母のペット
母のペットは我が兄、Cだ。
もちろん、これは母が公認しているわけでもなければ、恐らくCも薄々感づいてはいるかもしれないが一応はいっていない。純粋に、個人的解釈に基づくものである。
なぜかと言われると、元々はピエロやケアテイカーとして過ごしてきたCだが、最早母と父に褒められることのみが生きがいとなっているのだ。
以前、Cの転職活動でも述べているのだが、実際にCだけは未だに母に褒められたいがために行動している部分がある。アラサーとなった今でさえも。
今回は少し短くなってしまう代わりに二つエピソードをお伝えしよう。
一つ目は、私が帰省した時のことだ。
といっても学生時代ではなく、既に私が社会人となった時のこと。人間の家族ではなく、動物の家族に会いたくて帰省したのだが、私が職場のある都道府県に戻る日の昼食をBが奢ることになった。
すると、AとCもなぜかいくことになったのだ。
なんでも、帰省するといった日に母から聞かれた
「何食べたい?」
に、腹立った私は絶対に外食させようと思い
「ピザ」
と答えたのだ。案の定、帰った私の前に用意されたものは、ピザでもなんでもない、普段母が作る訳のわからない料理だった。
申し訳なく思ったのか何なのか分からないが、Bに奢るように頼んだらしい。
別に奢られたい訳でもなく、ただただ叶えるつもりも全くない癖に親の面をして聞いてきたことに腹が立ったが故の回答だった。それが、まさかBに奢らせる形で叶えようとしてくるとは流石に予想がつかず、申し訳なくなった。
明日、AとCもいく、と言われた日にAとCと三人で話した。
「Bにおごってもらうつもりなの?」
「私は別に払うけど」
「僕は…」
Cが口ごもる。Aと異なり、まともに働いた経験のないCは大してお金がなく、コンビニのちょっとした買い物程度なら可能だが、外食となると気が乗らない。かといって、母の大事な大事なCだけ仲間外れにすれば、帰省を終えた私は関係なくともAとBが面倒なことになるだろうことはわかる。




