39話
ソレイユとラインハルトは同じベットで微睡んでいた。
深夜、日図家変更線を超えた2時頃、ソレイユの耳がぴくぴくと動き、子声で告げる。
「 ハルト様 例の者共が動き出したようです。 」
布団の中の衣服はお出掛け着、いつでも飛び起きて推移を見守れるようにするためだ。
「 ソレイユ 行くぞ! 」
「 はっ! 」
窓を開けて空へ飛び立つ。
月夜で結構明るく、無風、完全な凪だ。
虫や獣、夜鷹の声が森から聞こえてくる。
「 100・・・200・・・233位か? 」
遠視と暗視を使い敵の総数を把握する。
10名一組で10隊の黒装束の一団が森から飛び出し空堀へ飛び込んだ。
・・・バタバタ・・・
一酸化炭素が効いたようだ。 頭覆冴えてよろめくと次々と倒れだし、先発隊の100名が無力化された。
「 5分から10分で助け出さないと命はないな・・・救出部隊は・・・行った! 」
直観の優れた物は空堀には入らない。 5隊の救出部隊の殆どが空堀に飛び込み二次被害にあう。
後方支援の舞台からカラスのような鳥が放たれた。
本体への連絡だろう。
残りの人数も100名を切った、50%の損害率・壊滅といっていい。しかも何もせずにだ。
空堀を通らない進入路は正面突破、ゴリ押しである。
もともと重歩兵でもない暗殺部隊がとる方法ではない。
しかし、よほどの自信があるのか正面突破を試みる様だ。
『 聞こえるか? 』
『 ・・・はっ!・・・ 』
『 後方部隊を無力化する人員は捕獲 武器は鹵獲せよ。3対1になる様にし、こちらの消耗を出すな! 』
『 ・・・はっ!・・・ 』
指示を飛ばし、気配遮断 影隠れを使い、後方の5名の口元の空気を二酸化炭素飲みにする。
敵は一分もせずに失神。サイレントの魔法を使い消音。
後は暗部が影の中に引きずり込み搬送。
それを10回ほど繰り返せば流石に、敵も気が付く。
すでに損耗率75% 後方部隊は治療や通信をつかさどっていた様で、一気に部隊が混乱する。
正面の跳ね橋前、低い茂みに伏せて隠れる黒装束、10名ほどの決死隊が突撃命令を待つが一向に指示が来ない。死兵となってもラインハルトの首を狙う手筈の様だ。
林の中では30数名の黒装束が得物を抜き、周囲を警戒する。
しかしやることは同じ。
死角に立つ者から口元を二酸化炭素で覆い失神させてゆく。
一人、また一人と倒れ、残りの人数が5名になった頃、漸く撤収のサインの笛を取り出し息を吹き込む。 ・・・しかし音が出ない。 サイレントの魔法が一帯を包みこみ内側の音は外に漏らさない。
黒装束達は森が怪しく包み込み牙を剥いたように感じたようだ。黒マスクが湿る程汗を掻いている。
敵の全身から、焦りが伺える。
ネタがバレなければまだ使える窒息作成。残りの5名どうも幹部っぽいが全てを無力化。
暗部に運ばせる。
『 自決はさせるな 』
『 ・・・はっ・・・』
『 空堀は風が吹けば大丈夫だ、風を合図に装備を鹵獲しろ 』
『 ・・・はっ・・・』
残りは実行部隊の決死隊にもまだネタバレしてない窒息攻撃を食らわせる。
一人また一人と意識を失い、5分も掛からず決死隊は無力化。
・・・・魔法って凄いと感じるラインハルト。それをキラキラした目で見るソレイユ。
決死隊を搬送させた後大気操作を解除。強制的に凪にされた空間へ、一気に気圧の差が生まれ突風が吹きすさむ。
これで空堀の一酸化炭素も霧散、暗部の者が総出で鹵獲に当たっている。
残念ながら身分や出自を示すものは持っていないだろう、しかし武器は使える。
王家の暗部の装備の足しにでもなればいいが、人数の規模・装備の充実度から言って、敵の方が上手の様だ。
「 ソレイユ これで枕を高くして眠れそうだ。 」
「 はい! 」
二人で空中に舞い上がり、部屋の窓から室内へ、そして寝巻に着替えて床に就くまでさ程かからなかった
・・・・今日は長い一日だった・・・・おっと!異空間収納 塩生成! どばばばばばば
この塩で一儲けできるぞと考えつつ 魔力欠乏で撃沈するラインハルトだった。




