第27話
魔法大学の正門、そこにはお髭先生を筆頭に多くの教諭・研究生、一般生徒が待ち構えていた。
入門と共に、お髭先生が跪くと教諭や高学年の生徒等がそれに続く。
その様子を車窓から眺めていた自分は、・・・・そういえば実践の時に呼称が大賢者様に変わっていたよな・・・・などと思い返していた。
馬車から降りると、いの一番にお髭先生が駆け寄ってきた。
目の下には大きなクマを作り、血走った目で唾と飛ばしながら訴えかけてくる。
「 ようこそ御出で下さいました大賢者様、あれより教えて頂いた事柄をつぶさ検証し、全てが誠であると証明できました。
今鋭意論文にまとめておる次第です。
早速ですが、研究の成果を緊急発表致しますので、ぜひご覧いただけますと幸いでございます 」
たぶん傅く多くの人々は、の発表とやらに関係する人物なのだろう、一様に目の下にクマが出来ており眼光が異様にギラギラと輝いている。
「 ・・・・お、奥様、魔法大学とはこのような、廃人の集まる場所だったのでしょうか? 」
「 ニーニャ落ち着きなさい、私たちが王家の紋章の付いた馬車で乗り付けた為に傅いているだけでしょうたぶん・・・・大賢者というのは良くわかりませんが、何やらラインハルトに教育に関する何かを見せて下さるために、徹夜でもしたような・・・・きっとそんな所でしょう。
後で十分に労いの言葉と何か盛の付くものをお送りしましょう 」
馬車から降りると、お髭先生が先頭を歩き、ひたすら今回の発見がいかに素晴らしいものか・魔法の既存概念をくつ返し、一気に汎用性を高めるものなのかと延々と話し続け、その口は大講堂の入り口に付くまで閉じられることはなかった。
・・・・
大講堂の演題の隅に設えられた席に、母とマーニと自分(母に抱かれているが席は用意されている)ポウさんはマーニの膝の上だ。
講演は基礎理論から始まり、火魔法から始まり氷・水・風・雷・土・木と言った所で午後の3時を回ったところで終了した。
そして何故か全ての理論の共同発案者として、自分の名が挙がる。・・・・解せん。
しかも最後に一言などと言ってくるものだから、暇と退屈を紛らわせるために。
講堂一面に光魔法の光の渦を作り出し、その形状の花びらに変え頭上から降らせ、途中から4枚一組に合わせて蝶にして羽ばたかせて見せた。
・・・・これこそが魔力の神髄、魔素に方向性を持たせそれを意図的に操る事・・・・とかっこ付けて言いたかったが、舌っ足らずの自分ではうまく言えそうもないので、眠たい振りをして母の胸にしがみ付いた。
パチ・・・パチ・・パチパチパチパチ
「「「「「「「 おおおおおおおおぉぉ!!!!!!! 」」」」」
何故か受けは好評で、「 作動中の魔法が途中で変化したぞ! 」「 流石は大賢者様だ! 」
「 あんな小さいお体で莫大な魔力を秘めておられる!! 」
一部、気に成る発言もあったが食事もとらずに堪えるには、まだこの体は辛すぎる。
オシメもグッショリで早く退散したいものだ。
・・・・
マーニの乳を貰い一服。 オムツもさっぱり、しかしまだ大学に居る。
お腹がくちくなって睡魔に襲われる。その中お髭先生と母の難しい話に耳をそばだてる。
「 殿下には是非、特別教授の席を・・・・研究室も準備いたします、一週間に5日、嫌せめて一週間に一度で結構でございます。その魔法の知識を我々に示していただけさえすれば良いのです 」
「 ・・・・まだ、生後半年に満たない赤子に、何が教えられることか・・・・正直分かりかねますが、ロードリアス卿がそこまで仰るのでしたら、陛下と相談してみます 」
「 おぉぉ、是非とも、是非ともお願いしたい。これは人類の至宝、魔法学は一気に100年は進みましょうぞ! 」
「 ・・・・喜んで頂けて嬉しゅうございますが、まだ陛下のお許しが出て御座いません 」
「 そうでありましたな、次回は何時頃こちらに? 」
「 それも含め陛下と相談いたしますゆえ・・・・ 」
「 承知いたしました、ぜひとも良いお返事を、首を長くしてお待ちいたします 」
・・・・研究室が貰えるってのは楽しそうだが、満足に体が動かせない今の常態だとずいぶん苦労しそうだ・・・・
そんなことを考えていると、強い睡魔に敢無く飲み込まれてしまった。




