36話
第4側妃の醜態もあったがその後つつがなくお披露目会は進行し、王に抱かれたラインハルトは、公爵・侯爵・辺境伯・・・と、家格の高いものから挨拶を受け、その孫やひ孫を紹介される。
正直言い迷惑である。中身は既に老齢している人格に子供の世話などでさせるなと叫びたい気持ちをグッと堪え、愛想よく 「 あぃ! 」「 はぃ! 」と幼児っぽく返事を繰り返す。
傍目から見るそのしぐさは、只愛くるしい男児以外の何物でもない。
そんな、挨拶をしながらも暗部からの伝言がリアルタイムで耳元で聞こえる。
まるで感触無しのワイアレスイアポンを付けているような妙な感覚である。
『 末席の殿下など取るに足りぬ眉唾者、たわいもなく葬れると仰ったのは執事長あなたでしょ!!
しかも得体のしれない者迄引き入れ私を王妃の代役とたてたのも貴方、それが如何?!私の所迄もう追跡の手が伸びてますのよ?!』
『 まぁまぁ落ち着きましょう。(王妃へたどる)証拠はどこにもありません。どこに人の耳が有るかも判りませんので、祝典の見える北の塔へまいりましょう。 そこで今後の身の振りも含めご説明します。 』
『 私の王子と王女は大丈夫なのでしょうね!? 』
『 それはもちろん(命だけは)何事もないでしょう。王妃からもご約束頂いております。 』
『 本当でしょうね・・・』
階段を上る足音が延々と続く・・・
『 はぁ はぁ・・ 風が気持ちいいわね・・・』
北の塔からの展望は美しく、王都の果て永遠と広がる畑、眼下には先ほどまでいた祝典会場が見える。
『 では、説明でしたね・・・・全ての罪はあなたが背負い消えてください。 』
暗がりから、死刑執行人のような暗幕を被った男が3名湧き出し、第四側妃を抱えあげ窓から放り投げた。
『 ・・・・な! いや やめなさい いやぁぁぁぁぁ!! ぎゃああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁあぁぁっぁあぁっぁ』
ラインハルトは其の叫び声に振り返る。
周りの貴族もその視線を追う。
空中を舞うドレス。
絹を切り裂くような悲鳴。
・・・そして ドン!!と地面を強く打ち付ける音。
『 執事長及び死刑執行人を生きたまま取り押さえよ、証拠があるならば無理に生かさなくてもよい。』
『 ・・・御意・・・ 』
地面に叩きつけられた瞬間を見たご婦人方がバタバタと失神する。
まぁトラウマ物だろう。
「 ちちうえ まもれましぇんでしたね・・・ 」
ラインハルトの一言に、青白い顔をした王が次第に憤怒の顔へと変わってゆく。
「 衛兵・近衛兵 現場を確保!! 北の塔を取り囲め!! 祝賀会は中止だ!! 犯人を逃がすな!!」
唾を飛ばしながら叫ぶ王の傍ら、王妃の傍に執事長が立ち耳打ちをする。
王妃はにこやかに微笑みワイングラスを傾けていた。
・・・執事長も暗部経験者か、王妃の家絡みで連れてきたか・・・中々のスキル持ちだろう・・・
もう少し力を付けて王妃の実家を潰すのも有りか・・・そんなことを考えるラインハルトも会場を後にした。
・・・・
何事もなく離宮に向かう。馬車の中でうとうとと浅い眠りに落ちてゆく・・・・200名ほどであろうか大勢の黒装束の人影。音もなく忍び込み殺されてゆく使用人達、嫌な予感がする。
『 ポン 不特定未来予測を検知 スキル【野生の感】【予知夢】を取得しました。』
ハッとスキル発生音で目が覚める。
『 居るか? 』
『 ・・・はっ!此処に・・・ 』
『 明日未明、離宮に襲撃者あり、相当の手練れが200名以上 離宮周辺に罠を張れ。』
『 ・・・御意・・・ 護衛は?・・・』
『 不要 王妃は他国からの輿入れたぶん彼の国の暗部だ、生かして捉える者は厳選せよ。』
『 ・・・はっ!・・・ 』
暗部の気配が消える。
ウトウトしているマーニを横目に・・・
「 さて、しんがんかんてい 」
眠くてムズがりたく衝動をグッと抑え込み心眼鑑定を行う。
>個体名:ラインハルト・フリード・フォン・ヒューラ
>種族名:人間
>称号 :大賢者
>二つ名:触れてはならない者 子供賢者 大賢者の生まれ変わり ジャイアントキリング
>状態値:新生児 生後6か月超 好調 実質状態3歳
>存在値:LV23652
>体力値:▼946080HP
>魔素値:▼2128679MP (保有2128680MP)
>魔道系スキル:▼光 ▼闇 ▼火 ▼氷 ▼水 ▼風 ▼雷 ▼土 ▼木 ▼治癒 ▼浄化
>創作系スキル:▼木工 ▼金属加工 ▼錬成術
>操作系スキル:魔力操作 重力操作 斥力操作 温度変化 水流操作
>強化系スキル:肉体改造 魔力強化 隠形 遠見 暗視 先読 空蝉
>耐性系スキル:毒物耐性
>探査系スキル:神眼鑑定 探知 遠見 気配察知 気配遮断
>特殊系スキル:異空間収納 ゲート 無詠唱 念動 影隠 早熟 野生の感 予知夢
続けて、魔素値:鑑定。
>魔素値:▼2128679MP (保有2128680MP)
>攻撃値:3530
>知力値:1850
>抵抗値:2845
>幸運率:895
>防御力:4014
>体力値:▼946080HP
>攻撃値:4.7 (覚醒時473.04 )
>筋力値:7.0 (覚醒時709.65 )
>敏捷値:11.8(覚醒時1182.6 )
>器用値:23.5(覚醒時2365.2 )
>回避率:23.6(覚醒時23652.0)
>防御力:3.5 (覚醒時354.78 )
・・・・うむ、ラスボス感満載のステータスだ。もう魔王を名乗っても良いのではないだろうか・・・
いやいや、どこかの大佐の様に” 人が虫けらの様だ ”なんて気っと言わない・・・たぶん。
そういえば、最近魔力切れを起こさなくなったので魔力の上昇が止まってしまった。
というよりこれだけの魔力を一気に消費する方法をなかなか思いつかない。
『 あ!魔力だけ金・・・いや貨幣経済がおかしくなる。塩でも作ってみるか・・・・』
異空間収納の中に手を突っ込み、錬金スキルと化学知識を応用して塩化ナトリュウムを生成する。
『 創成 塩化ナトリウム!』
ドォオオオオオオオオオオオ!!
すごい勢いで異空間収納内に噴き出す塩、それに伴いすごい勢いで減ってゆく魔力。
10t程出ただろうか、確認する前に意識が飛んだ。




