中学受験②
正直、夏休みに高校受験に備えて勉学に励む中学生の中、一人自習室で自習に励んだ一ヶ月間を終えてから、実際に合格発表の日まで記憶がほとんどない。
願書の提出などはすべて親がやった。
今考えるとそもそも中学受験の必要性があるのかが甚だ疑問。中学までは義務教育だ。家から最も近い公立の中学に入れば、受験などなかったのではないだろうか、と思う。
ともかく、当時の私は恐らく素直に入塾以降は受験勉強に勤しんだのだろう。
受験できる公立中学が二校。そして、AとBが落ちた私立中学。AとBが通った私立中学。Cが通った私立中学。
計五校を受験する事になった。
何故お金がないのに、わざわざ行きもしないであろう学校まで受験するのか、当時から疑問はあったものの、母曰く記念受験だったり、AとBがお世話になったり、Cがお世話になったりの感情かららしい。
母の命は絶対。逆らうわけもなく、素直に五校とも受験した。Cが通った私立中学は、同じ敷地内の小学校に通っていたこともあり見覚えもあるものだった。しかし、それ以外の四校は初めて行った。
慣れない場所、慣れない作業、周りからヒシヒシと感じる緊張感に都度疲弊しつつも無事に終わった。
五校の受験が終わるまで、塾通いが終わることもなく、中には同じ学校を受験している人もいるせいか各々の距離感も微妙に変わってきた。
受験よりも、受験による生み出される妙な空気が嫌だったような気がする。
正直、私の成績は振るわず、十二月、受験前の最後に受けた模試でも全てD判定かE判定。受かる見込みは低かったりなかったり。そんな感じの受験は、最早作業でしかない。
自宅に届く合否通知を、私より先に確認する父母。
そこまで期待するものでもないのだが、予想を反して五校とも合格。
普通に考えれば公立中学の何方かに行くと思う。というか、合格が分かってから私は、素直にどちらに通うのだろう、家から近い方がいいかな、としか考えていなかった。
私は、AとBが落ちた私立中学へ入学した。