第29話
PV10000突破御礼です。
朝起きると、周りがあわただしい。
母から乳をもらい軽い離乳食を食べると、早々に馬車へと連れ込まれ王都へとたつ。
満腹の状態でマーニに抱かれ、微睡んでいるといつの間にか王城に着いたらしく、応接間のような場所にポウさんと共に座らされた。
周りには見覚えのある人々がいる。お髭先生とその取り巻き・暗殺を企てた暗部の頭・隻眼のギルド長、母にマーニ・それに王。他にも、知らない初老の貴族風の男性が数名がこちらを見ている。
そこで徐に王が、いや父としてだろうか?優しい口調で語り掛けてきた。
「 ラインハルト、これに見覚えがあるか?」
開かれた手のひらには、昨晩眺めていた魔石が乗せられている。
「 ・・・・あい ぼくのおもちゃでしゅ 」
ばれた、完全にバレている。ここは開き直って正直に答える場面だろう。
「 これは何の魔石か解るかい? 」
「 あい、ごぶりぃん とか こぼりゅと とかのでしゅ 」
「 そうか、あの話は本当であったか・・・・そなたは空が飛べるな? 」
突然、暗部の頭がラインハルトに跪き頭を垂れる。
・・・・どこかで見られたか・・・・
「 ・・・・あい 」
母とマーニが驚いたように目を見開き口元を手で覆う。
多くの大人に詰問されている自分に憐みの視線を二人から感じる。
「 不寝番も付けていたのだが、ラインハルトが眠らせたのか? 」
「 ・・・・あい 」
「 何故だ? 」 父の視線が少し厳しくなる。
「 おもちゃを さがしに いくためでしゅ 」
「 おもちゃ? 」
「 あい、ませきは キラキラできれいでしゅ。あとでコネコネするでした 」
「 こねこね?・・・・まあ良い、今持っているのか? 」
「 ・・・・あい 」
「 持っている物を出してみよ 」
少し厳しい口調で言われ、少し悲しくなる。
どうも体に心が引きずられている様だ、泰三であった頃なら涼しい顔で出して見せたものを、つい涙ぐみながら異空間収納から取り出して見せた。
ザラララララララララララララ・・・・・
100近い魔石が、床一面に散らばる。
「「「「「 ・・・・・ 」」」」」
見守る大人たちが一瞬固まる。
ギルド長が小さく呟く、「ゴブリンメイジやゴブリンナイト、ロードの物まであるな・・・・」
それをみた父は、ため息を一つつき、再び口を開く。
「 これは全てそなたが倒した魔物の物か? 」
「 あい 」
「 他に金銭も持っているであろう。出しなさい 」
チャリリリリン
金銀銅貨が床に落ちる。
「 これをどうするつもりだったのだ? 」
「 たからものでしゅ・・・・つかいかた わかりましぇん 」
「 ・・・・まぁ、そうであろう。どうだギルド長、そなたの証言と間違いはないか? 」
「 はっ! 殿下にお渡ししたもので、間違いありません 」
「 赤子には過ぎたるものではないか? 」
「 ・・・・は、はい 」 ギルド長が生汗を額に浮かべている。
「 しかも、冒険者ギルドの会員証の発効まで行ったそうだな、あれはこんな幼子までに発行できる物なのか? 」
「 ・・・・い、いいえ。持ち込まれた魔物の量に判断を誤りました 」
「 そうであろう・・・・たとえ深夜に訪れた我が息子に特例を与えるのはやり過ぎであろう 」
「 っは! 」 ギルド長の顔色が悪くなる。
父がこちらを振り向き更に問いただしてくる。
「 昨晩は何をしに飛び立った? 」
「 ・・・・ぼくのつかった まほうのあと みてきましゅた 」
「 ・・・・それだけか? 」
「 ・・・・おおきな かめしゃんを やっちゅけたでしゅ 」
「 それも出してみなさい 」
・・・・あれをここで出せと?!
「 できましぇん 」
「 何故だ? 」
「 ここが、こわれましゅ 」
「 解った、演習場へ向かう。皆の物ついて参れ! 」
王を先頭に、騎士たちの使う演習場へと向かう。
・・・・
母に抱かれ、王を先頭に一行は演習場へと到着した。
父が振り向き再び問うてくる。
「 ここなら大丈夫だろう、出してみなさい 」
「 ・・・・できましぇん。 ここがこわれましゅ 」
「 な・・・・ではどこでなら出せるのだ? 」
「 おうとの おそとなら だせましゅ 」
「 な、なんと・・・・急ぎ馬車の手配を!!」
衛士達が慌ただしく動き出し、馬車止めから人数分の馬車を運び出してくるのにさほど時間はかからなかった。
城門を抜け、街道から少し離れた草原が見えてきた。
・・・・はぁ、おもちゃを全部取り上げられるのか・・・・そう思うと少し気が重たくなる。
「 どうしたのですかラインハルト、お腹でもすきましたか? 」
母が優しく語り掛けてくる。
「 ・・・・おかあしゃま・・・・おおきなかめしゃん だしても おどろかない? 」
「 ・・・・そんなに大きいの? 」
「 あい、おしろより おおきいでしゅ 」
「 まぁ!・・・・そんな物を仕留めたのですか? ラインハルトは強いのですね 」
まだ、話半分しか信じていないようだ。 マーニや傍付きの女給までも小さい子の強がりと思っている様だ。
女性陣が子供は物事を大きく言うからだとか、猥談を重ねている内に草原に到着した。
馬車を降りると、大人たちの視線が集まる。
「 さてラインハルト、ここでならば出せるのだな? 」
「 あい、おとうしゃま・・・・だしてもおこらない? 」
「 あぁ、王として誓おう、決して怒らぬと。 だから素直に出してみなさい 」
忍耐強く諭すように、父が自分に指示する。
「 でわだしましゅ! 」
グワァアァァァァン!
空中に巨大な空間が陽炎の様に歪み、次第に透明度を失くし山亀の実体が姿を現し始める。
その歪みは王城よりも遥かに大きく、空中に実体化した獲物が地面に落ちた。
ズズズズズズズズズズズズズゥウウウゥゥゥゥゥゥン!!!!
・・・・プロテクト・異空間反射・・・・
少し地面より高さがあったため大質量の獲物が地面に落ちると、地震とも思える地揺れを起こし、大量の土砂を舞い上げ着地した。
飛来する大小さまざまな小石が、礫の様に馬車を含めた大人たちに降り注ぐのを、魔法を使い防御した。
・・・・気流操作・・・・
一面土埃で視界が閉ざされたのを、魔法を使い吹き飛ばした。
そして、眼前に現れた超巨大な山亀を見据え、腰を抜かす騎士や衛士、お髭先生の取り巻きにギルド長。
流石、王たる父のみが辛うじて後ずさるのみで耐えて見せた。
「 閣下、こ、これは アダマンタイト・ハイ・グランドタートル、通称ショワンウーで、です 」
ギルド長が声を張り上げた。
「 これだけの素材、もう鉱山と言って良いでしょう!! 」 御付きの事務官らしき人物が叫ぶ。
巻き上げられた土砂で、馬車の周り一面が数十センチ程盛り土され、もう馬車での移動は困難だ。
だがそんな事を気にすることもなく、魔物の死骸、いや素材の山を皆が口を開けて見ている。
異空間収納の中で時が止まっており再び動き出した時の流れに、ねじ切れた首からだらだらと大量の血液が流れだし始める。
「 も、もったいない!! 急ぎ樽を持ってくるのじゃ!!」 お髭先生が大声を張り上げ、衛士が弾かれたように王都へと駆け出していった。
「 これだけの物、当面の国庫が潤いますなぁ!いやぁ流石は大賢者の生まれ変わりでございます!」
事務官らしき人物が嬉々として王に語り掛ける。そんな彼を他所に、王はラインハルトに語り掛ける。
「 これも、そなたのおもちゃか? 」
「 あい! 」
「 ・・・・解った。だがこの獲物は今の其方には余りある。其方が12を数えるまで国としてしかりと管理した後に其方に還元しよう。皆の者証人と成れ!」
「「「「「「「 っは! 」」」」」」」
父は自分の頭をぐりぐりと撫で、最後に一言呟く。
「 あまり無理をするでは無いぞ、そなたは俺の宝だ、国の宝でもある。出かけたくなったら大人に声を掛けよ・・・・いや其方に小姓を付ける。そのものに何を為すかをきちんと伝えるのだ。よいな? 」
「 あい! 」
「 皆の者!まだ生きの良い肉が大量に取れる。今日から数日は祝日とし祭りを開くとするよいな!」
「「「「「「「 っは! 」」」」」」
こうして、大賢者の神獣討伐大祭がこの年から開かれることになった。
・・・・結局、おもちゃは全部取り上げられたのは言うまでもないが・・・・ちくしょう・・・・




