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オンライン帰省

このご時世、長い休みの一つでもあるゴールデンウィークは旅行がかなり制限されていた。いや、旅行どころか地元の街をうろつくことさえも憚られた。

そこでオンライン帰省なるものを行うことにした。


元よりわたしは、親に会いたくはないが別に姉、兄のことは特別嫌っているわけではなく、会いたいというわけでもないが、喋る分には特になにも問題はない。


というわけで、Aからオンライン帰省をしないかと持ちかけられた。

BとCも会いたがっているとのことらしい。

そこで私は、父と母が家にいないタイミングであれば可能といった。

中々ゴールデンウィークの期間中に、タイミングよく二人だけが家にいないこともなく、これは無理難題だっただろうかと家でのんびりとしていた。


「今大丈夫?」


不意にかかってきた電話に、了承の意を唱えるとそのままテレビ通話に切り替えられる。


「久しぶり」

「久しぶり、今二人ともいないから‥でも今Bは風呂に入っているからCからね」


そういって久しぶりに見るBとCの姿を交互に見させられた。

かといって、互いに何かを話すわけでもない私達は本当にとりとめもない話をして、最後は猫と犬を見せてもらって電話を切った。

多分十分も話してなかったと思う。


そもそも二人がいつ帰ってくるかもわからない、今しかない!という状態の中でAの独断決行だったこともあり、A以外はオンライン帰省をするとさえも思っていなかった。

そして、BとCは私が今どこに住んでいるのかさえ知らない。

一度、ラインで問われたこともあるが、万が一父と母に知られることになったら会社辞めるから教えたくないといったら素直に引き下がってくれた。仮にも兄である相手に対し、失礼かとも思ったのだが意外にもあっさり「確かに」と引き下がられた。


存外、自分よりも年上な彼らもまた、父と母に対して言いようのない不信感があったのだと分かるきっかけともなった。


そして、最もそれを顕著に感じた事案としては、オンライン帰省をした旨を誰一人、父と母に言わなかった。

母のペットともいえるCでさえもいわなかったのだから、相当私が父母を嫌がっていることは伝わっているようだと安堵した。




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