表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生 第二の人生は胎児から 新生児からはじまる無双物語  作者: ねむねむぴよ
第三章 新生児、魔法の深淵を覗く。
33/56

第28話


 気が付くと、離宮のベビーベッドの上で天井を見上げていた。

 記憶を紐解くと乳児の体にはあの長時間の講演は堪えたらしく、離宮に戻るまで寝続け、軽い夕食の後再び微睡んでしまったようだ。


 空は闇に閉ざされ、不寝番の女給も船を漕いでいる。

 ・・・・スリープ・・・・

 ズルズルと椅子から滑り落ちるように床に伏せる女給。スカートがはだけてしまったが仕方ない。

 不寝番を完全に眠らせ人の目が無いのを確認すると、窓の留め具を念動で外し、夜風に当たる。

 ・・・・もう少し大きくなれば色々と便利なのだが・・・・などと思いつつポウさんを連れて夜の森へと飛び立った。


 昼間の講演の中で気になった魔法を使ってみようと思い至り、夜空に輝く二つの月を見ながら空を飛ぶ。

 ・・・・広域探知・・・・「 あっいちゃ!」

 かなり大きめの魔物が、一昨日吹き飛ばした山の麓を彷徨っている。

 ・・・・動きがぎこちない。怪我を負っている様だ。


 重力操作と念動を使い一直線に、獲物の方へと飛んで行く。


 ・・・・


 自分の使った魔法の威力がだんだんと眼下に広がってゆく。

 二日経っても燻っている樹海。火災流に埋まった谷底と、それによって塞がれたダムのような水たまり。

 その水たまりには、魔物と思われる重度の火傷を負った死骸がいくつも浮いている。

 ・・・・うむ、破壊力は上々。ついでに魔物の討伐も出来たのだから良いだろう・・・・などと考えていると、探知に掛った獲物が姿を現した。


 一言で言うと巨大な陸亀。

 噴石の直撃を受けたのか甲羅に大きな亀裂が入り、右後ろ脚と尻尾がちぎれ飛んでおり、地面を這うように進んでいる。

 甲羅は小山の様に焼け焦げた木々が生えており、一部吹き飛ばされた堆積物の間から激しく痛んだ甲羅垣間見える。傷は深く、余程の回復力が無ければ元の姿には戻れないだろう・・・・

 だが、その大きさから相当の年月をこの森で過ごしてきた威厳も感じとれた。

 ・・・・このままではいずれ死ぬだろう、せめて止めでも刺してやろうか・・・・などと考え近づいてゆく。

 「 でかいでしゅね・・・・ 」

 その姿はまさに山。この一帯の主と言われても納得しそうな風貌。頭や足には鉱物の結晶が突き出し剥き出しのひび割れた甲羅の部分は金属色の光沢を放っている。・・・・普通の魔法じゃビクともしそうにない。


 とはいえ、まずは手始めにファイヤーアロー辺りから叩き込んでみる。


 魔力を収斂し、割れた甲羅の傷口に打ち込んでみる。

 シュゥゥウゥゥゥイィィィ

 自分の周辺を周回する、30を超える風を切るアロー。


 「 はっしゃ! 」

 パパッパパパパッパパパパパッパパ!!

 カカカカギィン、カカカカカパン!!


 ・・・・略全てのアローが、甲羅の表面にて弾かれ、唯一剥き出しの肉にのみ突き刺さる。


 グオオオオオオオオオオォォォォ!!!

 陸亀ならぬ山亀が痛みを感じたのか、雄たけびを上げた。

 そして、縮めていた首をめいいっぱい伸ばし此方に鎌首を擡げる。


 コオォォォォォ・・・・・

 周辺の空気を吸い込む音、ブレス前の動作だろう。

 城門と見紛う程の口の中に、周辺の枯れ木や岩が渦を巻きこちらに放たれようとしている。


 ズバアァァアアァァンン!!

 ・・・・ゲート・・・・

 ブレスが放たれるのと同時に、ゲートで亀の首の横に転移。

 瓦礫が散弾銃の様に空中へ放物線を描き飛翔し、ブレスは亀の呼気が途絶えるまで噴き出し続けている。


 ・・・・ウインドカッター・・・・

 周辺の土壌より取り出した珪砂をガラス状に固め、風に混ぜる。

 そして風を円盤状に成形、外周部を超高速に加速する為、風の玉を数珠繋ぎにし旋回させながら魔素へと還元させ、更に加速させてゆく。


 フィイイイイィィィィィィィン!

 伸ばされた首の傍で、巨大な風の丸鋸が出現し山亀に迫る。


 チュイイイイィィィィイイィィイィィイイイイイインンンン!!

 亀の首にある鱗にウインドカッターが接触し、火の粉を散らして食い込もうとするが、なかなか思うようにならない。

 「 かたしゅぎましゅね・・・・じゃぁ・・・・ 」


 ・・・・インフェルノ・気流操作・・・・

 周辺の空気を遮断し、数十のインフェルノを使い密林の木々を焼く。

 亀の呼気はまだ続いているが、その頭がこちらへと動きが始める。


 立ったまま炭となった大木が真っ赤に焼けている。

 ・・・・温度操作・重力操作1000倍・・・・

 元素の動きを止めて熱を奪う事を強く念じ、重力を強化しながら圧縮を試みる。


 冷やされて炭となった大木が、重力で圧搾され一気に縮む、その際細かな粒子になり、月明りを浴びてキラキラと輝く。そう炭素から作られた人工ダイヤモンドだ。

 即席で入手できる最高硬度の物質、それを念動で寄せ集め、再びウインドウカッターを始動した。


 山亀の首が完全にこちらを向く。

 しかし、自分があまり小さすぎて見えていない。


 ・・・・ウインドカッター・・・・

 周辺より取り出した人工ダイヤモンドを風に混ぜ風を円盤状に成形、外周部を超高速に加速する為、風の玉を数珠繋ぎにし旋回させながら魔素へと還元させてゆく。


 フィイイイイィィィィィィィン!

 チュイイイイィィィィイイィィイィィイイイイイインンンン!!

 ジャリジャリジャリイイイイイイ!!!


 先ほどとは違い、確実に亀の首に食い込んでゆく。


 ドボボボボボボボ・・・・・

 ・・・・ゲート・・・・


 頭部の動脈を切断したのか、大量の血液が噴き出した。

 返り血を浴びないために上空へ転移しそのまま滞空する。

 ウインドーカッターへの魔力の供給は途切れさせない、まだ魔力糸をつないだままだ。


 山亀が首を縮め始めるが、もう間に合わない。

 一度体内に入ったウインドウカッターは止まらないのだ。首の中に侵入し重要な組織をすさまじい勢いで切断してゆく。


 ガリリリリリリリガガガガリリリリリリリリ・・・・!!

 首の骨に達したのか、亀の頭部で反響した切断音が静かな森に響き渡る。


 ゴバァァアアアア!!

 山亀が大量に吐血し、頭が捻じれ乍ら地面へと落ちてゆく。


 ズズズズズズズゥゥウウゥン!!


 巨大山亀の頭部が落ちるのとその体が地面に付くのは、略同時だった。

 神の声が響く。

 『 存在値が満たされLv102に上昇・・・存在値が満たされLv103に上昇・・・・存在値が満たされ・・・・ 』永遠と続く声はBGMと思い気にしないでおく。



 「 ・・・・かたかったでしゅね 」

 心臓がまだ完全に止まっておらず、ドバァドバァと傷口から大量の血液が噴き出している。

 山ほどの体躯だ、その体液の量も半端なく大きな血の池を作り出してゆく。


 当然その心臓も大きく滝の様に流れ出す血液も次第に弱まりやがて、小川の様に噴き出す程度に収まったところで、異空間収納を発動させた。


 ブゥオォン!


 大きな巨体が一瞬陽炎の様に歪み、ちぎれた頭毎収納された。

 ・・・・異空間収納万能過ぎ・・・・などと思いながら、また一つおもちゃが増えたとホクホクしながら帰路についた。


 ・・・・


 夜風が吹き込む寝室。

 女給の微かな寝息が聞こえてくる。

 大きすぎる亀の解体をどうしたものかと考えながら、自分のベッドに潜り込む。

 いつもなら直ぐに寝付いてしまうのに眠気がまだ来ない。


 しょうがないので、今まで集めてきた魔石をベッドの上に広げてみた。


 ジャララララララ・・・・

 異空間収納から噴き出す大量の魔石、少し音が大きかったので自分でもびっくりしてしまうが、寝室の前に衛兵はいないのは探知済みだ。


 いろんな輝きを放つ魔石の数々、眺めていると次第に眠気が襲ってきた。

 ・・・・くぅ、この魔石の加工をしようと思っていたのに・・・・

 体の力が抜けてゆく、証拠を残すのは拙い・・・急いで収納せねば・・・・

 ・・・・異空間収のぅ・・・・

 視認できる魔石が消えたと同時に、意識がぷつりと飛んだ。


 ベッドの下に幾つかの魔石を残して・・・・

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ