閑8話
シルバウム公国 回想と緊急会議議事録より
通信兵の幕舎にカラスのゴーレムが舞い降りた。
長距離移動により羽も抜け、魔力枯渇寸前に目的を達したのか、その場で土塊と羽の残骸に戻ってしまった。
その土塊の中に、一枚の革用紙の巻物が埋もれており、通信兵は急ぎ上司の通信兵長へと書簡を届ける。
通信兵長は書簡の封を切らず軍務長官へと渡す。
「 この封はシュバルツ潜伏中の特別部隊からの通信か・・・たしかアンドロメダ王女お抱えの部隊のはずだが・・・何事だ。 」
革用紙の封を切り、軍務長官は思わず呻いた。
「 ・・・ラインハルト王子暗殺の任務中特別中隊壊滅・・・ 」
よほど急いで書いたのか文字は荒れ、辛うじて読める程度のメモ。
もっと詳しく書く時間もなかったと見受けられる。
これから軍務会議だ、中隊が無事であるなら続報が会議までに届くはずだ。
軍務規定では、緊急時15分から30分毎に通信を飛ばすことに成っている。
「 通信は鷹か?カラスか? 」
「 はっ!カラスです 」
緊急・夜間・隠密・秘匿の符牒を持つカラスが使われている。
夜間の隠密作戦中に中隊が壊滅状態に成ったということだ。
イライラとしながら 15分 30分と待つが 次の書簡は届かない。
「 ・・・全滅か・・・特殊部隊の中隊がシュバルツ王家の暗部に壊滅されるはずがないはずだ。 」
信じられないと頭を抱え軍務会議の時間となった。
・・・・
「 定例軍務会議を開催します。 」
進行役の騎士が声を張る。
「 まずは、近隣の「 その前に緊急議題を要したい! 」・・・ 」
軍務長官が、騎士の言葉を遮る。
「 シュバルツ潜伏中の特別部隊の中隊が壊滅した。たぶん全滅だろう・・・ 」
会場が騒めく。
「 中隊規模だと200名超しかも特別部隊といえば一騎当千の精鋭部隊・・・それが全滅ですか? 」
「 ・・・・うむ、カラスを使った連絡を最後に通信途絶、儂は全滅と見て居る。 」
損度は会場は、水を打ったように静寂に包まれた。
「 一つ宜しいでしょうかでしょうか? 」
「 ・・・うむ、忌憚なく述べよ。 」
「 はっ! 次報を飛ばす前の15分までに 後方部隊が制圧された・・・かなり大規模な3個中隊程度でも、余程の突破力がなければ短時間で制圧は無理でしょう。 」
「 うむ、儂もそれを考えた。 シュバルツの兵士の士気は低く3中隊を準備するには相応の時間を有する。 シルバウム特殊部隊ならば中隊クラスでも4~5時間で作戦行動に移行できる。それを察知し殲滅した部隊とと考えると、数時間で準備を整え中隊を撃破する戦力は数個分隊程の超精鋭部隊、可能性で考えるならばシュバルツ王家暗部で有ろう。・・・・占有させていたスパイからの連絡が途絶して2週間。その間に戦力が飛躍的に向上する何かがあった・・・ということだ。 」
「 威力偵察を出しますか? 」
「 いや・・・それはまだ早い、まずは商人を使い商法収集、通商圧力で疲弊させそれからアンドロメダ王女の救出・・・その後威力偵察が良かろう・・・ 」
「 ・・・それでは全面戦争を念頭しての作戦行動になるのではないですか? 」
「 ・・・うむ、シュバルツは既に貴族の大半を垂らしこみ傀儡国家同然であったが、ここにきて事態が変わったようだ。 」
「 事態が変わったと言いますと? 」
「 商法収集の速さと迅速な対応、少数規模の精鋭部隊で中隊規模を短時に制圧する実力のスパイマスターが現れたという事だ。・・・・そのスパイマスターの正体を探るべく2個中隊規模の暗部を投入しようかと思う、どうだろうか? 」
腕を組み考える者・深く頷く者様々・・・
「 この事は書面に纏め、優先順位最上で王に知らせろ。 」
「 はっ! 」
通信兵長が立ち上がり、議事係に報告書を書かせ会議室を出る。
・・・・なんとも嫌な予感がする、虎の尾でも踏んだか・・・・
軍務長官のスキル【野生の感】が警鐘を鳴らす。
一才にも満たないラインハルトの脅威はたかが3個中隊、約600名程度と見積もられたのだった。




