34話
一行が大通りに出ると、大勢の民衆が騎士に指揮され蟻がたかる様に馬車を移動させ、周辺を片付け整然とととのいつつあった。
馬車まで戻ると王家の紋章が効いたのか荒らされもせず大通りに鎮座していた。
「 殿下、馬車の中に・・・」
シュナイダー団長が自分を抱いたマーニをエスコートする。
迅速に事故現場の復旧が進んでいるとはいえ、まだ馬車は動き出しそうにない。
ラインハルトは暇に飽かせ、通りの人々を端から神眼鑑定を掛けていった。
多くの情報が目の前のスクリーンに映し出されてゆく。
8割がた平凡な鑑定結果だが、2割ほどの人々には潜在的なスキルや体力・魔力の伸びる可能性が見いだせる。王都だけあって人口が多いのは分かるが、その2割が在野に埋もれているのは勿体ない。
「 とみんようの がっこうを つくれないかなぁ 」
思わず心の声が漏れる。
しかし、本人の適正とやりたいことが必ずしも同一とは限らない。そういう篩いを掛ける機関が有ってもよいのかと真剣に考えてします。
できれば、たぶんなるであろうラインハルトの侯爵家の家臣団・領地の領民として迎い入れたい。
速記・記録・転写のスキルを持つ花屋の売り子。
剣技・剛毅・瞬発のスキルを持つパン屋の丁稚。
農作促進・土壌改良・治水のスキルを持つ出店の若者。
全てが勿体ない。
そもそも先天的に三つのスキルを持つこと自体がギフトなのだ。それを思いっきり無駄にしている。
これらの人々を面談して雇い入れたい。
のろのろと馬車が動き始めた、王城に付けば即お披露目式、自分を気に入らないプライドの高い方々から迂遠な嫌味を言われることはほぼ確定だが、生後半年の赤子に何を言っても” 大人げない ”で通るだろう。
それよりも、命を狙ってきたのは何者か・・・といっても王位継承権のあるだれかあるいはそれを持つ者達であろう。
王権の暗部は既にラインハルトが掌握済み、となれば王都の闇社会・・・とても一枚岩とは考えられないが一部か全体か?とはいえラインハルトは其の全てを掌握するつもりだ、まずは実行部隊から依頼を受けた指導者、その窓口から王家のトカゲのしっぽ・・・まで辿れればよいだろう。
本丸は真綿で首を絞めるように追い詰めてゆけばいい。尻尾の次は手足、そしてその取り巻き、最後に元締めを・・・
『 ・・・闇社会の関与が分かりました、王都最王手の” 漆黒の蜘蛛 ”現在ボスを追跡中です。お披露目会迄には良い知らせをお届けできそうです。・・・ 』
『 うむ、よきに計らえ、なるべく殺すな。気がふれる者は後で俺が何とかする。 』
『 ・・・はっ!・・・ 』
耳元のささやきが途切れラインハルトは馬車の車窓から街並みを眺める。
まずは拠点と金と人材が必要だできれば領地と領地運営の費用位は稼ぎ出したい。それを暗部と闇社会を使いどこまで出来るか。
思考の海を漂うラインハルトを乗せて馬車は王城へと進み始めた。




