ったのを見計らって、隼人に凛は話しかけた。


「そうだな、いつもあんな感じだ」


「そういや妹さん大学、家よりこっちのほうが近いんだっけ?どこの大学なん?」


「同じところだぞ」


「え!?」


 二つの意味で凛は驚いた。


 一つは、自分の推しが大学で後輩になること。そしてもう一つは、ついさっき兄にバレたくないと言っておきながら、兄と同じ大学に通うことである。まだテレビのゴールデンタイムとかには出ないグループだが、大学内でレイレイのことを知っているのは、十数人はいたはず。実際、同じサークルメンバーでも3人はいた。


 このままだと隼人のところまで、情報がいくのは時間の問題であろう。


(まぁ、彼女のことだし何かしらの対策は立ててんだろうな)


「どうした急に驚いて?」


「いや、お前の妹さんが後輩になるのかと思っただけ」


 一応、凛のこの回答は間違ってはいないのだが、隼人にとって腑に落ちなかったらしく、疑いの目は向けられていたのだが、追求はしてこなかった。



 見ていた番組の放送時間が終わり、最近の漫画やアニメなどの話をしながら、次のトーク番組を見ていたら玲歌が脱衣所から戻ってきた。


 風呂上がりの玲歌は、アイドルやさっきの姿とは異なる魅力があった。


(だめだ、この姿の推しは直視できない…)


 考えを逸らすように、凛はスマホの電源を入れて、『chirp』を開くがアニメ用アカウントに何人かフォローされていたこと以外変わった様子はなかった。


 次に『wire』を開いてみた。基本的にwireに関してはサークルと応援会、そして隼人のトークの通知だけはONにしている。アプリの機能によってその3つは固定にしてあるため、その下はほとんど見ていない。


 がその3つの下に今まで見たことがないアカウント、『RE1KA』があった。


 薄々誰かは気づいてはいたものの、確認のために開いてみてみると、そこには


「兄さんから教えてもらいました」


「よろしくお願いします」


 と来ていた。


 とりあえず凛は「こちらこそ」と返しておき、通知ON+固定にした。


@Ametosamusa1217

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